誘拐プランナー Catcher in the lie

吉永久

エピソード9(脚本)

誘拐プランナー Catcher in the lie

吉永久

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〇高級マンションのエントランス
蛭間九傑「今度はここかよ」
高木誘作「やっぱりここも知ってるんだね、蛭間さんは」
蛭間九傑「当たり前だ」
蛭間九傑「今回のことは全て俺が手配してる」
高木誘作「本当、手が凝ってるよね」
高木誘作「さしずめ今は、蛭間さんの功労の巡礼ツアーってわけだ」
蛭間九傑「おい、俺たちの目的を忘れたわけじゃないだろうな」
高木誘作「もちろん、覚えてるよ」
高木誘作「平川盗愛を殺し、樋口組に伝わる拳銃を奪い返す」
高木誘作「その上で樋口郷也を出し抜く」
高木誘作「その時はよろしくね、蛭間さん」
蛭間九傑「・・・わかったよ」
高木誘作「そして、今もよろしく」
蛭間九傑「はぁ?」
高木誘作「ここのオートロックだよ」
高木誘作「蛭間さんが手配したなら、ここも外せるよね?」
蛭間九傑「・・・・・・」
高木誘作「あれ? 違った?」
蛭間九傑「わかったよ。今、開ける」
高木誘作「そうこなくっちゃ」

〇高層階の部屋(段ボール無し)
平川盗愛「おはよう。思っていたよりも早かったわね」
平川盗愛「迷わず来れたの?」
高木誘作「よくよく考えれば簡単だ」
高木誘作「盗愛、ここのマスターキー返してなかっただろ」
平川盗愛「よくご存じだこと」
高木誘作「それに、ここより安全な場所はそうないだろうしね」
平川盗愛「それも、もうかつての話だけれどね」
平川盗愛「ところで、一つ聞きたいのだけれど」
高木誘作「なにさ」
平川盗愛「あなた、肩の具合は大丈夫なの?」
高木誘作「この期に及んで俺の心配? 随分と悠長だね」
高木誘作「あんたは肩だけじゃ済まないというのに」
平川盗愛「それもそうね」
平川盗愛「愚問だったわ、忘れて」
蛭間九傑「おい、お前ら。お喋りはそのくらいにしろ」
高木誘作「せっかちだなぁ」
高木誘作「こっちは数時間ぶりの再会なんだ。積もる話だってあるに決まってるだろ」
蛭間九傑「恋人かよ・・・」
蛭間九傑「いいからさっさとしろ」
高木誘作「・・・はぁ」
高木誘作「仕方ない。蛭間さんがこう言うから、もう始めよう」
平川盗愛「いつでもどうぞ」
平川盗愛「私も準備はできてるから」
高木誘作「じゃ、貰うよ」
平川盗愛「やめてよ、それじゃあ初夜みたいじゃない」
平川盗愛「私、そこまで純情じゃないから」
高木誘作「盗愛、言っただろ?」
平川盗愛「いろいろ言われたわ。それに言い返しもした」
平川盗愛「どれのこと言ってる?」
高木誘作「あんたを撃つ時が本番だって」
平川盗愛「ふふ」
平川盗愛「上等」
蛭間九傑「容赦しないんだな」
高木誘作「する必要ある?」
蛭間九傑「・・・ないな」

〇車内
蛭間九傑「この辺りにするか」
高木誘作「何? この辺りに何かあるの?」
蛭間九傑「ああ」
蛭間九傑「降りろ」

〇橋の上
高木誘作「何もないじゃない」
蛭間九傑「いや、よく見てみろ」
高木誘作「何? 何を見ればいいのさ」
蛭間九傑「決まってるだろ」
蛭間九傑「いつもあんたの思い通りに行くわけじゃないっていう現実さ」
高木誘作「・・・そう」
高木誘作「交渉決裂ってわけだ」
蛭間九傑「ああ、その通りだ」
蛭間九傑「悪いがあんたにはここで一足先に退場してもらう」
高木誘作「言葉を返すようで悪いけどさ」
蛭間九傑「何だ?」
高木誘作「勝利の女神の法則って知ってる?」
蛭間九傑「んだそりゃ」
高木誘作「勝利の女神が微笑むのには条件があるってやつだ」
蛭間九傑「条件? いったいどんな?」
高木誘作「ただ一つ」
高木誘作「勝ちを確信しない奴だ」
蛭間九傑「何を言うかと思ったら、随分とつまらないな」
蛭間九傑「それに陳腐だ」
蛭間九傑「いいのか? 遺言が他人の言葉なんかで」
高木誘作「お生憎様」
高木誘作「今のは俺の言葉だ」
蛭間九傑「・・・最後まで人をコケにしやがって」

〇空
蛭間九傑「じゃあな」

〇おしゃれな居間
樋口郷也「事が片付いたらしいな」
蛭間九傑「おかげさまで」
樋口郷也「じゃあ無事に取り戻せたんだな?」
蛭間九傑「もちろんですよ」
樋口郷也「確かに」
樋口郷也「それで誘拐プランナーの姿が見えないようだが・・・」
蛭間九傑「奴は逃げました」
樋口郷也「逃げる? なぜ」
蛭間九傑「俺が始末しようとしたからです」
蛭間九傑「秘密を知る奴は一人でも少ない方がいいと思いましてね」
蛭間九傑「気を利かせたんですが。まずかったですか?」
樋口郷也「いや」
樋口郷也「平川盗愛の方はどうなった?」
蛭間九傑「そちらは抜かりなく」
樋口郷也「そうか・・・」
樋口郷也「なら」
樋口郷也「後はお前だけだな」
蛭間九傑「お待ちください。さっき俺の言ったことをもうお忘れですか?」

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