ダイオー人

栗スナ

25話 空耳探偵団の亀裂(脚本)

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〇大きい施設の階段
  それから数日が経過し、衣替えの移行期間になった・・・
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ちょっとどういうことよ」
熊元治(くまもと おさむ)「教室内でも陰謀の 話ができるようにしようって言ったろ!」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あたしは教室外でしたいんだけど」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「クラス会長やってるんで、人目を気にするのよ」
熊元治(くまもと おさむ)「急に何を・・・ 前はそんなこと気にしてなかったろ」
虹場 柊(にじば しゅう)「また喧嘩かよ」
虹場 柊(にじば しゅう)「俺は高の木の言うことが正しいと思う 立場があるんだから考えてやらないと駄目ですね」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・前からしていたことを今さら?おかしくないか」
虹場 柊(にじば しゅう)「嫌々やっていたんでしょう。そうだよね? 高の木さん」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・そうよ」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「急だな・・・」
虹場 柊(にじば しゅう)「急でも変えてやるべきでしょう 人目もあるからね」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・腹立つなー」
虹場 柊(にじば しゅう)「まあまあ怒るのはわかりますけどね 彼女ももっと早く言うべきだったとは思うし」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「は?どうしてよ 前から我慢していたのよ!」
虹場 柊(にじば しゅう)「そうだったんですか、それは大変だね」
虹場 柊(にじば しゅう)「変えてやりなよ。高の木さんがかわいそうだよ」
熊元治(くまもと おさむ)「くっ!」
虹場 柊(にじば しゅう)「しょうがないなー」
熊元治(くまもと おさむ)「虹場・・・少し黙っててくれ」
虹場 柊(にじば しゅう)「俺もこの団員だからね。言う権利はあるよ」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「最近宮城まで来なくなったが、高の木、お前のせいじゃないのか」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「何であたしが出てくるのよ!」
虹場 柊(にじば しゅう)「・・・」
虹場 柊(にじば しゅう)「宮城が来ないのは何かこの団に問題があるからだよ そうでなかったら来るはずだよ」
虹場 柊(にじば しゅう)「その問題を解決しないといけないよ 問題は何だろうね」
熊元治(くまもと おさむ)「高の木がうるさいからだろ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「団がつまらなくなったからでしょ。仕切ってる人がこれじゃあね」
熊元治(くまもと おさむ)「何だと」
虹場 柊(にじば しゅう)「まあまあ 喧嘩はよくないよ」
虹場 柊(にじば しゅう)「でもたしかにそんなに怒ってばかりいたのでは来なくなるね」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「団の方針も決まらないしね」
熊元治(くまもと おさむ)「それは当たり前だろ、団員が来ないんだから」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「人にせいにしてる時点でだめだね」
熊元治(くまもと おさむ)「お前だって何も言ってないだろ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あんたが率先して捜査したら?」
熊元治(くまもと おさむ)「何を?相互会でも調べろって言うのか?」
熊元治(くまもと おさむ)「あそこは危険だ、無責任なことを言うのはやめろ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「そんなこと言ってないんですけど」
虹場 柊(にじば しゅう)「相互会をどうこう言うのは偏見じゃないのかな きっといろんな人がいるでしょう」
熊元治(くまもと おさむ)「まあそれはそうだが・・・ だが、おかしいよあそこは」
虹場 柊(にじば しゅう)「おかしいかどうかはわからないでしょう」
熊元治(くまもと おさむ)「グローバル政治家の半山も相互会とつながりがあるしな」
虹場 柊(にじば しゅう)「・・・」
虹場 柊(にじば しゅう)「それはあなたの推測でしょ 推測でものを言うのはよくないよ」
熊元治(くまもと おさむ)「お前には関係ない」
虹場 柊(にじば しゅう)「だいたいグローバルはいいことだよ 世界中の人たちと仲良くなれるんだからさ」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・そうかな?俺はそうは思わないが 今は問題が多すぎる 外国に狙われるだけだろう」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
虹場 柊(にじば しゅう)「グローバリズムがあったから今の進歩や繁栄があるんだよ いろんな価値観があることを学ばないと」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「そうね。確かに否定するものではないね」
虹場 柊(にじば しゅう)「その通りだよ、高の木さん」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あんたがグローバリズムを否定するから目が覚めたよ」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・感情論で考えを変えるか・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「そんなのじゃないけど」
虹場 柊(にじば しゅう)「そうだよ 高の木さんは考えての決断だ 君の言うことは性急だからね」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ありがとう、虹場君」
虹場 柊(にじば しゅう)「いや、いいですよ」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
虹場 柊(にじば しゅう)「どうする、これから」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「え・・・どうもしないけど」
虹場 柊(にじば しゅう)「この探偵団って高校生のやることじゃないよね」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「まあ・・・父にも言われたけど」
虹場 柊(にじば しゅう)「うん。どうだろう カラオケやボーリングをする平和な会にしないか」
虹場 柊(にじば しゅう)「そうやって普通に遊ぼうよ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「何言ってるんだ」
虹場 柊(にじば しゅう)「だって高校生には高校生らしい過ごし方があると思うんだよ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「それもそうね」
熊元治(くまもと おさむ)「あのな」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「こんな団体なら変えてもいいか」
熊元治(くまもと おさむ)「探偵団は探偵団だ。まだ事件は解決してない」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「しなくていいんじゃない。あんたがいるなら無理だよ」

〇駅前広場
熊元治(くまもと おさむ)「まったく・・・今日も喧嘩してしまった」
熊元治(くまもと おさむ)「ここんとこ高の木とは連日だな・・・どうしてなんだ」
熊元治(くまもと おさむ)(まあ、あいつが悪いからなんだけど)
熊元治(くまもと おさむ)(しかしこうして一人になってみると・・・喧嘩するほどの理由ではないよな)
熊元治(くまもと おさむ)(俺はなんで教室で話すことにあんなにこだわったんだろう・・・)
熊元治(くまもと おさむ)(こうして落ち着いてみるとどうでもいいことのように思えてくる・・・)
熊元治(くまもと おさむ)(だが、学校であいつに会うと怒りが込み上げてくるんだよな・・・)

〇女性の部屋
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「一日が終わった・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(熊元とは喧嘩続きだね・・・)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(こうしてると何か別に怒るようなことでもない気がするのが不思議ね)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(どうなってるんだろ、あたし・・・)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(今日はいろいろ悪いこと言っちゃったな・・・)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(けれど・・・なぜか学校では腹を立ててしまうのよね・・・)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「どうしてなの」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(もう嫌だな・・・)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「空耳・・・早く戻ってきて」

次のエピソード:26話 異変の気づき

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