空耳、喫茶店でトランス状態(脚本)
〇大きい交差点
こうして俺たちは東京に福鳥一家をさがす計画を立て
それをこなしていくローラー作戦を行うことになった
そして月日は流れ・・・
それを行っているうちに夏休みに入ってしまった・・・
東北空耳(ひがしきた くうじ)「よーし」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「じゃあ今日はこの街を調べるぞ いつも通り・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「五人別々に分かれて、街の外側から内側に向かって調査を行う!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「寮のある大きいマンションをさがして、そこの聞き込みを行ってほしい」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「ここが街の中心なので、全部調べたらこの辺で待っていてくれ 暑いから店の中に入っていて構わないよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「では、健闘を祈る!」
熊元治(くまもと おさむ)「おう」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「オッケー!」
岩手ひかり「分かりました!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「おーう」
宮城まつき「ねえねえ せんぱ~い」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「ん?何だね 宮城団員」
宮城まつき「一緒に探しましょうよ~」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「いや。それじゃあ最初の計画が・・・」
宮城まつき「いいじゃなーい ね 先輩」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そ、そうかね・・・ そうだな・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ちょっと宮城さん 当初の計画通りやらないとみんなが迷惑するんだからね~!」
宮城まつき「ちえっ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「まったく」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あんたも何デレデレしてんのよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「いや。その・・・別に!!」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ちゃんとしてよね、団長!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「すまん・・・」
〇中規模マンション
熊元治(くまもと おさむ)「ふう あちー・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・うん。ここもマンションで寮だな・・・二棟あるみたい ついにここで三件目だな」
熊元治(くまもと おさむ)「大きな門があって中に入れないな・・・このインターフォンで呼ぶのかな」
熊元治(くまもと おさむ)「表札の文字がかすれて読みづらいな・・・ 相互浄研会(そうごじょうけんかい)? 何だろ・・・もしかして宗教かな・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「こんなところにはいないか・・・ 聞くのやめようかな・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「いや、だめだ。全部調査しろという決まりだ よし、気合入れて聞き込みするか」
男「何だ」
熊元治(くまもと おさむ)(下の事務所の受付の人かな 何か高圧的な気が・・・)
熊元治(くまもと おさむ)「あのう・・・友達を探しているんですが、最近こちらに引っ越してきた人はいますか?」
男「・・・そんな人はいないですよ!」
熊元治(くまもと おさむ)「え。そ、そうですか」
男「はい、そうです」
熊元治(くまもと おさむ)「ありがとうございます・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「ですがちょっと中に入って寮の人にお話をうかがいたいんですが」
男「だめだ うちは会員以外は立ち入り禁止なんだよ」
熊元治(くまもと おさむ)(そういうところか・・・ だが俺も伊達に二か月間聞き込みをしてきたわけではない!)
熊元治(くまもと おさむ)(ここはうまく言い訳を考えよう)
熊元治(くまもと おさむ)「あのー・・・ そのー・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「実は・・・その友達がこちらの相互会の人で、」
熊元治(くまもと おさむ)「私も会に興味があったものでうかがったのですが・・・」
男「そうか・・・」
男「入会希望者なら今度の土曜に懇親説明会をやるからあなたも参加してみます?」
熊元治(くまもと おさむ)「え・・・そうですね ぜひ参加したいです」
熊元治(くまもと おさむ)(めんどくさいな・・・ ま、仕方ないか)
熊元治(くまもと おさむ)「他にも友達呼んできていいですか?」
男「いいよ」
熊元治(くまもと おさむ)(急に寛容になったな)
男「じゃあ説明会の時間は・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
男「場所は・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・」
〇中規模マンション
熊元治(くまもと おさむ)(うまくいった・・・)
熊元治(くまもと おさむ)(住人のことはその説明会とやらで聞けばいい)
熊元治(くまもと おさむ)「よし、とりあえずまたマンションを探そう」
熊元治(くまもと おさむ)(あれ?)
熊元治(くまもと おさむ)(あ。あの人! やべ。隠れよう!)
辰場(しんば)「・・・」
男「お疲れ様です」
辰場(しんば)「うん。ご苦労」
熊元治(くまもと おさむ)(寮に入って行った! 間違いなく公園のときの偽警官だったな)
熊元治(くまもと おさむ)「この寮 どうも怪しいな・・・」
〇レトロ喫茶
待ち合わせ場所に近い喫茶店
東北空耳(ひがしきた くうじ)「いやー ここは涼しいな」
宮城まつき「ほんとですね、先輩~」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そのメロンソーダおいしい?」
宮城まつき「うん 先輩も飲んで!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「え・・・でもな」
宮城まつき「大丈夫ですよ、あたしが飲んだだけだから ほら、ほら!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そうだな」
岩手ひかり「熊元先輩まだかな・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「ちょっとー 何してるの!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ、お帰り・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ、いや 飲もうと・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「団長にはアイスコーヒーがあるでしょ!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そうなんだが・・・」
宮城まつき「いいじゃないですか~ お互いに注文したものを味見ですよ、味見 ね、先輩」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「その通りだ宮城団員」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「遊びじゃないのよ!」
宮城まつき「わかってますよ~」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「ははは」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「なーにが「ははは」よ 捜査は進んだの?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「こっちはとくになしだ」
宮城まつき「あたしも 聞き込みしたけど、福鳥なんて 人は越してきてないって」
岩手ひかり「高の木先輩 私も収穫は0でした」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「千穂のところは?」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「同じくないね」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そうか」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「まあいつものことだ!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「またどっかで遊んで帰ろうぜ」
熊元治(くまもと おさむ)「ただいま~」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「おっかえりなっさいませ~」
熊元治(くまもと おさむ)「・・・・・・・・・というわけなんだ 今度の土曜日にあの相互会の説明会に参加して聞き込みをした方がよくないか?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「おいおい 何かやばい気がしてきたな」
岩手ひかり「先輩、それ危ないですよ」
熊元治(くまもと おさむ)「え。そんなやばいのか。あそこ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「知らねーのかよ 相互浄研会は関東最大の教団だぞ。あまりいい噂は聞かないしな」
岩手ひかり「うん。裏で政治家やヤクザとも関係してるってうちの親から聞いたことがある」
熊元治(くまもと おさむ)「マジ・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「じゃあどうする?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「うーん・・・」
岩手ひかり「・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「けど犯罪の臭いがめちゃくちゃする やっぱり福鳥さんに何かあったんだよ」
熊元治(くまもと おさむ)「高の木もそう思うか」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「もしかしてあの偽警官のグループにさらわれたのかも」
熊元治(くまもと おさむ)「俺もそれ思ったわ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「手を引くか・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「えーーーーーーーーー」
熊元治(くまもと おさむ)「ここまで来てか・・・そりゃないわ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「やばいだろ、巨大組織相手にしてもめごとは」
熊元治(くまもと おさむ)「お前、相手が誘拐団でもヤクザでも捜査は続けるって言ってたよな?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「そりゃそうだが・・・相手が悪すぎるんだよ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「いくじなしー いくじなしー いくじなしー」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「オウムか!」
宮城まつき「えー じゃあ探偵団もこれで解散ですかー?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「うーん・・・そうなるかな」
宮城まつき「えーやだー そんなのやだー これで終わりなんてー!」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「そして何で腕を絡ませるのかしら、このコ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「不純性異性交遊はやめてくださいね」
宮城まつき「不純じゃないもん 真面目だもん」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あのね。団は恋愛禁止なのよ!ダメに決まってるでしょ!」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「いつから決まったんだ・・・」
宮城まつき「やっぱ嘘なんですか」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・うん」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「くっ!」
岩手ひかり「団長。こっからは警察に相談したらどう? ここまでわかれば取り合ってくれますよ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「いや・・・ それは・・・ できない・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「警察は危険だ・・・ 相互浄研会のメンバーが・・・警察組織にスパイで入り込んでいる・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「というー・・・ 話をー・・・ ネットで読んだことがあるんだ・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「そんなことまでしてんのか、その宗教は」
熊元治(くまもと おさむ)「けど、このまま福鳥を放っとけないよ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「そいつ呆けてるよ」
熊元治(くまもと おさむ)「みたいだな」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「大丈夫だ・・・ 意識はまだある・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「思うんだが・・・ 今回は各自の意志で決めようと思う・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「意志?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「俺は説明会に参加する・・・ だが、他の団員に強制するわけにはいかない・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「俺も行くよ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「あたしも」
岩手ひかり「ごめんなさい。先輩方 あたしは今回参加は見合わせてもらいます・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「わかった・・・ 宮城団員は?」
宮城まつき「行くっ」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「はいはい」
岩手ひかり「・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「ふふふ・・・ ・・・あれ?何かいるな。あそこに」
宮城まつき「何がですかー?誰もいないですよ」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「いよいよ白昼夢でも見だしたようね」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「いや、いるって。何かもやもやした長いものが・・・」
宮城まつき「先輩大丈夫ですかー」
熊元治(くまもと おさむ)「もやもや?長い?」
!!
りゅう「・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「あ。消えた・・・ 透明な蛇?いや・・・」
熊元治(くまもと おさむ)「え・・・視たの?」
熊元治(くまもと おさむ)「まさか・・・」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「ああ。今一瞬映った ・・・治が言ってた龍の感じに近かったな」
熊元治(くまもと おさむ)「まじか・・・ 何でここで視えるんだ?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「こんなところに龍が?」
東北空耳(ひがしきた くうじ)「・・・」
岩手ひかり「先輩大丈夫ですか」
岩手ひかり「・・・まさか何かとりついてない? うちの叔父が寺やってるんで、お祓いしてもらう?」
高の木千穂(たかのぎ ちほ)「寺・・・ そこで滝に打たれて煩悩を祓ってもらったほうが」
こうして俺たち四人は
土曜に行われる相互仏可会の説明会に
参加することに決めた