ボイス・アゲイン

美飾 唯

エピソード1(脚本)

ボイス・アゲイン

美飾 唯

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〇空港の滑走路

〇空港前
  国際空港

〇空港のロビー
  風波音羽(かざみおとは)・・・25歳
風波音羽「帰ってきた・・・日本に」

〇電車の中
  ニューヨークでの生活って、なんだったんだろう?
  結局、舞台に立つことも、ステージで歌うこともできなかった

〇渋谷のスクランブル交差点
  渋谷の街
  私達は、あの日、ここから始めようとしていたんだ

〇渋谷のスクランブル交差点

〇渋谷の雑踏
風波音羽「妹の彩香は、今でも、ここにいるって、メッセージをくれたけど」

〇東急ハンズ渋谷店
  彩香・・・あなたはまだ、夢を諦めていないの?

  ?・・・この声って?
  この歌声は・・・
  loving you♪・・・look inside♬・・・ルルル・・・

〇モヤイ像
  sweet love ♫ ・・・forever♬・・・my heart♪

  彩香・・・なにも変わっていない
  英語の歌詞も・・・メロディーも・・・
  洋楽専門のユニットとしてデビューを目指していた、あの時と同じ
  あなたは、まだ、諦めていなかった

〇SHIBUYA109
  この渋谷から、プロ歌手としてデビューすることを・・・

〇モヤイ像
  kiss me again ♫ ・・・every night♬
  その歌声に、足をとめる人
  周囲に人が集まっていた
風波音羽「彩香」
風波彩香「お姉ちゃん」

〇シックなカフェ
風波音羽「久しぶりね」
風波彩香「日本に帰ったなんて」
風波音羽「うん、アーティストの勉強にいったけど、思っていた以上に厳しかった」
風波彩香「アメリカデビューは、やっぱり遠い夢?」
風波音羽「それなりの覚悟はして渡米したつもりだったけど」
風波彩香「これからどうするの?」
風波音羽「やっぱり、歌いたい 歌とダンスだけが、私の支えだから」
風波彩香「私も諦められなくて、路上ライブ」
風波音羽「洋楽専門のダンスボーカルグループ エルブライトとしてデビューが決まっていたのにね」
風波彩香「でも緑さんを恨んではいない」
風波音羽「私だって、グループの解散を緑や信吾さんのせいにはしたくなかった だから、渡米してアーティストになる夢を叶えようと思った」
風波彩香「まさか、二人が交際していたなんて」
風波音羽「緑は今何を?」
風波彩香「緑さん、信吾さんとの子供を一人で育てていたんだけど」
風波音羽「なにかあったの?」

〇総合病院
  敷島緑の娘・敷島蒼の入院している病院

〇病院の廊下
  蒼は、心臓の病気で入院している

〇病院の廊下
風波音羽「緑」
敷島緑「音羽」
風波彩香「緑さん」
敷島緑「彩香ちゃんも」
風波音羽「蒼ちゃんの容体は?」
敷島緑「心臓だからね でも、手術をすれば」
風波音羽「難しい手術なの?」
敷島緑「罰なのかな? みんなのデビューの機会を奪ってしまったから」
風波彩香「私達、そんなこと思っていません」
敷島緑「デビュー目前で、事務所の社長の子供を・・・父親は行方知れず」
風波音羽「信吾さん戻ってこないんだ」
敷島緑「ごめん」
風波音羽「ねえ、緑?」
敷島緑「ん?」
風波音羽「もう一度やってみない? アーティスト活動」
風波彩香「洋楽専門のダンスボーカルグループ、エルブライトを再結成するんです」
敷島緑「無理よ。そんな・・・もう一度夢を目指すなんて」

〇SHIBUYA109

〇ハチ公前
風波音羽「渋谷って、いいね やっぱり、この街が好き」
風波彩香「エルブライト結成の地だもん」
風波音羽「そう、私達はこの渋谷で出会い、歌い、そしてグループを結成した」
風波彩香「洋楽専門のアーティストを目指して」
風波音羽「夢は捨てられない 捨てたくない」
風波彩香「明日、もう一度、緑さんを説得しようよ」

〇センター街

〇総合病院

〇中庭
  緑と蒼は、病院の中庭にいた
  他にも病気と戦う患者や看護師が行き来している

〇空
  みんな、日の光の下で、束の間の安らぎを感じている

〇中庭
風波音羽「緑」
風波彩香「緑さん」
敷島緑「何度説得されても無理 もう、あの頃には戻れない」
風波音羽「私達、あの頃、あんなに輝いていたじゃない」
風波彩香「もう一度やってみましょうよ 緑さん・・・蒼ちゃんのためにも」
風波音羽「私達には、歌しかないと思っている エルブライトには、緑が必要なの」
敷島緑「何度も、同じことを言わせないで」
風波音羽「本当は、緑だって、歌いたいんでしょ?」
敷島緑「私だって、できることなら」

〇中庭
敷島蒼「お母さん、歌って」
  蒼・・・
敷島蒼「お母さんは、お母さんのやりたいことをしたらいい」
  でもね・・・
敷島蒼「歌が好きなんでしょ? ダンスが好きなんでしょ?」
敷島蒼「聴かせてよ お母さんの歌を聴かせてよ」

〇空

〇華やかな裏庭

〇中庭
  memory・・・feel my・・・I believe♬
  音羽の歌声

〇中庭
  rainy day・・・keep your smile♫
  彩香の歌声が響く
  can you・・・in my life♪
  緑が歌い始めた
  Shining day・・・beautiful time・・・
  my dreams ♫
  三人の声が調和し、周囲に患者や看護師が集まってくる

〇空

〇中庭
敷島蒼「お母さん、ありがとう」
  蒼の頬に涙が伝わる
  そして微笑みに

〇中庭
敷島緑「もう一度やってみよう」
風波音羽「うん」
風波彩香「もう一度、歌って踊ってみたい」
敷島緑「うん、また、渋谷から」

〇渋谷のスクランブル交差点

〇モヤイ像
  三人は、路上ライブを始めた
  歌声に、通行人が足をとめる
  観衆の中に・・・

〇モヤイ像
風波音羽「緑? 見た?」
敷島緑「うん、間違いない」
風波彩香「追いかけよう」

〇センター街
  信吾さん逃がさないわよ
田代信吾「わかった もう逃げない」
  今まで、どこに?
田代信吾「悪かった」
  悪かったじゃすまない
  子供を残していなくなるなんて
  蒼ちゃんは病気なのよ
田代信吾「これから償うつもりで」
  戻ってきたの?
田代信吾「君達には、これを渡そうと思って」

〇センター街
風波音羽「これは?」
  アジアから発信するアーティストの発掘プロジェクトの募集
敷島緑「これがその資料?」
  これからネットでも公開されるけど、先に入手してきた
  これでも元芸能事務所社長だからね
風波彩香「渋谷でオーディションが?」
  日本の予選は渋谷で、そのあとアジア予選
  最終選考はアメリカで行われるかも?
  デビューまでの道のりは長いけど、洋楽を専門に歌ってきた君達エルブライトならきっと
敷島緑「ありがとう」
田代信吾「礼なんて 蒼のことは僕に任せて」
田代信吾「エルブライトは世界で活躍できるグループになってほしい」
敷島緑「うん」

〇コンサート会場

〇ライブハウスのステージ

〇SHIBUYA109
  オーディションの様子は
  渋谷の街で公開される

コメント

  • 彼女たちの夢を追う姿に圧倒されました。
    夢を追うのに遅すぎるってことはないんですよね。
    このままがんばって欲しくて、応援したくなりました。

  • いつまでも夢を追い続けることが出来るって素敵ですよね、読み終えた後、元気をもらえた気がします。いいストーリーで楽しく読ませて頂きました。

  • 夢を追いかけるのが、大人になるにつれて恥ずかしくなり、追う気持ちもなくなってくるものですよね。
    その中で夢を追いかけ続けるのはかっこいいです!

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