女心を読めないある男の話

本田すみれ

読切(脚本)

女心を読めないある男の話

本田すみれ

今すぐ読む

女心を読めないある男の話
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇立ち食い蕎麦屋の店内
木島貴志「さっ、牛丼食べないの?」
早川莉子「えっと・・・ 狂牛病とか怖いんです」
木島貴志「そっか それじゃしかたないな」
木島貴志「牛丼大盛り汁だくだくだく ねぎだくでお願いー!」
木島貴志「ゆっくりメニュー選ぶといいよ」
早川莉子「・・・・・・はい」
  男の人とデートなんて初めてで
  どうしたらいいかわからない
  あれはVtuberをやっている時のことだった

〇暖炉のある小屋
美川みすず(莉子のVtuber姿)「太宰治様を朗読しましたし 今日はこれからどうしよう・・・」
モカ「みすずちゃん 黒髪かわいいよ」
  モカの中の人な実の妹七海が隣の私を
  褒めちぎってくる
美川みすず(莉子のVtuber姿)「あら? 2222円もありがとうございます なになに?」
  画面の黄色いスパチャには
  金額と共に
  『牛丼一緒に食べ行こ?』と書いてありました
美川みすず(莉子のVtuber姿)「牛丼ですか 興味深いですね」
美川みすず(莉子のVtuber姿)「行ってみたいですね」
  私は配信した後に
  そのスパチャを投げてきた
  牛丼太郎(貴志さんのハンドルネーム)に
  XでDMでやりとりしたのだった

〇立ち食い蕎麦屋の店内
木島貴志「莉子ちゃん 鶏そぼろ丼でいいの?」
早川莉子「はい・・・ お待たせしてしまいごめんなさい」
木島貴志「何を謝ってるんだい?」
早川莉子「配信活動は1年半してますけど リスナーさんに会うのは初めてで 緊張してます」
木島貴志「今日は会いに来てくれて ありがとう なんで俺に会いに来てくれたの?」
早川莉子「牛丼を食べようって誘いが 面白かったからです あっ、紅しょうがスゴイことに なってますよ」
  彼の手元を見ると
  彼が盛った
  山盛りの紅しょうがで
  一面ピンク色の物体と化している
木島貴志「紅しょうがはたらふく乗せるタイプなんだよ」
早川莉子「もはや紅しょうがの味しか しなそうですが 大丈夫なんですか?」
木島貴志「男は紅しょうが山盛り道なんだよ!」
早川莉子「面白い人なんですね」
木島貴志「なんか有線カッコイイ歌かかってるね」
  あなたに会えてよかったという
  歌詞が印象的な
  邦ロックがかかっていた
木島貴志「オレに会えてよかった?」
早川莉子「あなたに会えてよかったと 思ってますよ」
木島貴志「今のラブソングは1人で 生きていたところから あなたに会うことで 意味が生まれるみたいな」
木島貴志「曲だったけど そういう人生送りたかったな」
早川莉子「何かおありで?」
木島貴志「女の子を任侠映画とか女子プロレスとか ゴルフとかに誘ったりしたら その日のうちにフラれるんだ」
早川莉子「私はどんなデートスポットにも ついていきます」
木島貴志「ホントかよ」
早川莉子「ホントです」
木島貴志「じゃ、 約束守ってもらおうか」
  貴志さんの提案で
  急遽映画館行きが決まった

〇映画館の座席
早川莉子(組員の仲間が撃たれちゃって 死んじゃった そんな こんなことって無いよ・・・・・・)
木島貴志「泣いてるけどどうした?」
早川莉子「ぐ、ぐすっ 主人公と仲良かったヒロトくんが 銃で殺されちゃうの 悲しすぎて」
木島貴志「任侠映画見て泣く女の子 初めて見た」
早川莉子「初めて見ましたが いいものですね」

〇住宅街の公園
木島貴志「もうオレになんか 会う気ねえよな」
早川莉子「どうしてそんなこと言うんですか?」
木島貴志「オレいつも女心読まないデートスポット ばかり連れてくからフラれるもん」
早川莉子「私は・・・ 私は」
木島貴志「何だよ? どうせ帰ったらLINE ブロックしてXも ブロックすんだろ? あん?」
早川莉子「私は貴志さんのこと・・・・・・」
木島貴志「なんだよ」
早川莉子「今日ずっと一緒にいることから わかってくれませんか?」
木島貴志「オレは莉子が嫌じゃなければ とにかくもっといたいよ」
早川莉子「私も貴志さんのこと・・・・・・ 好きです」
  その時私の唇を
  彼の唇がふさいだ
  初めてのキスだった
早川莉子「責任とってくださいね」
木島貴志「取るに決まってんだろ? お前はオレのとっておきの 推しなんだよ」
  抱きしめられ息ができない
木島貴志「愛してるよ莉子」
早川莉子「離さないでください」

コメント

  • 不思議な味わいの作品ですね‼ 最後ハッピーエンドにも見えるけど、この後ホラーになる予感もするし・・・
    女心を全く読めないから良かったのかもしれないし、実は彼が気付いていない女性の正体があるのかもしれないし・・・何とも続きが気になる話でした。才能感じます!
    タップノベル盛り上げましょう、良ければ私のも覗きに来て欲しいです(*゚▽゚)ノ

ページTOPへ