23話 深夜の呼びかけ(脚本)
〇可愛い部屋
宮城まつきの家
宮城まつき「・・・」
「・・・」
宮城まつき「・・・」
宮城まつき「うーん・・・」
宮城まつき「だめ~」
宮城まつき「何時間聞聴いても 龍さん出てこな~い」
宮城まつき「困ったな~ せっかく高の木の家で聴いたCDと同じものを買ったのに・・・」
宮城まつき「これじゃ団長のできものをどうすればいいか聞けないよ~」
宮城まつき「あ、ひかりからだ」
宮城まつき「もしもし~」
ひかり「まつき~」
宮城まつき「どうしたの ひかり最近学校来ないじゃん」
ひかり「それが・・・」
ひかり「体に変なできものができちゃって学校行けないんだよ~。まつきどうしよ~」
宮城まつき「マジ?」
宮城まつき「ひかりも?」
〇田舎の一人部屋
空耳の家
東北空耳(ひがしきた くうじ)「まいったな、鱗がどんどん広がってくる・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「いったいどうすればいいんだ・・・」
空耳
空耳・・・
わしだ
わしだ
聞こえるか
東北空耳(ひがしきた くうじ)(声?)
空耳・・・わしだ
二時間後、小山の森の大木の下に集まれ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「え。誰だよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「龍さん?」
行けば分かる
そこで待つ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「待つって名乗ってくれよ、おい」
必ず来るんだ
そこで待つ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「お前、ダイオー人じゃないよな?」
お主は自分が分かっていないのだ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・俺は何だっていうんだ?」
木の下に来るのだ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「小山の森って小山寺の近くだよな・・・どうしてそこなんだ」
来れば分かる
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「おーい」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・いないのか」
〇けもの道
東北空耳(ひがしきた くうじ)「真っ暗じゃないか・・・おっかねえ・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「こいつを持ってきてよかった」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・大木って言ってたな」
東北空耳(ひがしきた くうじ)(今なんか音がした!!)
東北空耳(ひがしきた くうじ)(誰かいる!!)
東北空耳(ひがしきた くうじ)(やばっ どうしよう・・・)
東北空耳(ひがしきた くうじ)(待ち合わせ相手?)
東北空耳(ひがしきた くうじ)「誰ですか!」
岩手ひかり「え。先輩?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「その声は・・・岩手?」
岩手ひかり「はい。そうです」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「何でこの森に?」
岩手ひかり「先輩こそ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「まあそうだよな・・・」
〇森の中
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・というわけなんだ。そっちは?」
岩手ひかり「あたしもです 先輩と同じで 変な声が頭の中に響いてきて、ここに来いって言われたんです」
岩手ひかり「小山寺は前にみんなで行ったし 龍に呼ばれたのかなと思って、 ちょっと怖かったけど勇気を出してここに来ました」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・だろうね。それ以外こんな夜中に森に来ないよ」
岩手ひかり「先輩最近学校行ってないですよね」
岩手ひかり「あたしもです」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「え。そうなの。何で?」
岩手ひかり「鱗です。体にでき始めてて・・・薬塗っても治らなくて・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「マジ?」
岩手ひかり「先輩もでしょ? まつきから今日 電話で聞きましたよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「何だ。俺の他にも悩んでいるのがいたんだ・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ、ここかな 大きい木がある」
〇木の上
東北空耳(ひがしきた くうじ)「でっけえなー」
岩手ひかり「何か書いてありますよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「何々・・・ 「小山寺は幾度かの火事にあって焼失し移転を余儀なくされた」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「この巨木は小山寺があった当時から庭に生えていて、火災を免れた神木である」」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「じゃあ昔はここに小山寺があったのか」
岩手ひかり「そうなりますね・・・ そう言えば叔父から聞いたことがあります。あの寺は江戸時代までは森の中にあったって」
岩手ひかり「大きな屋敷を壊して建てたらしいって」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「まじか・・・じゃあこの神木ってもしかして・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「大横長者を坊様たちが封じたところか?」
岩手ひかり「庭ですからね。そうかもしれませんね」
岩手ひかり「・・・何か感じます」
よく来たな
岩手ひかり「あ、声がします 「よく来たな」だって」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「俺も聞いた」
木のうろを探せ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「うろ?穴のことか?」
そうだ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ、あるな これがどうかしたのか」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「中には何もないようだが」
その穴の真下を掘れ
岩手ひかり「掘れって、道具もないよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そこそこ ここの地面固いぞぉ・・・まいったな」
岩手ひかり「あ、この細い根っこ、引っ張ったらどうですか。わりと浅そうだし」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そうだな・・・って根を地面から出して大丈夫かな 祟りとかないよな?」
わしは大丈夫だ。祟らぬ
岩手ひかり「今「私は」って言いましたね」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「じゃあ・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「木が呼んだ?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「大木さんが俺たちを呼んだのか?」
そうだ
元は木ではないがな
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・ じゃあ根を持ち上げて掘っちゃうぞ」
岩手ひかり「やりましょう」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「どっこいしょ・・・」
岩手ひかり「よいしょっ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「おっ。根が出たらずいぶん地面に穴が空いたな!」
岩手ひかり「よし、じゃあもう手で掘っていきましょう!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ。これは・・・」
岩手ひかり「同じ?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「レンズか・・・ ずいぶん土がついて汚れてるな。かなり古いんじゃないか」
岩手ひかり「まさか・・・大横長者を封じたときに女が長者の片目を隠したって言いましたよね」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・それがこれ!?けど全然さびてないけど」
そうだ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・らしい」
それは錆びぬ
まだ動くはずだ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そうなんだ・・・」
岩手ひかり「きゃっ!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「おおっ? 急に何か現れたぞ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「これは・・・何だ」
それが向こうに行く入口だ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「向こうに?」
岩手ひかり「向こうって・・・まさか・・・」
地底だ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「ダイオーのとこへ!?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「だけど・・・大丈夫なのか?」
これは昔和尚たちが封じた入口だ
今はすでに使う者がおらぬ
ダイオーに見つからずに向こうの世界に出られるはずだ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そうか・・・」
そこである者と会ってほしいのだ
・・・お主らに地上の命運を託す
岩手ひかり「ある者・・・?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「託すね・・・ 何かやる気出てきたな〜」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「じゃあ岩手 行くか」
岩手ひかり「ま、待ってよ! まだ何も準備もしてないのに!?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「まあな けど俺は行く」
岩手ひかり「えー! やめた方が・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「行きたいんだ。下界がどんなところか知りたい 大丈夫だ・・・ やばくなったらまたこの穴を通って戻ればいい」
岩手ひかり「だって危ないんじゃ・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「行かないか?向こうの世界がどんなものか岩手も見たいだろう?」
岩手ひかり「それはそうですけど、相手はダイオーですよ 殺されるかもしれませんよ」
二人ともその穴を通るがよい
岩手ひかり「・・・そんなこと言われても」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ・・・この空気の変化は」
岩手ひかり「あれ、今変な感じしましたね」
りゅう「やめよ まだ早い」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「龍!」
りゅう「巨木の龍よ」
りゅう「何故この者たちを尚早に促すのだ」
風の龍か・・・
尚早ではない
もはや熟しておるのだ
りゅう「何・・・」
わしはこの時期を待ち続けてきた
今はそのときだ
りゅう「馬鹿な」
向こうの世界と調整をしてきたのはこのわし
事情は分かっている
りゅう「この者たちは私の担当なのだ」
・・・お主に言うことはない
ここはわしの縄張りぞ
お主は出ていけ
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ・・・龍がいない・・・」
行くがよい
東北空耳(ひがしきた くうじ)「わかった」
岩手ひかり「・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「岩手・・・」
岩手ひかり「私は行きませんよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・じゃあ俺一人で行ってくる」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「みんなにはよろしく伝えてくれないか」
岩手ひかり「先輩やめましょ! 龍も言ってたじゃないですか、まだ尚早だって!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「もう決めたんだ。行く」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「じゃ、またな」
岩手ひかり「先輩!」