その看板の名は

仲手原和彦

読切(脚本)

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〇SHIBUYA109
  SNS で知り合った二人、初めてのデート、二人共ローカルシティから上京、憧れの東京、渋谷ハチ公前で待ち合わせ
  お互いが送り合ったワンコのキーホルダーで難なく合流、目の前を見上げると、大きな建物、109の看板が真っ先に眼についた
  同じ苗字に親近感を持ったのが付き合うきっかけだった
菜々「ヒャクキュウ?」
瀬分「イチマルキュウ?」
「合わないね」
(合わないところはハモるんだ)
菜々「何だろうね?住所?」
瀬分「金持ち多そうだし、109番目に建てたビルだったりして」
菜々「金持ち過ぎない?」
瀬分「それとも社長の誕生日か、な、」
菜々(私が社長だったら奥さんの誕生日にするけどな)
菜々(私の誕生日なら4月28日だから、 428、4;2;8,)
菜々(え?シ;ブ;ヤ? シブヤ!!!)
  世紀の大発見の如くはしゃぎまくる菜々

〇山中のレストラン
  瀬分が就職する事になったお店へ向かう二人
  しかしたどり着いた先に待っていたのは
  コロナで急遽閉店となった事を知らせる看板だった
「あ、」
(今度はハモった)
瀬分「ヒデえ、連絡も無しかよ」
菜々「ど、どうするの?」
  ドアが開いた。中から店主が出て来た。事の次第を語った後、知り合いのパティスリーを紹介してくれた
  その店もこの先どうなるか分からないけど、それでも良ければとの話だった。
  ギリセーフ
瀬分「ごめん、あの店で修行していつか自分の店持つ事が夢だったんだけど」
瀬分「その時は、あの、君と一緒に・・・」
菜々「今まで一生懸命やってきたんでしょ。胸張って進もうよ。仕事繋がってるじゃない。 大丈夫、何とかナル!!」
菜々「瀬分が看板を掲げた時は真っ先に来るよ」
  お互い人生のリセットを誓い合って別れた

〇ハチ公前
  あれから10年、菜々の元にメールが届いた。『ハチ公前の近くで合いたい』と
  10年ぶりの渋谷、109の意味もしらなかった当時を懐かしむ菜々
菜々「このあたりだけどな」
  スマホで検索した場所を360度眺めまわす菜々
  537と描いた看板を発見する
菜々「537? 5;3;7???」
  ドアが開いた。10年前には見られなかった笑顔が菜々を迎えた

〇カフェのレジ
瀬分「ようこそ我がショップへ、菜々のお陰で胸張って迎えられたよ」
菜々「ああ、ここでよかったのね。素敵なお店ね」
瀬分「念願のパティスリーだ、菜々が励ましてくれたからここまでこれた、今までやって 来た事は無駄にはならなかった」
菜々「おめでとう! で、このお店の看板だけど、537て?」
瀬分「思い出の場所、渋谷と東急をコラボしたんだよ、そして君の名前でもある」
菜々「私の名前?」
  そう、私の名前は逸見奈々
瀬分「いっしょにお店やってくれるね?」
  そして、彼の名前は逸見瀬分
  菜々は、ワンコのキーホルダーをその看板に付けた

コメント

  • 昔の夢、子供の頃の夢を叶えた人ってどれくらいいるんだろう…。
    でもこうして長い年月が経っても忘れずに叶えてるところにロマンを感じました!

  • 独特のテンポで繰り広げられていく物語が新鮮に思えました😌
    本当の意味を知るまでは、私も109の名前は
    社長の誕生日とかなのかなとか思ってました笑

  • 109の意味なんて今まで考えた事もありませんでした!主人公達も数字と関連していてとても面白いお話でテンポ感もよく楽しかったです!

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