いつか日の目を見る太郎5

もりのてるは

破壊!おっぱい編(脚本)

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〇ホストクラブ
  午前三時。鬼門が閉じて30分後の世界。
  しかし、閉じることなき欲望の門、ここにあり。
万歳田山椒「おっぱいにはボタンがあるけど、そのボタン押したらどうなっちゃうんだ~」
キャバ嬢「合体~」
クラブのママ「ダメ~」
  トム・ブラウンならぬクズ・バカ軍。
  先陣を切る欲望の奴隷、バーコードヘアに、でっぷりと肥えた腹。
  あらゆる怠慢を全身の筋肉に詰め込んだ男。
  もはやピーマンの肉詰め状態。頭パーマンの欲詰め状態。
  欲望に顔があったら、青ざめているであろうほどの貪欲男。
  万歳田山椒、いまだおっぱいの奴隷。
クラブのママ「ちょいと旦那~、ここはお触り禁止よ~」
万歳田山椒「近視だか乱視だか知らないが、殿はご乱心じゃあ~」
キャバ嬢「あ~れ~」
  茶番。とんでもない茶番。時代劇が泣いて詫びるほどの茶番。
  クラブのママ、当然、この茶番を心得ている。
  多額の援助を受けて、万歳田山椒好みの女をそろえ、ただ乳を触らせ、山椒の欲望を満たすためだけの場。
  名を【ニュー・パイオツ・プレイス】。欲望の乳場。
  搾乳、授乳、乱入、珍入。あらゆる乳を極めし場。しかし、そこで働くこと、決して柔にあらず。
  むしろ剛。罪深き業。楽屋裏で鳴り響く怒号。
  女たちの、品格を賭けた争い。男への非難轟々。

〇クラブ
キャバ嬢1「なんなのあのスケベおやじ!早く脳梗塞で死ねや!」
キャバ嬢2「マジ最悪。彼氏にもあんな触られ方したことないのに!」
キャバ嬢?3「うちらを牛か豚と勘違いしてんのよ、あの糞ブタジジイ!」
キャバ嬢1「もうやめる!金とかどうでもいい。あんなジジイに触られたら蕁麻疹でるわ!」
  金ですら割り切れぬもの、それが人の心。
  しかし、万歳田山椒、気づくはずもなし。なぜなら、全てを金で得てきた男。
  買えぬものは永遠の命くらいのもの。それ以外、ありとあらゆるものを買った。
  あらゆるものに勝ち、あらゆるものを買い、そしておっぱいに飼い慣らされた。
  圧倒的乳を持つ妻にひれ伏し、奴隷のごとき扱いを受ける。
  されど、至高のおっぱいそこにありて、仕事に精出す罪深き男、万歳田山椒。
  おっぱいのためなら死ねる男。

〇ホストクラブ
クラブのママ「ちょっとちょっと~、いつまでパイオツ・サワサワ・タイムなの~」
万歳田山椒「永遠にともに~」
キャバ嬢「マジ、コブクロ~」
万歳田山椒「ボクチンのチンブクロ、デカブクロ~」

〇ホストクラブ
  バタンッ
  煌めくクラブの中へと射しこむ光。
  部屋中の人々が目を細めて、まばゆい光を放つ方向に目を向けた。
「遅れてすいませんですな!!!!」
  顔に、二つの太陽を持つ男。
  まっすぐな輝きを持つ、二つの眼。
  信じられないくらいの、フルスイングな心優しき阿呆。されど、この男。たった今、命を救ってきたばかり。
  常人には理解できぬほどの阿呆。されどその阿呆。良い阿呆。踊る阿呆を見る阿呆。同じ阿呆なら踊らにゃ損損。
  踊り続けて、転がっても立ち続けて、ひたすら前に進み続けてきた男。
  壁も、足かせも、罵倒も、批判も、
  すべてを壊して、跳ねのけて、まっすぐ、まっすぐ歩み続けてきた男。
  ときに信念を貫き、時に人を掬い、時に人を変え、時に人を助ける。
  優しさの国の王子は、阿呆の国の王妃との間に子を産み、その子が、この男と言っても過言ではない男。
いつか日の目を見る太郎「いつか日の目を見る太郎、ただいま到着いたしました!!!」
クラブのママ「あらま、いいおとこん・・・」
  ガシャーン
  割れるワイングラス。立ち上がったハゲデブ一人。
万歳田山椒「おせーんだよ、クズ野郎が。お前、明日から会社来なくていいからな!」
  時刻、午前3時。何に対して遅れたというのか。万歳田山椒、発狂。
万歳田山椒「てめぇはよぉ。マジで母ちゃんの子宮から人生やり直してこいよ」
万歳田山椒「胎盤で栄養もらい続けてろ糞野郎が。一生羊水の中に沈んでろミジンコ!!!!」
いつか日の目を見る太郎「戻れるなら、戻りたいです。でも、母はもう、おりませんで・・・」
万歳田山椒「知らねぇわ!!!養子にでもなって、どこかのフィリピン人の子宮にでも入りこめクズ」
いつか日の目を見る太郎「お金がないもんで」
万歳田山椒「んだとこの野郎。うちが安い給料出してるみてぇじゃねーかよ!」
  ふいに、万歳田山椒を挟み込む乳。
  クラブのママ、山椒の腕を取って、
クラブのママ「もう、いいじゃない山椒ちゃん。ほら、おっぱいよ」
万歳田山椒「ママ~ン」
  猫におけるマタタビ、虎における一休、ドイツ国民におけるヒトラー。
  山椒における、それと同等のもの、おっぱい。圧倒的おっぱい。
  怒りも、常識も、全てを丸め込むもの、おっぱい。
万歳田山椒「おい!おっぱいに免じて許してやるから、さっさと座れ雑魚」
いつか日の目を見る太郎「はっ、はいな!」

〇ホストクラブ
  席に座るとき、いつか日の目を見る太郎、クラブのママの耳元で
いつか日の目を見る太郎「ママさん、ありがとうございますな」
  と小さく伝える。クラブのママの心臓BPM220。救心が必要なレベルの動悸発生。
クラブのママ(あらやだ、ときめきメモリアル・・・)
  生まれてこの方、遊びを知らず、父の顔も知らず、見知らぬ男と出て行った母の顔も知らず、
  海水で育った男の目の前、注がれる高級ブランデー。しかし、目の前にいるのは極限まで欲望に浸かった男、万歳田山椒。
  深夜3時に、加齢臭のするデブと飲む酒。
  それでも、いつか日の目を見る太郎にとって、この酒は不味いものにならない。
  なぜなら、生まれてこの方、酒を飲んだことがない。
  酒を避けてきた人生。否、酒の方から避けてきた人生。
  それでも、運命のいたずら。
  万歳田山椒のストレス発散のため、無茶な要望にも関わらず、上司の命令は絶対だと思い、やってきたキャバクラ。
  いつか日の目を見る太郎、ただ人生を流れのままに、ブレない心でやってきた男。
  本田圭佑が羨むほどの、逆無回転シュート、ブレない心。
万歳田山椒「てめぇには勿体ねぇ酒だ。おら、こうやって飲めや!」
  グラスに注がれたブランデー、何を思ったか山椒、グラスを掴み、そのまま床に叩きつける。床に染み込む、ブランデー。
万歳田山椒「ほら、舐めろ。美味いぞぉ」
クラブのママ「ちょっと・・・山椒ちゃん・・・」
  キャバクラにいた女、全員がドン引き。
  見たこともない理不尽に、心がドン引き。ドンのドンまでドン引き。
  山形県民もドン引きのどんどん焼き。
  いつか日の目を見る太郎、床にこぼれたブランデーを見る。
  そして、己をそこに重ねる。

〇海
  グラスのような美しい器に、何度、収まりたいと願ってきたか。
  安心安定の生活。人がまっとうに幸福に生きられる人生をどれだけ望んできたか。
  それでも、何度も、自分のあこがれた美しい生活は、壊れ続けてきた。
  恵まれた家庭もなく、流れ着いた祖父母の身を背負わねばならず、
  行き着いたマグロ漁船で生死を彷徨い、海水を飲んで意識を失い、海水を吐いて意識を取り戻し、
  死んだら止まるマグロを止めて、食いつないできた男。
  何度だって零れる。何度だって、地獄に染み込んでいく、自分の人生。
  諦めてしまえばそこまで。そこまでの人生。気化しようが、染み込んで消えていこうが、そこまでの人生。ちっぽけな人生。
  キャバクラの、欲望に満ちた赤い床に、零れていく酒のような人生。
  吸い取れるのは、自分しかいない。

〇ホストクラブ
いつか日の目を見る太郎「飲みます」
万歳田山椒「飲ませていただきますだろうが!低能が!」
  ギラリ、光る二つの太陽。されど、いつか日の目を見る太郎、床にひざまずく。
  いつか、いつか日の目を見る。
  そう信じて生きてきた。
  大丈夫、きっと、いつか日の目を見るんだ。
  ゆっくりと、床に顔を近づける。
いつか日の目を見る太郎「飲ませていただきます!」
万歳田山椒「偉そうに!クズが!ドブが!ボウフラ野郎が!」
  ぐいっと、いつか日の目を見る太郎の頭を足で押し込む万歳田山椒。
  ドン引きし続けて、言葉を失うキャバクラの女たち。
いつか日の目を見る太郎「あぐぐぐぐ・・・」
  床に酷く顔を押し付けられ、呼吸ができない。いつか日の目を見る太郎。
  曇る、二つの太陽。
万歳田山椒「おらおら、飲めや!美味いだろ!?おい!美味いだろう?」
  バチコーン!!!!!!!!!
  刹那、乾いた音。
  何者かが、万歳田山椒の頭をたたいた。
「そんなことして、恥ずかしくないの!?」

〇ホストクラブ
  その女、怒りに震えた唇。絶世の美女の唇。
  その女、水に救われた女。
  あらゆるものに対して、水のように接する心を持った女。
  傍若無人な人生を反省し、今や、万人を魅了する水を販売する女。
  東証一部上場、プレミム市場で日経平均の50%に影響を及ぼす一流企業の社長。
  株式会社財産、取締役社長、
  その女の名は、
  乙女咲狂子。
万歳田山椒「は!あれま!乙女咲社長。あらららら、こんなところにおりましたとは!」
  君子豹変す、否、万歳田山椒は君子にあらず。外道の中の外道。
乙女咲狂子「ポク電公社の社長は、社員にこんなことをさせるんですか!?」
  慌てふためく、万歳田山椒。
万歳田山椒「いえ、あの、これは、こいつが酒を飲みたいと言うんで・・・」
乙女咲狂子「飲みたいなんて言ったの?見る太郎くん?」
  いつか日の目を見る太郎、首を左右に振る。
万歳田山椒「てめぇ、俺を裏切るのか!?」
乙女咲狂子「裏切られて当然よ!ねぇ、そうでしょ、いつか日の目を見る太郎くん。あんたも、なんか言ってやりなさいよ!!!!」
  万歳田山椒、うろたえ、おっぱいにしがみつく。
  しかし、おっぱい、拒絶。
  たわわに実った葡萄から、もがれることを拒絶された農家の絶望と同じような絶望。
  すっくと立ちあがり、二つの太陽を燦燦と輝かせて、いつか日の目を見る太郎、仁王立ち。
いつか日の目を見る太郎「安心安定を求めて、生きてきましたかれこれ何十年。一度も、ただの一度も、安心安定に、胡坐をかいたことはございません」

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コメント

  • 自分ならこんなに下僕のような扱いを受けたら…とても嫌ですが、太郎さんは意に返さないとても強い人ですよね。
    違った生き方で大成できる気もしないでもないですが笑

  • 太郎ばどんだけ心が広く大きいのだ。どんどん好きになってしまう。人は金が欲しくて安定した生活も欲しい。でも太郎は違った。太郎がポク電社で何をやりたいのか早く知りたい。

  • うーん…いつか日の目を見る太郎…ドストエフスキーの虐げられた人々のように人の悲しみを知り、そして真の優しさを知る男。山椒社長の心もいつか変わるのだろうか…

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