言葉と心の万華鏡

たんぜべ なた。

言葉と心の万華鏡(脚本)

言葉と心の万華鏡

たんぜべ なた。

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言葉と心の万華鏡
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〇華やかな広場
  一つの言葉が包み隠す千の風景
ここみ「言葉とは不思議なものです。 たった一つの言葉を聞いて、人は数多の風景を連想します」
ここみ「例えば『|宇宙《そら》』。 いま、あなたの胸に去来する風景はなんでしょう」
ここみ「親と眺めに出かけたプラネタリウム? 地球を周回する国際ステーション? 星雲など銀河団の集まり? 友達と探しあった星座?」
ここみ「夏祭りの帰り、友達と見上げた夜空? 勉強で煮詰まった時に眺めた夜空? ライブの後、推しのアイドルと一緒に見上げた夜空?」
ここみ「沈丁花や金木犀・・・季節の香りに思いを馳せた夜空? 冬の寒空、想い人と寄り添い眺めた流星群?」
ここみ「想い人と別れ、泣き明かした夜空? 秘めた想いで彩られた胸中? ・・・etc」
ここみ「このように、言葉一つには、数多の風景が隠れています」

〇華やかな広場
  千の言葉で紡がれる一つの風景
ここみ「私たちは言葉を紡ぐ事によって、自己の心にあるモノをカタチにしようとします」
ここみ「言葉にならないものであれば、或るいは絵に、そして音楽に・・・」
ここみ「さて、私たちが自己の心をカタチにする為、沢山の言葉を紡ぐモノの代表に恋文(ラブレター)があります」
ここみ「恋文の辿り着く先は、想い人と共に居続けること・・・」
ここみ「そのために、私たちは思いの丈を書き連ねていくのです」
ここみ「想い人に好意を寄せ 想い人に気持ちを馳せ 想い人の事で心をイッパイにして」
ここみ「目に飛び込む全て 耳に残る想い人の声 鼻に残る想い人の匂い 手に触れた想い人の温もり 唇に残るのは・・・」
ここみ「五感を駆使し、沢山の言葉を書き連ねていきます。 想い人と共に居続ける風景を目指して・・・」

〇華やかな広場
  心の万華鏡
ここみ「”夜”に書き上げた恋文を”朝”読み返すと、陳腐なものに見えてきます。 それは何故なのでしょう?」
ここみ「人の心には万華鏡があります。 自己の情動を照らし出す心の万華鏡が・・・」
ここみ「”夜”にあっては熱にうなされたように情熱的な言葉が紡がれ、 ”朝”にあっては熱も冷め、浮かれた言葉にゲンナリする」
ここみ「全ては心の万華鏡に映り込んだ風景。 それは、想い人と共に居続ける風景のハズでした・・・」
ここみ「しかし、読み返した恋文を心の万華鏡に透過しても、そこには望む風景が見えてこない・・・」
ここみ「そして一つの便箋は紙屑となりゴミ箱に吸い込まれるのです」
ここみ「さてさて、心の万華鏡とは何なのでしょうか?」

〇華やかな広場
  言葉と記憶
ここみ「人が言葉を記憶する時、実に多くの事が取り込まれます。 記号でしかない言葉が、記憶に刻まれる・・・」
ここみ「眩しい光と伴に・・・ 母親の声と伴に・・・ 花の甘い匂いと伴に・・・ 温かい手触りと伴に・・・ 甘美な味わいと伴に・・・」
ここみ「或いは、それぞれの組み合わせが複雑に絡み合うこともあるでしょう」
ここみ「忘れてならないことは、そこに何がしかの感動を伴っているということです」
ここみ「その感動の積み重ねが、やがて『心の万華鏡』へと変わっていき、私たちの言葉を解き明かす道標となっていくのです」

〇華やかな広場
  貴方と私の万華鏡
ここみ「人それぞれに生まれも育ちも色々有ります。 暮らした時間も感動した風景も千差万別・・・」
ここみ「さて、ここから見えてくることはと言えば・・・ 貴方と私の万華鏡が違うという事」
ここみ「当たり前のことだけれど、それはとても大事な事。 言葉を紡ぐ時、貴方は貴方の万華鏡を通して私に風景を見せてくれます」
ここみ「私は、その風景を私の万華鏡で覗いて見ます」
ここみ「それは、似て非なる風景。 見覚えはないが、何処かで見たことの有る風景が私の万華鏡に映ります。 それは新しい体験の瞬間」
ここみ「ところで、ここに一つ面白い万華鏡が有ります。 それは恋と愛という万華鏡」
ここみ「二つの万華鏡には「好きな人」という共通のキーワードで結ばれていますが、それは天地の開きがある万華鏡」
ここみ「恋の万華鏡は、私の万華鏡の変形版。 何処まで行っても私の理想を「好きな人」に投影させてしまうモノ」
ここみ「愛の万華鏡は「好きな人」の万華鏡に近付こうとする、私の万華鏡の変形版」
ここみ「「好きな人」の全てを受け入れ、「好きな人」と同じ風景を見ようと努力したモノ」
ここみ「さぁ、「好きな人」を思う時、貴方の心にあるのは「恋の万華鏡」、それとも「愛の万華鏡」?」

〇華やかな広場
  言葉と心の万華鏡
ここみ「今日も紡がれる数多の言葉たち」
ここみ「紡がれた言葉を読み解くために、今日も覗かれる万華鏡」
ここみ「その万華鏡の向こう側に見える風景は・・・」

コメント

  • 美しいです🥰✨
    万華鏡って手作りだからひとつひとつ形が違うのが。だからこそ良いんですよね🥹✨
    そもそも誰しも見えているものが違う。その何億の万華鏡の中から近しい模様の見える万華鏡を持っている人、はたまた全く真逆のコントラストを奏でる万華鏡の人。恋とは計り知れませんね💖
    コメント失礼致しました!🙇‍♂️

  • とても素敵なエッセイですね!!
    言葉を大切にされている作者様の姿勢が伺えます😃
    私は物語を転がすことにばかり関心があるもので、言葉に対しては無自覚かもしれません💦
    言葉で素敵な世界を描ける作者様は素晴らしいと思います。改めて自分も言葉を大切にしたいなと感じました!!

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