カナリアボックス〜独りで強くなる必要なんてないんだよ〜

本田すみれ

鳴り響け、遠くの彼方まで(脚本)

カナリアボックス〜独りで強くなる必要なんてないんだよ〜

本田すみれ

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〇飲み屋街
兵座木友美「ふぅ、今日は仕事の ストレスでたくさん 飲んじゃったぁ」
悪者「なかなか魅力的だねぇ お嬢ちゃん」
悪者B、C、D「オレらと遊ばなーい?」
兵座木友美「何ですか、あなたたち」
悪者B、C、D「リーダー、どうします? この女」
悪者B、C、D「とりあえず車に連れ込んじまおうぜ!」
悪者「よし、そうしよう! 今日は楽しい1日になるぜぇ!」
兵座木友美「きゃああああ!」
悪者B、C、D「よし捕獲完了っと」
  私は遠のく意識で嫌な予感がしていた

〇公園のベンチ
  筆舌に尽くし難い
  屈辱が待っていた
  男たちは車の中で
  抵抗する私にムリヤリ色々した
兵座木友美「もう生きてられない・・・・・・ どんな歌も今の私には響かない」
兵座木友美「どうしたの? ああ、猫になりたい」
野良猫「にゃー」
兵座木友美「人間はどうして欲に任せて 女性の心を無視した行動に出れるのだろう」
兵座木友美「ウソだと思いたい こんなことって・・・ こんなことって」
  それでも生々しく体と記憶に
  不快な体験は刻まれていて
兵座木友美「音楽聴く気分じゃないのに無音だと 気が狂いそう XのForever Loveの女性カバー あったから聴くか」
  やっぱり音楽ってすばらしい。
  でも、もうフェスとか行けないな
  私はそんなことを思った
野良猫「みゃああああ!」
兵座木友美「君もX好きなのかニャ? せっかくだしその子の紅の カバーも聴いとくか」
  被害初日は女性がカバーした
  Forever Loveと紅の
  2曲をエンドレスリピートして
  公園で一夜を過ごした友美

〇女性の部屋
兵座木友美「誰か助けて もういやだ イヤだよ」
兵座木友美「それこそ Xの歌詞じゃないけど 教えて、生きる意味を」
兵座木友美「毎日のように あの日の夢ばかり見る こんなことが繰り返されるなら 死んでしまいたい」
真里亜「もしもし、真里亜です。 友美さんどうなされましたか?」
兵座木友美「え、えっと ごめんね。 今LINE通話する気分じゃないんだ」
真里亜「今日で会社に友美さん見なくなって 1ヶ月経ちます 物凄く真里亜は心配なので お家訪ねていいですか?」
兵座木友美「来るの?」
真里亜「はい、友美さんのこと 心配過ぎて眠れないんです」
  ただの同僚くらいの真里亜が
  私をそこまで心配してるとは
  この子になら
  あの日あった話をしてしまおうか。
  そう思う友美であった。

〇女性の部屋
兵座木友美「うちの会社残業厳しいし 真里亜ちゃん来れないかもな」
兵座木友美「はい」
  ドアの向こうにあの男が立ってたら・・・と
  怖がりながら覗くと
  もちろん真里亜だった
真里亜「よかった、生きてたんですね 私友美さんが心配で 仕事手につかなくて」
真里亜「仕事ムリヤリ早退してきました。 これ友美さんに渡したくて」
  そう言うと真里亜ちゃんは
  2枚のCDを渡してきた
兵座木友美「これは一体? 販促のサンプルCD?」
真里亜「現在産休中のemikaちゃんと ずっと活動してるバンドの ランクヘッド知らないんですか?」
兵座木友美「笑可って確か性被害に遭ったことが 有名なシンガーソングライターだったよね」
真里亜「そうです!」
兵座木友美「真里亜ちゃん信用してるから 言うけど私、1ヶ月前に 男たちに襲われたんだ」
真里亜「は?」
真里亜「そんな男たち、根こそぎ去勢して 首ちょんぎって さらし首にしてやんよぉ!」
兵座木友美「真里亜ちゃん落ち着いて」
真里亜「落ち着いてなんていられねえ! 私の友美を! よくもよくもぉおお!」
兵座木友美「・・・・・・ありがとう。 そこまで怒ってくれて少しスカッとした」
真里亜「ええい! そいつらにGPSさえあれば 人数分の刀念入りに用意して 首元一閃してやるのにぃ!」
兵座木友美「真里亜ちゃん わかったから一緒にCD聞こう」
真里亜「はいですわ!」

〇綺麗なダイニング
  emikaがカバーしているという
  カナリアボックスをかけてみる
兵座木友美「サビのあなたに会えてよかったとか 2番目のAメロの独りで強くなる必要なんか ないんだよって歌詞好きだなあ」
真里亜「歌詞もメロディも良くて でもオリジナルのバンドが 全く売れないのが悔しくて持ってきました」
真里亜「ランクヘッドは良いバンドなんですけど 男性ボーカルなので トラウマがよみがえると・・・・・・」
兵座木友美「そんなんじゃ音楽の会社に 勤めてる私のプライドが 許さない かけていいよ」
  カナリアボックスの原曲が
  流れる
真里亜「ボーカルの小高さんは 3人関係を持った女性から 男に襲われた経験話されて」
真里亜「同じ男として許せないってことから 性被害の女性に歌作るような 方です」
兵座木友美「そうなんだ 調べてみたらビクターとか 他のレコード会社の契約 打ち切られてるけど」
兵座木友美「ランクヘッドくらい 良いバンドが インディーズなのが 信じられないわ」
真里亜「私、思いついたことあるんですけど」
兵座木友美「何かしら」
真里亜「友美さんを応援するための イベントをブッキングしていいですか? 観客もスタッフも演者も 女性限定にします」
兵座木友美「そこまでしてもらう訳には・・・・・・」
真里亜「させてください!!」
兵座木友美「思いついたら絶対に やり遂げないと気が済まない 真里亜の性格知ってるから 待ってるよ」

〇ライブハウスのステージ
蘭紅(らんく)「私! とにかくズタボロで生きてきました! 親からは根性焼きされたり 全裸で真冬に外に出されたり」
蘭紅(らんく)「でも音楽に救われたんです、 笑可さんが歌を作っていく姿勢から らんくも音楽やりたいなって なりました」
蘭紅(らんく)「私学校でもいじめられて 友達できなかったけど お客さんが友達です だからみんなを愛していいですか?」
真里亜「スゴイ熱量の子ですね」
兵座木友美「ええ・・・・・・」
蘭紅(らんく)「刻みつけろ! 暗がりの隅まで レーザー撃ち込め! お前はお前の人生を歩め!」
  ハウリングしそうな
  大声でエモい歌を歌うらんく
蘭紅(らんく)「はあはあ・・・ ステージドリンク飲んでいいですか?」
蘭紅(らんく)「それじゃベステンダンク(高野寛) 聴いてください」
  らんくは4曲目にベステンダンク、
  5曲目にさよなら人類を
  そして最後に
蘭紅(らんく)「尊敬するemikaさんのバージョンを 1番で2番はランクヘッドのアレンジに 近い方向で歌わせてもらいます!」
  カナリアボックスが演奏され始める
蘭紅(らんく)「あなたに会えてよかった」
真里亜「あなたに会えてよかった」
兵座木友美「独りで強くなる必要なんかないんだよ」
蘭紅(らんく)「あなたに会えてよかった」
真里亜「あなたに会えてよかった」
  私はふと考え込んでしまった。
  あなたに会えてよかったって
  言える人に出会えてこれたかと
真里亜「どうしたんですか、友美さん!」
兵座木友美「ごめんね、私に あなたと会えてよかったって 言える人があまり浮かばなくて」
真里亜「そ、そんな・・・ そんな悲しいこと言わないでください」

〇田舎の公園
真里亜「あの、友美さん 今から言う言葉の数々を 聞いてください」
真里亜「私は友美さんのことが好きです 同じ会社に入れて 友美さんがいなかったら とっくに辞めてます」
真里亜「残業多いし、 上司のAは最悪すぎるし 接待飲み会多いし」
真里亜「でも友美さんがいるから 頑張ってこれたんです 友美さんがついてくるのなら 女性限定の会社起業してもいいです!」
兵座木友美「そこまで私のことを・・・・・・」
真里亜「好きです、友美さん。 だいすきです」
  そう言って真里亜ちゃんは
  私の手を優しく握る
兵座木友美「ん 真里亜ちゃん・・・・・・」
真里亜「私の想い少しは伝わりましたか?」
兵座木友美「真里亜ちゃん、ありがとう。 今日のイベントも蘭紅ちゃんの他に 4のガールズバンドや 女性SSWが出てくれたよね」
真里亜「はい。 これで友美さんが前を向けたら どんなにうれしいかって」
真里亜「だから私 だから私 友美さんのために全力尽くしました」
兵座木友美「本当にありがとう。 真里亜ちゃんの想いはしっかり 伝わってるよ」
真里亜「カナリアボックスの1番感動できる歌詞って 何でしたっけ」
兵座木友美「あなたに会えてよかった」
  夜の公園に百合の恋の花が
  咲きかけていた

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