TVA PROJECT -東京バーチャルアクションプロジェクト-

近山 友夏

読切(脚本)

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近山 友夏

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  ___
  __システム、起動
  システム名、TVA PROJECT
  参加者のログイン準備に移行します

〇渋谷のスクランブル交差点
  計、50名のログインを確認
  初めまして。ようこそTBA PROJECTへ
  ここは東京某所をモデルとした仮想空間
  貴方達は渋谷エリアの参加者です
  これはプレイヤー同士での戦闘ゲームです
  最後まで勝ち残ったプレイヤーには5000万円を差し上げます
  では、良いバーチャルゲームを
  仮想空間ですから、躊躇いは不必要です

〇狭い畳部屋
No.06_メグミ「婆ちゃん!」
No.06_メグミ「私応募した!TBA PROJECTっていうバーチャルゲーム!」
メグミ祖母「ゲームばっかり!」
メグミ祖母「少しは勉強しなさい!」
No.06_メグミ「してるもん!」
No.06_メグミ「でも、優勝したら5000万円だよ?!」
No.06_メグミ「そうしたら、生活うーんと楽になるでしょ?」
メグミ祖母「メグちゃん・・・」
メグミ祖母「その気持ちだけで嬉しいよ」

〇渋谷のスクランブル交差点
  私は絶対に負けない
  婆ちゃんを楽させてあげるんだ。
  ここまで育ててくれた婆ちゃんに、恩返しするんだ!
No.06_メグミ(まずは様子見だ)
No.06_メグミ(見つけ次第倒していこう)
  普通のバーチャルアクションゲームだ
  痛覚までは感じないように設定してあるだろう
No.06_メグミ(折角なら楽しもう!)

〇センター街
No.06_メグミ(それにしても凄いな・・・)
No.06_メグミ(本当に渋谷の中みたい)
No.06_メグミ(東京観光〜!なんちゃって)
No.06_メグミ(敵?!)

〇センター街
  私は暫く隠れていた
  闇雲に突撃しても攻撃の的になるだけ
  でも
  隠れ続ける訳にも行かない!
No.06_メグミ「死体?」
  血まみれだ。ぐったりと動かない。恐らく参加者だろうか
No.06_メグミ「脱落者・・・って事なのか?」
No.06_メグミ(にしては、やけにリアルな残骸だ)
No.06_メグミ「・・・まさか、ね」
  No.36、脱落
  残り49名

〇ハチ公前
No.06_メグミ(油断している所、申し訳ないね)
No.06_メグミ(してる方が悪いのさ!)
  私は引き金を引いた
No.06_メグミ「はっ!」
No.09 ミチコ「がっ・・・!」
No.06_メグミ「え・・・?」
No.06_メグミ「嘘」
No.06_メグミ「血が」
No.06_メグミ(これはゲーム、これはゲーム)
No.06_メグミ(リアルに見せかけているだけだ)
  プレイヤーに駆け寄り、倒れた体を起こす
  身体に温もりがあって安心する、が
  束の間、急速に冷えていく
No.06_メグミ「殺し・・・」
No.06_メグミ「違う、そういう演出だ!」
No.06_メグミ「・・・でも、本当に」
No.06_メグミ「ただのバーチャルゲームなのか・・・?」
  No.09、脱落
  残り48名

〇SHIBUYA109
No.06_メグミ(どうしよう)
No.06_メグミ(温度感知もリアルに作られているのか?)
No.06_メグミ(でも、流石に悪趣味だ)
「みーっけ!!」
No.23_アイナ「ラッキー♡」
No.23_アイナ「ねぇ、私にやられてよぉ」
No.23_アイナ「私のひー君が賞金待ってるんだからぁ!」
  突然の事で体勢を崩し、彼女の攻撃を受けてしまった
No.23_アイナ「うっ・・・」
  痛い
  痛い痛い痛い
No.23_アイナ「あはぁ♡ひー君!私優勝するからね!」
No.23_アイナ「だから見捨てないでぇ!!」
  本能が告げている
  これはゲームじゃない
  デスゲームだ
  でなきゃあの血も、この痛みも、リアルじゃ説明がつかない!
  死ぬ!!
No.23_アイナ「ひーくぅん!!!!!」
No.06_メグミ「いや!助け・・・!」
「ひー君・・・」
「わたし、まだ」
No.01_フユキ「脱落だ。諦めろ」
No.06_メグミ「貴方・・・」
No.01_フユキ「探したぞ」
No.01_フユキ「No.06」
  No.23、脱落
  残り47名

〇渋谷のスクランブル交差点
  ゲームは残酷に進んでいった
  目が合ったら、殺しにかかってくる
  皆の悲鳴、呻き声、舞い散る夥しい血
  ゲームで片付けるには、過激すぎる代物だった
No.06_メグミ「戦いたくない」
No.06_メグミ「殺したくない」
No.06_メグミ「もう誰か終わらせてよ」
No.01_フユキ「お前の決意はそんなものか?」
No.01_フユキ「何故参加した」
No.01_フユキ「正直、迷惑だ」
No.01_フユキ「金欲しさに戦闘放棄する奴なんて」
No.06_メグミ「こんなの人殺しだ!」
No.06_メグミ「デスゲームだ!」
No.06_メグミ「婆ちゃんになんて言えばいい!!」
No.06_メグミ「殺しても婆ちゃんは喜ばない!!」
「ぶっつぶしてやるう!!!」
No.17_ゴロー「くらえ!俺様の一撃!!」
No.01_フユキ「下がれ!!」
No.17_ゴロー「ぐふぅぅう?!?」
No.06_メグミ「そんな・・・」
No.06_メグミ「貴方はこんなことして平気な訳?!」
No.06_メグミ「他のプレイヤーもそうだ!」
No.06_メグミ「皆、機械みたいにこのゲームに従順だ」
No.06_メグミ「私だけおかしくなっちゃったのか?」
No.01_フユキ「これはゲームだ」
No.01_フユキ「どうせリセットされて元通りさ」
No.06_メグミ「ゲームじゃない!!」
No.01_フユキ「・・・」
No.06_メグミ「ゲームと思ってるならもう終わらせてよ」
No.06_メグミ「私を殺して」
No.06_メグミ「それが最善だ」
No.01_フユキ「お前・・・」
No.06_メグミ「だってもう」
  No.17、脱落
  残り、2名
No.06_メグミ「私達2人だけだから」

〇渋谷のスクランブル交差点
No.01_フユキ「最後まで戦闘放棄か」
No.01_フユキ「引き金を引け」
No.01_フユキ「そうすればお前の勝ちだ」
No.01_フユキ「引け」
No.06_メグミ「嫌」
No.01_フユキ「親族に孝行するんじゃないのか」
No.06_メグミ「・・・なんで知っているんだ」
No.01_フユキ「引け」
No.06_メグミ「私を殺せばいいだろ!」
No.06_メグミ「ゲームだと思ってるなら尚更!」
No.06_メグミ「だからお願い!!」
No.01_フユキ「・・・修正余地、ゼロ」
No.06_メグミ「・・・は?」
No.01_フユキ「分かった」
No.01_フユキ「引き受けよう」
No.01_フユキ「お前の91回目の望みを」

No.01 フユキ「じゃあ、また後で」
「メグミ」

〇研究所の中枢
「TVA PROJECTの進捗はどうかね」
「それが・・・」
「No.06が未だプログラムに拒否反応を起こしています」
「これで91回目だぞ・・・」
「新宿、浅草エリアは共に問題ないのだが」
「こいつのせいで渋谷エリアの開発が進まんな・・・」
「自我が芽生えてプログラムに抵抗している、とか?」
「もっとマシな冗談をつけ」
「人工知能が自我を持つなんて有り得んだろう」
「とにかく、もうNo.06は削除だ」
「次のキャラクターデザイン案を募集するように」
「待ってください」
???「俺が引き続き修正にあたります」
???「だから、どうか」
「・・・迅速に頼むぞ」
???「はい」
「東京モデルの仮想空間での夢の人工知能同士のバトルゲーム」
「開発まであと一歩!」
「はい!!」

  ___
  __システム、起動
  システム名、TVA PROJECT
  参加者のログイン準備に移行します

〇渋谷のスクランブル交差点
  計、50名のログインを確認
  初めまして。ようこそTBA PROJECTへ
  ここは東京某所をモデルとした仮想空間
  貴方達は渋谷エリアの参加者です
  これはプレイヤー同士での戦闘ゲームです
  最後まで勝ち残ったプレイヤーには5000万円を差し上げます
  では、良いバーチャルゲームを

〇渋谷のスクランブル交差点
No.06_メグミ「あ」

  仮想空間ですから、躊躇いは不必要です

コメント

  • 凄く難しい構成なのにすらすらと頭に入ってくる、作者さんの力量を感じる作品でした!
    全て話をも読み進めていくと理解できていく…読んでてとても楽しかったです!
    この後のNo.6の実験はどれくらい続くのだろう…

  • 2000文字に収まっているとは思えないほど
    とても完成度が高い作品でした🙌
    バーチャルだと思ったらリアルだった…
    と考えるとゾッとしてしまいますね🥲

  • 主人公の気持ちに寄り添いながら読み進めたので、途中からリアルなデスゲームと認知してました。彼女の心の移り変わりも人間らしくて、まさかあんな結末だったとは!!映画化できそうなくらいの世界観があって、とてもおもしろかったです。

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