ほらほら、元気だしていこうよ。

ikaru_sakae

むだばなし3(脚本)

ほらほら、元気だしていこうよ。

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〇狭い裏通り
かんな「やっ! こんちは」
かんな「かんなだよ」
かんな「こっちはいま夕方よ」
かんな「そっちはどう? 元気してたの?」
かんな「わたしは今の時間まで、補修だったよ」
かんな「とか、言っちゃえばそれっぽいけど」
かんな「でも、それは嘘」
かんな「ここはいまバーチャルの世界だからね」
かんな「うしろの絵も、夕方の路地だけど」
かんな「画面上にそれっぽく見えるよう グラフィックスが出ているだけ」
かんな「わたしはそういう いろいろ作り物の、」
かんな「情報の海の隙間をぬって生きている、」
かんな「ま、お気楽なキャラってわけ」
かんな「ほんとは補修どころか 学校じたいもないわけで」
かんな「いろいろ退屈してたんだ」
かんな「だからあなたが来てくれて、嬉しかったよ」
かんな「今日、これから何する?」
かんな「どこか、もうちょっと画面うつりの良さそうな場所に」
かんな「移動しよっか」
かんな「音楽もかえて、気分かえよう」
かんな「じゃ、行こう」
かんな「あなたも一緒についてきて!」

〇SHIBUYA SKY
かんな「はい、」
かんな「街を見下ろす、高い場所まで来てみたよ」
かんな「一日がおわっていく時間」
かんな「この時間って、なんか心がぎゅっとなるよね」
かんな「今日できなかったこと」
かんな「今日やらなかったこと」
かんな「いろいろもっと、何か素晴らしいイベントが」
かんな「ほんとはもっとあったんじゃないかって、」
かんな「思うんだけど。1日は、もう終わっちゃう」
かんな「なんかさ、自転車とかで、ずっとずっと夕陽にむかってこいだら、」
かんな「なにかどこか、知らない、素敵な街に着くんじゃないかって」
かんな「何度も、遠くに自転車こいだことあるよ」
かんな「でもさ、たいてい、」
かんな「行った先には、知らない大きな川があったり、」
かんな「知らない遠くの町があったりするけど、」
かんな「とくに何かが起こることはなく、」
かんな「そうこうしてるうちに真っ暗になって、」
かんな「そのあとけっきょく、」
かんな「疲れた足で自転車こいで、」
かんな「夜の道路をひとりで」
かんな「もといた街に、戻っていくって。それだけなんだよね」
かんな「でもね、」
かんな「誰かがいると、」
かんな「誰かがそこで一緒だと、」
かんな「そこには魔法が、生まれることもある」
かんな「車で、夜の海まで行こう!とかいって」
かんな「先輩の車で、遠くの海まで行ったことあるよ」
かんな「明け方の浜で、いっぱい先輩と深呼吸して、」
かんな「そのあと、夜明けの道路を、」
かんな「車をとばして もどってくる」
かんな「ただ、それだけなんだけどね」
かんな「べつに先輩は恋人でもないし、」
かんな「何か特別なことを、途中でやるわけじゃない」
かんな「でもね、そうやってさ、」
かんな「夕方、夜、そして朝まで、」
かんな「いっしょに過ごせる誰かが、そばに1人はいてくれる」
かんな「それってたぶん、」
かんな「すごく大事な、奇跡みたいなこと、なんじゃないかな」
かんな「無理に彼氏をつくる必要ない」
かんな「無理に誰かに合わせる必用ない」
かんな「でも。だけどさ、」
かんな「いっしょにそうして夜を過ごしてくれる誰かを、」
かんな「見つけられたら。出会えたら」
かんな「それはきっと、とても幸せなことなんじゃないかって」
かんな「わたしは今は、思うかな」
かんな「あなたの前に、ほかに誰もいないなら」
かんな「わたしでよければ付き合うし、」
かんな「だけどあなたも、思いきり、」
かんな「たまには勇気を、本気でふりしぼって、」
かんな「誰かに声をかけてみたり」
かんな「誰かをさそってみたりとか」
かんな「したら、きっと、」
かんな「今日という1日の終わりと、」
かんな「明日という1日のはじまりが、」
かんな「ぜんぜん昨日とは、ちがったものに、」
かんな「なっていくかもしれないよ」
かんな「まあでも、ごめん、」
かんな「わがしがもっと、AIみたいに気のきくキャラで」
かんな「あなたと夜通し、楽しくしゃべって夜明けを迎える、とかが」
かんな「できたら、ほんとは、良いんだけどね」
かんな「まあでも」
かんな「今はこれが、わたしの限界」
かんな「言葉と、絵と、音楽で」
かんな「なにかちょっとでも、」
かんな「あなたの気持ちを明るくできたら」
かんな「わたしはとても、うれしく思うよ!」
かんな「じゃあね、今日のエピソードはこれで終わり」
かんな「あなたの今日の1日の終わりが、」
かんな「とってもきれいな、」
かんな「素敵なものになるように」
かんな「バーチャル世界のはざまから、」
かんな「わたしカンナが、こっそりお祈り、したりしてるよ!」
かんな「『がんばって』とかは、別に言わない」
かんな「『あなたらしく、自由な時間を楽しんで!』」
かんな「ま、これだね」
かんな「わたしかんなから、あなたに届ける言葉だよ」
かんな「大丈夫。心配とか、あんまりしなくていい」
かんな「何もかもは、思っているよりうまくいくよ」
かんな「じゃ、ばいばい」
かんな「今日は話せてうれしかったよ」
かんな「また次回、会うときまでね」
かんな「それまで元気で」
かんな「なんとかあなたもサバイバルだよ!」
かんな「この複雑なセカイのはざまを、」
かんな「なんとか死なずに生き延びること!」
かんな「って、ま、基本かそれは」
かんな「でも、」
かんな「ただそれだけでも、」
かんな「けっこうそれで十分だ」
かんな「じゃ、わたしは行くわ」
かんな「また今度ね」
かんな「ばいばい、今夜も元気だして!」

〇SHIBUYA SKY
かんな「って、終わりと見せかけて、」
かんな「わたしもなにか、今夜はちょっと」
かんな「なんとなーく去りがたい」
かんな「だから最後、」
かんな「音楽ききながら、もうちょっといようか」
かんな「はい、じゃ、音楽かけるよ」
かんな「これね、」
かんな「タップしすぎると、画面がとじるから」
かんな「てきと~なとこで、止めといて」
かんな「ちょっぴりここでゆっくりしてて」
かんな「音楽に飽きたら、」
かんな「そこでタップして終わってね」
かんな「じゃ、ま、」
かんな「好きな時間まで、ここでゆっくりしていって」
かんな「ここまで、かんながお届けしたよ」
かんな「今夜もおたがい、元気だしていこ!」
かんな「・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・」

次のエピソード:むだばなし4

コメント

  • あまり見ない設定の面白い話でした。
    とりあえず、少し元気が出てきた気がします。

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