ミラクルレボリューションNo.69(ロック)

本田すみれ

エピソード1(脚本)

ミラクルレボリューションNo.69(ロック)

本田すみれ

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〇女の子の一人部屋
笛吹かな「えっ、そんな・・・・・・ フジマウンテンズのしむらくんが 亡くなったってウソでしょ?」
  音楽ニュースサイトにもYahooニュースにも
  容赦なく彼の訃報は載っていた
  亡くなる数日前まで日記、まあブログを更新してたのに本当に信じられない。
笛吹かな「やだよぉ。生き返ってよ清村」
  そのすぐに風の噂で清村がミュージシャンを目指すきっかけになった奥多が泣きながら清村くんの歌をライブ会場で歌った話を聞く
笛吹かな「おかしいよ。 こんなことって・・・・・・ やだ、信じたくないよ」
  でも残酷なことに翌日の新聞のお悔やみのお知らせにはロックバンド「フジマウンテンズ」清村将彦と載っていた。

〇見晴らしのいい公園
笛吹かな「あれから全然眠れない。 人って突然死んでしまうんだ。 そして時なんて取り戻せないんだ」
  悲しいくらい星空はきれいで
  あの星のどれかが
  清村さんなのかな・・・と思う
笛吹かな「ねえ、清村くん。 私一度もライブ行けてないんだ。 それなのにあなたは天国へ 行っちゃった」
笛吹かな「もっとね、もっと 清村くんの新曲聴きたかったよ。 でも眠る暇も惜しんで ひたすら曲作らなくても 良かったじゃん」
  生前清村さんは食事も睡眠もろくに取らず、
  ひたすら音楽を作り続けていたという。
笛吹かな「清村くんの新曲聴けるの だいぶおばあちゃんになってからに なっちゃうね・・・」
  あれからフジマウンテンズの
  歌を聴けてない。

〇大きな公園のステージ
清村将彦(しむらまさひこ)「えー、来年にはレコード会社を移籍して 新アルバムを出す予定です」
清村将彦(しむらまさひこ)「まあ、風邪くらいは引いときたいかな」
  私は清村くんの最後のライブ映像を
  見ている
  亡くなる数週間前のライブであった。
清村将彦(しむらまさひこ)「ラストは茜色の若者を聞いて下さい。 フジマウンテンズでした!」
  ダメだ、茜色を聴いたら
  絶対泣くから
  ここまでしか見れない

〇島国の部屋
笛吹かな(今日で清村くんが亡くなって2ヶ月目の月命日だ。 どうして死んでしまったの?)
笛吹かな「はい、誰?」
山藤ダイスケ「オレだよ、ダイスケだよ」
笛吹かな「ダイチャンか。 久しぶりだね」
山藤ダイスケ「クラス離れてるもんな。 なあ、かなに相談なんだけど」
笛吹かな「なに?」
山藤ダイスケ「今さ、パソコンで音楽を作ってんだけどボーカルいないからかなちゃんやってくんない?」
笛吹かな「え、私でいいの?」
山藤ダイスケ「かなちゃんの歌は少ししか聞いたことないけど歌うまかったじゃん」
笛吹かな「そう?」
山藤ダイスケ「うん。 女性ボーカルの歌をやりたいけど どうしてもボーカルが必要なんだ」
笛吹かな「えっと、じゃあ ダイスケの部屋行く必要 あるんだよね? 私を襲わないでよ?」
  なにかいい気晴らしになればと彼の頼みを聞くことにした。

〇男の子の一人部屋
笛吹かな「でー。 いつ曲はできんの?」
山藤ダイスケ「なんかイマイチ音色気に入らなくてな」
笛吹かな「はーやーく」
山藤ダイスケ「あせるな」
  私は彼の本棚をあさることにした。
  エロ本でもあったらウケる
笛吹かな「こ、これは・・・・・・」
山藤ダイスケ「お前も好きなのか? フジマウンテンズ」
  そこにあったのは没後すぐに発売された
  彼らのフォトブックだった。
  買おうか悩んでいる間に
  売り切れていたのに
山藤ダイスケ「シンプルな伴奏だけど フジのあの曲のカバー音源 作ってあるから歌うか?」
  流れ出したのは茜色の若者
笛吹かな「清村くん、聞いてるかな? 今から歌ってみるね」
山藤ダイスケ「思うんだけどさ、かなだいぶ痩せたな。 清村の分まで生きようぜ」
笛吹かな「それはわかってるけど」
山藤ダイスケ「ちょっと振り向いて」
  いきなり私の唇をふさいでくるダイスケ。
  えっ、キスされちゃった!?
山藤ダイスケ「なあ、かな。 君のことがずっと前から 好きだった」
笛吹かな「え? え?」
山藤ダイスケ「オレがかなを再び元気にするよ」
笛吹かな「あ、ありがとう」

〇ライブハウスのステージ
笛吹かな「えっと、ハイパーアルプスです。 今日はライブの途中で伝えたいことがあって」
笛吹かな「フジマウンテンズ、清村さん! また残された3人のメンバーさん! 私はあなたたちに憧れてここまで来ました!」
  思えば2年が経過していた。
  高3になった私たち2人は
  時々ライブハウスで
  ライブをやるようになっていた
笛吹かな「それじゃ聞いて下さい。 茜色の若者」
  ステージに清村くんの書いた歌をなぞる私の歌声が響いた。

コメント

  • 恋愛ものだったのがびっくりしました。
    最後にその後も書かれていて、とても楽しく読めました。
    やっぱり、人は愛が必要なんだな、と実感できます。

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