四人、カラオケ浄化訪問(脚本)
〇オフィスビル
熊元治(くまもと おさむ)「ここか・・・普通のビルだな」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「よし、注意事項をじゃあ確認するぞ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「1 聞かれてもケータイの番号は教えない 2 学校名は言わない 3 家の住所は教えない」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「いいな?」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「はいよー」
熊元治(くまもと おさむ)「おう」
宮城まつき「いぇーい」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
〇高層ビルのエントランス
女「こんにちは~ 参加希望の熊元さんですか?」
熊元治(くまもと おさむ)「あ、はい そうです」
東北空耳(ひがしきた くうじ)(ん。何か昔の服だな)
宮城まつき「どこの服だろ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「声大きいよ」
宮城まつき「はいはい」
女「どうぞ、こちらです」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
女「どうぞ お入りください」
熊元治(くまもと おさむ)「え ここって・・・」
宮城まつき「わー いいねー!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「カラオケ??」
女「そうです 皆さんお待ちしていました」
女「では私は失礼します」
男「いらっしゃい どうぞ入ってよ」
熊元治(くまもと おさむ)「はい こんにちは」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「どうも初めまして」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「見学に来ました~」
宮城まつき「よろしくです~」
熊元治(くまもと おさむ)「あれ。向こうの人は?」
男「ああ、あれは待ってるんだ。もう一人来るらしいんで」
男「あれー メール返事がないなー」
男「どうして返事がこないんだろ」
男「電話で確認を取ってるようだ まあ気にしなさんな」
熊元治(くまもと おさむ)「はい・・・」
男「まあ堅い話もなんだ・・・ここで遊びながら話そうじゃないか」
熊元治(くまもと おさむ)「そういうことですか」
男「知り合いがうちの会員なんだって?」
熊元治(くまもと おさむ)「ええ。そうです・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「すずきけんじってご存じですか。その人が入ってて勧められたものですから」
男「そうかね。知らないが、他の地区の方かもしれないね」
男「君たちはまだ高校生のようだが、今日のことは親の許可は得ているのかな」
熊元治(くまもと おさむ)「話してません。仕方ないです、こういうことに理解がないもので」
男「ははは。そうだろうね・・・まあよくある話だね」
男「私の名前は興山(こうやま)だ。よろしく」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「東橋です」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「千田です。今日はよろしくお願いします」
宮城まつき「宮田でーす。よろぴく~」
女「北園寺(ほくおんじ)です」
男「聖楽(せいらく)です」
宮城まつき「最近、入会者っていました?」
男「ああ、もちろんだ 前に二人・・・、その前も一人いたよ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「えーすごーい」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あたしたち地元が千葉なんですけど、そこから入会者いますー?」
男「それは覚えてないな・・・」
男「どうして?」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「え。地元だから?同じ人がいれば心強いし」
男「・・・」
女「当たり前だけどみんな把握してるわけじゃないからね」
男「そうそう」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あ、そうですよね・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「すいません」
宮城まつき「あたし、何か歌いたーい」
男「そうだね 歌でも歌いますか」
宮城まつき「わーい」
東北空耳(ひがしきた くうじ)(もうちょっと聞きたいことあったけどまあいいか・・・ 空気が少し和むしな)
熊元治(くまもと おさむ)(高の木わりとオンチだったんだな・・・ ははは・・・)
東北空耳(ひがしきた くうじ)「久しぶりに歌ったなー」
男「何でこんな世界に~♪ 俺は生まれた~♪」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「はぁー まいったなー もう歌いたくない」
男「学校も大変だろう~」
熊元治(くまもと おさむ)「ええ。まあ」
男「なんて学校なの?」
熊元治(くまもと おさむ)「えっと・・・」
熊元治(くまもと おさむ)(何て言うんだっけ・・・ 打ち合せで覚えた名前を忘れた)
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「改竄(かいざん)高校です」
男「・・・そんな名前のとこ知らないなー 私も昔は千葉にいたんだけどね」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・あ・・・まあ最近できたばかりなんで」
男「なるほど」
女「あたしも高校生」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「えーほんとですか」
女「日本の学校なじめなくて」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あー わかる 私もそういうときあります」
男「日本って遅れてるよね」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・そうですね!」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(遅れてる?何が? ま、いいか)
東北空耳(ひがしきた くうじ)(向こうに座ってる人は歌わないのかな・・・)
東北空耳(ひがしきた くうじ)(何かあそこでじっといられると妙に気になる・・・ 歌わないのは少し付き合い悪いな・・・)
男「俺も歌っていい?」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あ、はいはい。どうぞ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)(あ、一人増えた~ これであたしはあまり歌わずに済む~ ラッキー)
熊元治(くまもと おさむ)「あのー」
男「何だい」
熊元治(くまもと おさむ)「この前私が訪れた東京の相互会の寮なんですけど」
男「はい、その話は聞いてるよ」
熊元治(くまもと おさむ)「警察官の方っています?」
男「いや、あそこはいないね」
熊元治(くまもと おさむ)「そうですか」
熊元治(くまもと おさむ)「警官やっててたまに寮に出入りする人もいませんか」
男「なぜ?」
熊元治(くまもと おさむ)「いや、体ががっちりしてる人が寮の近くにいたもんですから! 消防士か警官かな~と思って」
男「そうか。知らないな いないと思うが」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
男「ふう。歌った・・・」
男「ご苦労様」
男「ほんとだよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
男「ちょっと休憩にしません?」
男「え。いいけど・・・」
男「君達、じゃあここでしばらく待っててよ 我々は少しお菓子の準備をしてくるから」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ、はい」
男「よし、じゃ行こう」
東北空耳(ひがしきた くうじ)(四人とも出て行ったよ・・・)
宮城まつき「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
宮城まつき「どう思います?」
熊元治(くまもと おさむ)「うん。あの公園で会った奴らはやっぱり偽警官だと思う 今聞いたら警官はいないって言ってたから」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「福鳥さんのことどうやって聞こうか」
宮城まつき「そうですね・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「名前だしたらまずいよな・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・向こうに座っていたあの大きい人、ケータイをずっとこっちに向けてたな・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「それがどうかしたのか 何か画面をいじって見てたけど」
宮城まつき「高の木先輩、オンチでしたね・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「うるさいわね」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「何か体調がよくないのよ。いつもはもうちょっとうまいから」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・そういえばそうだよな 俺と前にカラオケ行ったとき同じ歌うたってたけどあそこまで下手じゃなかったよな」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あそこまで・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ。す、すまん」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
宮城まつき「え。団長、高の木先輩とカラオケ行ったんですか?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「す、すまん」
宮城まつき「ええええええ! やだー」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「すまん」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あそこまで・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「うむ」
男「君達・・・」
男「ほんとに入会したいのかな?」
熊元治(くまもと おさむ)「え」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「はい。そうですが」
男「・・・断るよ 冷やかしは困る」
熊元治(くまもと おさむ)「え・・・そんなつもりは」
男「もう帰ってくれ。まったく」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「す、すいません」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ、あの・・・ 相互会に福鳥という女の子が入会しませんでしたか!」
男「・・・」
男「・・・」
男「・・・知らないよ、そんな人は」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・そうですか」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「相互会に入会してるって聞いたんですが」
男「だから知らないって」
男「しつこいな」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ、じゃあ失礼しまーす 今日はどーもありがとございましたー」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「みんな帰ろう」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「仕方ないわね」
宮城まつき「はーい」
男「人間不信になりそうだわ」
〇オフィスビル
東北空耳(ひがしきた くうじ)「ふう。何かほっとするな」
熊元治(くまもと おさむ)「何であんなこと急に言ったんだろう」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「もしかしてばれた?」
熊元治(くまもと おさむ)「俺もそう思う なんか変じゃね?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「おそらくケータイだ」
熊元治(くまもと おさむ)「え」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あれはケータイ型の思考盗聴器だと思う」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「つまりあのケータイ電話を使って相手の周波数を読み取ることができる・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そうやって何を考えてるのか分かる機械があるらしいんだ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そういうのネットの掲示板で読んだことがある」
宮城まつき「さすが団長~博識~」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ほんとなの?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「うん・・・ 機械から周波数を出すことで相手の気持ちを変えたり体調も悪くできるそうなんだ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あの離れた席に座っていた大きな男、それを使って俺たちを調べていたんじゃないか」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「俺が何でカラオケで歌わないんだろ?って思った直後に歌い始めたしな」
熊元治(くまもと おさむ)「それならつじつまが合うな」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「だからあたしの歌が下手だったわけか」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「それは・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「どうしたの」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「とにかく!俺たちの考えは読み取られていたわけだ」
熊元治(くまもと おさむ)「ケータイかー・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「あ!! まず!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「どうした」
熊元治(くまもと おさむ)「俺ケータイあの部屋に忘れてきたっぽい!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「まじか」
熊元治(くまもと おさむ)「うん。急いで戻るわ ここで待ってて!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「お、おう」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「大丈夫かな」
宮城まつき「がんばれー」
〇高層ビルのエントランス
熊元治(くまもと おさむ)「あれ。誰もいないな」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
女「あいつら・・・友達だと思ったのに」
男「まあまあ」
男「まあ気づいてなかったみたいだし、上出来だよ」
男「そうだな 全く役に立つよ」
男「パクさんは慣れているからね」
女「だいたい嘘だったんでしょ?」
男「そうだよ。たいがい嘘つきだよ」
男「これが日本人の正体だよ。わかっただろ?もう信じるな 多様性がないんだ」
男「ぐぬぬぬ・・・」
女「ちくしょう!!!」
女「ざっけんなあ!!」
男「あいつ福鳥って言ってたけど、パクさんの担当?」
男「聞いたことはある。そうだ」
男「まだ生きてるの?」
男「さあな」
男「CIAのあれ、俺も欲しいなー。リさん今度調頼める?」
男「そうだな・・・仏敵の調伏に使うかもしれないし・・・今度バーで頼んどく」
熊元治(くまもと おさむ)「あのー すみません」
熊元治(くまもと おさむ)「あった! 俺のケータイ」
男「忘れ物か」
熊元治(くまもと おさむ)「はい、すみません じゃ」
男「・・・」
女「今の聞かれた?」
男「・・・」
男「どうだろうな・・・」