探偵渋谷と109個目の煩悩

Kumi

探偵渋谷と109個目の煩悩(脚本)

探偵渋谷と109個目の煩悩

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〇渋谷駅前
  109から飛び降りる

〇渋谷駅前
  スクランブル交差点で待っているあの女子高生も、携帯を見ているサラリーマンも
  誰も私に気付いていない。2019年の春。

〇渋谷駅前
渋谷「遅い 7時ハチ公前って言ったじゃないか」

〇渋谷駅前
  す、すみません
  寝坊してしまって

〇渋谷駅前
渋谷「おいおい 俺の部下になって早々寝坊とは、随分なめたもんだなあ」
  すみません、、
  渋谷さん、怖いなあ
渋谷「今、俺に「渋谷さん、怖いなあ」って思っただろ」
渋谷「とにかく、現場へ行くぞ」
  は、はい!
  なんで分かったんだ

〇広い公園
  それで、渋谷さんは事件夢を見たのですね?
渋谷「ああ これで最後なはずなんだが、な」
  渋谷さんは事件の予知夢をきっかけに解決するらしい

〇広い公園
  最後ってどういうことですか?

〇広い公園
渋谷「俺の夢で起こる事件は、人の煩悩から来ているんだ」
渋谷「あれが欲しい、認められたい、そんな人間の煩悩が事件となって俺の夢に現れるんだ」

〇広い公園
  なるほど
  それで今回で108回目の事件になるのですね
  それで、渋谷さんはどんな夢を見たのですか?

〇広い公園
渋谷「ああ 昨日の夜に見たんだがな、、」

〇田舎の公園
渋谷「ここは公園か」

〇公園のベンチ
渋谷「君 ここで何しているんだい?」
女の子「・・・」

〇公園のベンチ
渋谷「あっ ちょっとおい、待ってくれ」

〇公園のベンチ
女の子「おじさん、誰ですか」
渋谷「お、おじさん」
  これでもまだ27なんだがな

〇公園のベンチ
渋谷「特に名乗る者でもないんだが、ちょっと君が気になってな」
女の子「何それ 尚更怪しすぎ」
渋谷「で、今何をしていたんだ?」
女の子「別に何ってわけじゃないよ 待ち合わせしている友達が来なかったんだ」
女の子「ずっと待ってるんだけど、もう来ないみたい 私も帰らなきゃ」
渋谷「そうか、じゃあな」

〇公園のベンチ
女の子「絶対来るって言ってたのに」
女の子「・・・許せない」

〇公園のベンチ
女の子「今日来なかったこと、後悔させてやる」

〇田舎の公園
渋谷「って訳だ」

〇田舎の公園
  待ち合わせに来ない友達への怒りで公園を燃やす・・・
  本当かよ

〇田舎の公園
渋谷「お前、疑っているのか まあ良い。見てろ」

〇田舎の公園
  あっ。天気が、、

〇田舎の公園
渋谷「ほら、いたぞ」

〇田舎の公園
渋谷「お前がいけ」
  ええっ!?
  これが初めてなんですよ!嫌ですよ!!
渋谷「いいから行け」
  ・・・

〇公園のベンチ
  こ、こんにちは〜、、
  か、帰らないで!
女の子「おじさん誰ですか」
  お、おじさん、、
  これでも23なんだけどなあ、、
  てか渋谷さん
  これ言われるの嫌がって行かせたな
  えっと、、
  単刀直入に言うと、君の友達は、来ないよ
女の子「はあ? 急になんなんですか。あと何でその事知ってるの」

〇公園のベンチ
  き、君の、、お友達の従姉妹が俺の知り合いなんだ!
  いや遠すぎ、、
女の子「ふーん 実は連絡が取れなくて、待つか迷ってたんだ」
女の子「ありがとう。帰ることにするよ おじさん」
  それは良かったよ
  おじさんじゃないけどな

〇田舎の公園
  帰るみたいですよ、渋谷さん
渋谷「ああ、、なら良かった これで事件解決だ」

〇一人部屋
  ・・・今日はいろいろあったな
  ?
  渋谷さんからだ
渋谷「おい、明日も来い。7時ハチ公前だ」
  えっ!ちょ、ちょっと!
  切れた・・・
  それにしてもなんで明日も?

〇渋谷駅前
渋谷「今日は間に合ったな。こっちだ」

〇渋谷駅前
  スクランブル交差点・・・?

〇渋谷駅前
渋谷「ああ 上を見てみろ」
  上?
  何もないですよ?
渋谷「違う。『SHIBUYA109』の上だ」

〇SHIBUYA109
  あ!あの子!!

〇SHIBUYA109
女の子「こんなところにいるのに、誰も気付いてくれない、、」
女の子「昨日の待ち合わせでも来てくれなかったし」
女の子「私はもう、要らないんだ、、」

〇渋谷駅前
  あの子
  今に飛び降りそうじゃないか!
  渋谷さんっ!
  早く行かないと!
渋谷「・・・」

〇SHIBUYA109

〇SHIBUYA109
  だ、だめだ!!

〇一人部屋
  やめろ────!!!!
  ・・・
  ・・・
  自分の部屋?
渋谷「お前も見たようだな、行くぞ」

〇SHIBUYA109
  渋谷さん!
  これどういうことですか!
渋谷「まあ話は後だ。上へ急ぐぞ」

〇開けた景色の屋上
女の子「・・・」
渋谷「おい、飛び降りたって何も変わらないぞ」
女の子「き、昨日のおじさんと、、知らないおじさん! 何でここにっ」
  そうか、渋谷さんの事は知らないのか、、
  これから飛び降りようとしているよね
  まず理由を聞かせてくれないかな
渋谷「君、、」
  し、渋谷さん!?
  聞いたのは女の子の方なんだけど、、

〇開けた景色の屋上
渋谷「SHIBUYA109のロゴ、だろ」

〇開けた景色の屋上
  ・・・
  ・・・は?
女の子「・・・そうよ」
  え?

〇開けた景色の屋上
渋谷「SHIBUYA109のロゴは、2019年4月29日をもって変わる」
  明日じゃないか
渋谷「でも誰もそのことに関して関心を持ってくれない。だから落下しようとしたんだろ?」
女の子「そう。明日で私はいなくなるというのに、誰も興味をもってくれない」
女の子「昨日が最後の日だったから、行くよって連絡くれた子達も 結局来てくれなかった」
女の子「私なんかもう必要ないんだ!!」

〇開けた景色の屋上
渋谷「本当にそうなのか?」
渋谷「これを見てみろ」
女の子「ウェブ投票?」
渋谷「これは、新しいお前のための投票サイトだ 沢山の人がお前の事を想っているんだ」
女の子「でも結局今の私は要らないって事じゃ」
渋谷「それは違う 「変わらなくていい」そういう声だってあったんだ」
渋谷「でも、時代が変わっても多くの人がお前の事を大切にしてくれるように、お前は変わるんだ」
渋谷「お前は、これからもっと、愛される」
女の子「なんだ、そうだったんだ、、」
女の子「知らなかった ありがとう、おじさんと知らないおじさん」
渋谷「渋谷だ」

〇渋谷駅前
渋谷「まさか俺が煩悩の109個目を見るとはな」
  昨夜の事件夢ですよね
  でもなぜ自分まで、、
渋谷「俺にとって109個目だが、お前にとっては1個目だな」
渋谷「ようは、次からはお前がよろしく☆って事だ」

〇渋谷駅前
  えええええ───!?

〇事務所
  あれから、渋谷さんは夢を見なくなったらしい
  そして代わりに自分が事件夢を見るようになってしまった、、
  そしてもう1つ変わったのは・・・
SHIBUYA109「せーんぱいっ! 昨日はどんな夢を見たんですか?」
  新しく生まれ変わった後輩ができた事だ

コメント

  • 予知夢っていいですね。
    犯罪を未然に防げそうですが、当事者にも色々あるって感じもします。
    新しくなった彼女は事務所に来るようになったんですね。笑

  • 発想がとてもユニークだと思いました✨
    最初の時点で「えっ!?」と思ったのですが、
    それがあのオチに行くのは想像ができなかっってです🤭

  • 人の煩悩の数だけ予知夢が見れるという着眼点が非常に面白いなと思いました!そしてロゴを女の子に例えたりと表現が素敵ですごく面白い作品でした!

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