読切(脚本)
〇SHIBUYA109
中1の夏。勉強熱心で真面目な私たち3人は、なんと今渋谷に来ています!
〇教室
──遡ること1週間前。
〇教室
長田メガネ「優子さん。私、渋谷に行ってみたいんです。今まで行ったことがなくて」
〇教室
真面目優子「真面目なメガネちゃんの口から渋谷って言葉が出るなんて思わなかった。面白そうだね。行こう!」
〇教室
由衣結子「なにそれ面白そう。私も入れてよ!」
〇教室
「いつからそこに!?」
〇教室
由衣結子「ずっといたよ!!」
〇教室
真面目優子「あはは。じゃあ決まりだね。2人が良ければ、来週の土曜授業の帰りがいいな!」
〇教室
「はい/オッケー!」
〇SHIBUYA109
──そして、約束の日。
〇SHIBUYA109
由衣結子「お、可愛い子発見!でも優子の方が可愛いよ」
〇SHIBUYA109
真面目優子「ん?由衣さんなんか言った?」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「せ、青春ですね」
〇SHIBUYA109
由衣結子「くっ・・・。 昨夜寝ずに考えた渾身の口説き文句が渋谷の雑音に掻き消された」
〇SHIBUYA109
真面目優子「あっそうだ!渋谷と言えば、センター街だよね!行ってみよう」
〇SHIBUYA109
「へーい/はい」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「私たち、ナンパされてしまうかもしれませんね!!」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「・・・全然ですね。やっぱりモテないんでしょうか?」
〇SHIBUYA109
真面目優子「メガネちゃん・・・」
〇SHIBUYA109
由衣結子「──!!そんなことを考えていたのか。 私たちがされるとしたら、補導だろ。帰るぞ」
〇SHIBUYA109
真面目優子「そうだね。ナンパの件は残念だったけど、今日は諦めて帰ろうね!」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「2人の言う通りです」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「やっぱり、らしくないことはするものじゃないですね・・・」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「気を取り直して、また明日から真面目に勉強だけ頑張ります・・・」
〇SHIBUYA109
「・・・」
〇SHIBUYA109
真面目優子「そうだ!最後にプリクラとる?」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「あのクラスでイケてる女子たちが筆箱に貼ってるやつですよね?!」
〇SHIBUYA109
真面目優子「そうだね。やってみたいな!」
〇ゲームセンター
真面目優子「渋谷のゲーセン!なんかすごい」
〇ゲームセンター
長田メガネ「ストレスフルな日常を忘れられますね!」
〇ゲームセンター
由衣結子「(メガネって何歳だっけ)」
〇ゲームセンター
真面目優子「このプリクラ機可愛い!これにしよう!」
〇ゲームセンター
こうして、真面目な私たちは人生初プリクラに挑戦したのだった。
〇ゲームセンター
真面目優子「何これ、全然顔違う!」
〇ゲームセンター
由衣結子「同意見だ。私はありのままの優子が好みなのに!」
〇ゲームセンター
長田メガネ「青春!」
〇ゲームセンター
真面目優子「ん?」
〇ゲームセンター
由衣結子「また空振り?!いや、私は諦めないぞ!」
〇ゲームセンター
長田メガネ「(結子さん、ナイスファイトです)」
〇ゲームセンター
真面目優子「良い記念になったね!筆箱に貼れるね!」
〇ゲームセンター
「そうだな/はい!」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「今日はとっても楽しかったです。2人ともありがとうございました」
〇SHIBUYA109
真面目優子「私も楽しかった!また来る?」
〇SHIBUYA109
「もちろん/はい」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「今度はハロウィンに仮装をして、渋谷を歩いてみたいです!」
〇SHIBUYA109
真面目優子「あはは。メガネちゃんって意外とチャレンジャーだよね!」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「私は今、褒められたんでしょうか?」
〇SHIBUYA109
由衣結子「ハロウィンか。優子のナース服姿を見れるのが楽しみだ」
〇SHIBUYA109
真面目優子「うーん。実は私、今年のハロウィンは隣のクラスの田中君と遊園地に行く予定なんだよね。ごめん!」
〇SHIBUYA109
真面目優子「だから、写真送って!2人の仮装、楽しみにしてるね!」
〇SHIBUYA109
由衣結子「い、今なんと?!」
〇SHIBUYA109
由衣結子「ああ、意識が遠のいて・・・」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「切ない。これも青春ですね」
〇SHIBUYA109
長田メガネ「結子さんとのハロウィンデート、決まっちゃいましたね」
〇SHIBUYA109
由衣結子「・・・。 こうなったらメガネ、2人でやけ酒だ!!」
〇SHIBUYA109
「お酒は二十歳になってから!」
〇教室
──こうして私たちの渋谷デビューは終わり、またいつもの学校生活が戻ってきた。
〇教室
長田メガネ「筆箱のプリクラを見ると、また勉強頑張ろうって思えます」
〇教室
真面目優子「メガネちゃん、この前の定期テストの成績学年一位だったもんね!すごいなあ。私も頑張らなくちゃ」
〇教室
由衣結子「私もあの日の失恋をバネに勉強頑張ることにしたよ。次の定期テストでは私が一位だ!」
〇教室
真面目優子「あはは。頑張ってね!」
〇教室
由衣結子「うぅ、心の傷が疼く・・・」
〇教室
こうして真面目な私たちは、それぞれ勉学に励み・・・
〇教室
それぞれの志望校に合格した!
〇オフィスのフロア
長田メガネ「っていう内容です。新しいケンケンゼミ中学講座の広告にどうでしょうか?」
〇オフィスのフロア
編集長「うーん、10点。もう少し万人ウケするものを書いてくれないと困るよキミ!!」
〇オフィスのフロア
長田メガネ「だめでしたか・・・違う方向性で書き直します」
〇SHIBUYA109
──優子さん、結子さんへ
お元気ですか
あの日から渋谷の虜になった私は今、その大好きな街で働いています。
〇SHIBUYA109
2人が一緒に渋谷に来てくれて、私の人生が変わりました。ありがとうございます。
〇SHIBUYA109
あの日のプリクラは今でも大事に筆箱にしまっています。ライターの仕事は大変ですが、とてもやりがいがあります。
〇オフィスのフロア
長田メガネ「2人のことを思い出して、懐かしくなって、メールしました。っと」
〇化学研究室
「おっメール/メールだ!」
〇化学研究室
由衣結子「メガネ、頑張ってるんだなあ」
〇化学研究室
真面目優子「そうだね!私たち、あの日メガネちゃんと渋谷に行って良かった」
〇化学研究室
真面目優子「プリクラ、懐かしい!」
〇化学研究室
由衣結子「ああ。今ではそれぞれ皆家庭を持って、優子とはこうして一緒に働く仲間になっているなんて。 想像もつかなかったよ」
〇化学研究室
真面目優子「あはは。そうだね、結子!」
〇SHIBUYA109
──私たちの青春の街、渋谷。甘酸っぱい思い出も、ほろ苦い思い出も、この街は全部見つめてきたのだろう。
〇SHIBUYA109
そして今日も、誰かの素敵な夢や未来を作り続けているに違いない。
〇SHIBUYA109
──終
学生時代を思い出してつい懐かしくなりました😌
所々アタックしてるのにスルーされちゃったら、その度に「青春!」と突っ込んだり、テンポが良くてクスッとしました☺️
はじめての都会デビュー、はじめてのお酒、などなど、ちょっと背伸びしてみるも上手くいかない思い出ってみんな持ってますよね。どんな失敗談だとしても後にいい思い出になりますよね、本作のように。
ちょっとした他愛もない事でも振り返ればすごくいい思い出だったなって大人になって感じる事って今思うと多いななんて懐かしくも思える作品ですごく楽しかったです。