星月のあと(脚本)
〇けばけばしい部屋
マツ「流れ星は現れたんですか?」
カンゾウ「・・・・・・」
マツ「さあ、さあ、さあ?!」
ぐいぐい来る眼鏡スタッフのマツ。
カンゾウ「もちろん現れましたよ」
カンゾウ「めっちゃくっきりはっきり力強く」
マツ「そうですか、それはよかった」
カンゾウ「何よりです 未夏さんを連れて行きました」
マツ「ラブスターズ」
カンゾウ「そういえばそうですね」
マツ「終了です」
カンゾウ「そうですか」
マツ「よかった」
カンゾウ「よかったですよ、本当に」
カンゾウ(よかったよかった)
〇けばけばしい部屋
信じて捉える
長い長い一瞬を
撮影終了
〇宇宙空間
うれしい、うれしいっ!
少年が右手を突き出して、
その手の平から、
自然に茎が伸びて花が咲いて
それまで白黒のイラストだったところ、
カラーになって
(三人称視点から一人称視点へ)
紫紺のカキツバタのような花と、
雨露の滴を実にして
粒ぞろいにしたような花が
天、夜空に向かって
スアーッと見事に伸びて咲いて、
こんなうれしいことはない。
少年のイラスト、右手を突き出すのも
思い切って右から左に、
横に引いた線が
偶然うまく腕の伸びた形になって、
奇跡、最高だな。
粒もカスミソウ、
赤ちゃんの吐息だっけ
両方、花言葉に奇跡が入ってて
それが重なって、
天まで宇宙まで
どこまでも伸びたらいい。好きなだけ。
〇テラス席
ホワイトボードのような看板に
横書きで長文が記されていて、その中に
『未夏さんです』
と、書かれていて、
未夏さんがどうした?
天に召されました
全ての思い出が復唱されたため
・・・本当?
〇コンビニの雑誌コーナー
6「うわーすごいよーっ」
と、6がクレジットカードをかざすと
カードの色が、
何色とも形容できない、
色とりどりの空間模様になって
〇カラフルな宇宙空間
それだけの混在、
夢を詰め合わせた
完璧な作品を担保にして
自由になって、
おぞましい底から解放、
引き上げられたのかな。
あなたの潜水によって
〇ラブホテルの部屋
──風俗で、
お姉さん、マダムまではいかないけど
綺麗な女性とすることになって、
自分で指名したのかな。
もろ好みって感じじゃないけど、
もう仰向けの女性の上になって、
目が合って、「しよっ」て状況。
薄手のキャミソールの
胸元がもうはだけて
その肌を丁重にというか、
力込めないように
できるだけ優しめに
輪を描くように触れて
パウダーかけてるのかしらん
肌触りが気持ちいい。
そうやって優しく接してるのが伝わって
でもあんまり遠慮しすぎると
かえって気を使わせるかもしれない
痛かったら言ってね。
赤くなってたりしたら、触るのやめて
他のところだけにしよう。
キスも、閉じた唇を、
始めはチョンとつけて
次は角度変えて、
触れる位置を変えて
つけたままにしたらそこから
少し舌で触れて、
向こうが応じて舌出してきたら
深くしていって、
ブロンドの波立ったロングサイド。
全然、未夏さんと違うな。
終わったんだな。
風俗嬢「・・・する?」
って何か、演出?してくれるって、
ムーディーなカラフル照明でも
つけてくれる?
よく聞こえなかったけど、
生返事で「うん」って答えて
せっかくだし何でもいいよ。
〇商店街
──そうなる前、
お店入る前、早朝、
商店街まわりの街並みで
ヒトハ見かけて、向かう場所同じで
向こうもこっち気づいて、
「あっ」て、何となく
どっちが早く行くかって意識になって
別ルートで早足で向かって、
その間にどこかで
黒いバルーンアートを
手にいつの間にか持って、
細長い部分の一端に
差し込める穴があって、
もう一方の先端をギューッと押し込む
疑似行為?ギュッギュッ歩きながら
入れ込んで、これ、使えるか、
お店持っていくか、かさばるし、
リュックに入れられないし、どうするか
なんて考えてたら、
〇ラブホテルの部屋
もう次にはまたがってる状況になってて
もうそうなったらしていいよな。
未夏さんは
『よかったよかった うれしいや』
なんだから。
ご褒美?何でもいいよ。
『月が天に還りましたね』
ならね。
両脇腹をなぞるように撫で下ろしたり
そのそばにある女性の手を握って、
握り返してくれたら絡めたり
できたらうれしいし、
太腿の内側にキスして頬つけたり、
あまり繊細に触れすぎて
慣れてないの?
って思われるかもしれないけど、
何度となくそんな行為はしてきて
結ばれることはなく、
しても一時満たされたり、
むしろがっかりしたり
全部過ぎたこと。
これからどうしていくんだろうね。
風俗嬢「あなたならどうする?」
なるようにいく、しかないかな。
〇仮想空間
『ふく うたみ』
三角人間の憂鬱
彼女の笑顔が確定しました
それなら何より
『カンゾウ』
と、記された名札を差し出してきて
女の子「全部この名前の人のおかげです」
全部円満に解決しました
もういかなきゃ
〇村に続くトンネル
お互い秘密の山から
それぞれの世界へ
〇宇宙空間
最後に踊ろう
兎とドラゴンの宴
宴会、祭りの後に
さびしくなって涙を流して終わろう
〇カラフルな宇宙空間
カーニバル
キラキラ キラキラ
カンゾウ「きれいだね」
未夏「うん、きれい」
カンゾウ「よかったね」
未夏「うん、よかった」
カンゾウ「楽しかったね」
未夏「楽しかった」
カンゾウ「悲しかった」
未夏「とても悲しかった」
カンゾウ「つらかった」
未夏「うん」
カンゾウ「でもやっぱりよかった」
未夏「うん、そう思う」
カンゾウ「こんなにきれいな月と星座に」
カンゾウ「二人でなれたんだから」
カンゾウ「宝物だよ」
カンゾウ「感謝・・・」
カンゾウ「・・・ってしまらないね」
カンゾウ「もういい、もう本当にいいね」
カンゾウ「「大感謝祭だ」なんていらないな」
カンゾウ「忘れない」
カンゾウ「名残惜しいけど」
カンゾウ「バイバイ」
お見事