放課後茶会推理帳

Reika

正義の男(脚本)

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〇教室
杉山智之「・・・・・・」
モブ「あはは!お前、あんな簡単な問題も分からなかったんかよw」
モブ「えっあっその──あはは!」
モブ「真似してやんなよ、可哀想だろw」
杉山智之「チッ・・・!!」
  俺、杉山智之にはどうしても許せないものがある。
  それは、いじめだ。
  じいちゃんに言われた言葉、みんなを助ける強い男になれ・・・
  これが今でも俺の中では座右の銘だった。
杉山智之「──っ!!」
杉山智之「そこまでにしろ!!お前ら!!」
「は?」
杉山智之「福原が嫌がってんだろぉが!」
  俺は今、人を助ける強い漢になる

〇教室
北見竜星「・・・・・・」
杉山智之「こいつらだけじゃねえ!」
杉山智之「みんな寄ってたかって、福原をいじめて、楽しいかよ!」
福原芽衣「トシくん・・・」
杉山智之「お前ら、人としておかしいぞ!」
  教室中に俺の言葉が響く。皆が俺を注目していた。
  そんな中、俺は机の間を縫って、ある男の席に向かった。
杉山智之「北見!!」
北見竜星「──はい?なんですか?」
杉山智之「俺はお前が一番気に食わねえ」
  北見竜星・・・・・・このいじめの発端だ。
北見竜星「心外ですね、どうしてですか?」
北見竜星「傍観者ならいっぱい居るでしょう」
杉山智之「違う!お前がこのいじめの発端だからだ!!」
北見竜星「はい?」
杉山智之「お前が福原にぶつかった時、すぐに許していれば、こんなことにはならなかった」
北見竜星「僕、すぐに許してましたよ。勝手をしているのは、僕の周りの人ですよ」
  大声で怒鳴ってみるも、その冷めた態度は変わらなかった。
杉山智之「うるせえ!じゃあなんで止めなかった?」
北見竜星「何故僕が、周りの友達でもない人を・・・諌めなければいけないんですか?」
杉山智之「テメエ・・・!!」
  北見は、机の上に目を戻すと勉強を再開した。
北見竜星「大体、ヒーローごっこをするのは構いませんが、僕を巻き込まないでください」
北見竜星「テスト近いですよ。また最下位とるおつもりで?」
杉山智之「今はこんなこと関係ねえ」
  俺は北見の机に手を置くと、教材を払い落とした。
  床にペンや、ノートが落ちる。
  俺は落ちたものを拾おうとする、コイツの手をつかんだ。
北見竜星「・・・なんのつもりですか?」
杉山智之「目を見て話をする・・・会話の基本だろ」
北見竜星「そうですね」
北見竜星「では、何して欲しいんですか」
杉山智之「お前からやめろって言え」
北見竜星「このお願いは聞けませんが、そろそろ終わるので大丈夫ですよ」
杉山智之「は?」
北見竜星「いや、これに関しては僕は何もできませんし」
杉山智之「こんなに勉強が大事かよ」
  怒りが込み上げ、声が震える。
杉山智之「福原よりも『鬼風に勝つ』ことが大事かよ!」
北見竜星「この男の名を出すな!!」
  北見が声を荒げ、机を蹴った。
杉山智之「ゔっ」
北見竜星「もう黙ってくださいよ。”北見竜星”を守るためには必要なんですよ」
  胃のあたりに当たったのか、吐きそうになる。
北見竜星「あぁ、そうだ」
  北見はくるりと後ろを向き、微笑んで言った。
北見竜星「杉山さんだけじゃありません。皆さんも、俺に逆らわないでくださいね」
北見竜星「もう、共犯者なんですから」
  北見の冷たい声が響く。そんな中、クラスの静寂を破るかのように、扉が開いた
鬼風義重「おや、どうしたんだい?こんなに散らかっているとは・・・」
鬼風義重「喧嘩でもしたのかい」
  鬼風が帰ってきたのだ。
北見竜星「鬼風さん、教室にいなかったとは珍しい」
北見竜星「どちらにいらしたんですか?」
鬼風義重「あぁ、水上先生に呼び出されてね」
鬼風義重「で、なんだいこの有様は・・・?」
北見竜星「さあ?僕にはわかりません」
鬼風義重「・・・そう」
鬼風義重「まあ、杉山君は貰っていくよ」
  鬼風は、細い腕で俺を引っ張り立たせようとする。
杉山智之「グッ!!」
鬼風義重「僕が君を持てるわけないだろ?さあ立ちたまえ」
  俺は一気に力を入れ、立ち上がった。そのまま鬼風に付き添われる形で、教室を出た。

〇学校の廊下
杉山智之「グッ・・・」
鬼風義重「・・・・・・」
  鬼風のちっこい体に腕を預ける
  保健室に着くまで、鬼風は何も話さなかった

〇保健室
鬼風義重「座ってな」
  鬼風は保健室に着くと、職員室に電話をした
鬼風義重「はい・・・はい・・・僕は彼の面倒を見ていますので・・・はいすみません、失礼します」
鬼風義重「で、気持ち悪い?吐きそうなのかい?」
杉山智之「なんで・・・?」
鬼風義重「早く答えな」
杉山智之「気持ち・・・悪い」
鬼風義重「そうかい、エチケット袋持ってくる」
  あいつはバケツとエチケット袋を俺に渡した。
杉山智之「オエッゴエッ」
  あいつの腕が背をさする。部屋に酸っぱい匂いが立ち込める。
  俺が吐き終わると、何も言わずにその吐瀉物を処理した。
鬼風義重「・・・・・・話せそうかい?」
杉山智之「ああ・・・なんとか」
鬼風義重「何があった?」
杉山智之「福原を助けたんだ」
杉山智之「そして、いじめをやめさせようと北見に怒鳴ったら机を蹴ってそれで・・・」
鬼風義重「腹に当たったと・・・」
杉山智之「ああ」
  鬼風の声色が変だ、いつもより優しい
鬼風義重「福原くんを助けたい?」
杉山智之「ああ、でも・・・」
杉山智之「多分俺だけじゃ無理だ」
鬼風義重「どうしてだい?」
杉山智之「わかって言ってるだろそれ」
鬼風義重「悪い悪い」
杉山智之「俺、バカだから、いい方法が思い浮かばねんだ」
杉山智之「だから、鬼風にお願いだ。俺に協力してくれ!!」
鬼風義重「えーどうしようかなあー」
杉山智之「うー」
  そうだった、こいつタダでは動かないんだった。なら・・・
杉山智之「もちろんただじゃねー」
杉山智之「手伝ってくれたら、”一ヶ月間お前のスイーツ代”奢ってやる」
鬼風義重「本当かい!?」
  やばい、チョロいわコイツ
鬼風義重「わかった、君に協力しよう。では放課後早速考えを練らなければ」
鬼風義重「君はもう少し、寝ていたまえ。体調は良くなっただろ?」
杉山智之「あ、ああ・・・まあな」
鬼風義重「なら、大丈夫だね。僕は戻るよ」
鬼風義重「それでは放課後、喫茶店にて」
  そう言い残し、あいつは帰っていった。
  俺だけになった部屋で、ベットに寝転ぶ
杉山智之「・・・もう少し、居てくれたっていいだろ」
  まだ少し腹に痛みを抱えながら、そっと目を閉じた

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