公園から

無理数は無理だ〜

公園から(脚本)

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〇雑踏
  僕は雑踏の中にいた。一人家に向かうアルバイト先からの帰り道。
  歩行者用の信号は赤に変わろうとしていた。僕は小走りに横断歩道を渡っていった。
  横断歩道を渡り終え、僕はため息をつき、自分が住むアパートの部屋へと向かった。

〇CDの散乱した部屋
田崎「ただいま、ジョン」
田崎「あれ?ジョンがいない」
  ジョンは僕にだけ見える同居人だ。と言っても本当は存在していないということは気づいていたのだか・・・。
田崎「まあ、いいか。仕方ない」
田崎「仕方ないんだ」
田崎「おやすみなさい。ジョン。帰ってきてくれ」

〇大樹の下
  僕はベンチに座っていた。ここは公園だ。でも、なぜこんな所にいるのだろう?
  そうだ。僕は眠りについて、それから、ここにいる。きっと、これは夢だ。
ジョン「やあ、僕の友人」
田崎「君は・・・ジョン?」
ジョン「そうだよ。いつも君とは話をするだけだったね。初めて対面できたね」
田崎「そうだね。ジョン、なんで急にいなくなったの?」
ジョン「それは、君に僕が必要なくなるからだよ」
田崎「必要なくなる?いや、ずっと必要だよ。消えないでほしい」
ジョン「それは無理なんだ。なぜなら、君にはこれから・・・」
田崎「これから?」
ジョン「そのことはもうすぐ分かる。じゃあね。僕の友人」
田崎「ジョン!いかないで!」

〇CDの散乱した部屋
  僕は目覚めた。
田崎「ここは・・・僕が住んでる部屋か。じゃあ、さっきのは夢か」
  僕は起き上がった。そして、時間も近かったので、準備をしてアルバイト先に向かった。

〇通学路
  いつもの道を行くとそこで工事をしていた。僕は仕方なくいつも通らない別の道を行くことにした。

〇大樹の下
  その道を行くと途中、見覚えがある場所を見つけた。僕は気付いた。あそこは今日の夢に出てきた場所にそっくりだ、と。
  僕はそこに足を踏み入れた。
  そこには女性が一人ベンチに座って本を読んでいた。僕はその女性が読んでいる本を見た。
  それはバンド、ビートルズの伝記だった。ジョン。僕は運命的なものを感じた。
  ジョンの名前はビートルズの名前からとったものだと彼は言っていたからだ。
  だが、僕には彼女に声をかける勇気はなかった。僕は公園の外に引き返していった。

〇CDの散乱した部屋
  アルバイトも終わり、自分の住む部屋に着いた。僕が風呂からあがると外では物音がしていた。
  誰かが引っ越してきたのだろうか?僕は横になると眠りに落ちていった。

〇CDの散乱した部屋
  朝、目が覚めて、やかんでお湯を沸かしていると部屋のインターフォンが鳴る音がした。僕は玄関に向かった。
  扉を開けるとそこには・・・。
公園にいる女性「おはようございます!」
田崎「あ・・・。おはようございます」
公園にいる女性「私、昨日、隣の部屋に引っ越してきました西崎と言います。これからよろしくお願いします!」
田崎「隣の部屋に住んでる田崎です。よろしくお願いします」
  それから、僕達は仲良くなり、やがて、結ばれ、幸せに暮らした。
  ありがとう、ジョン。また、いつか会おう。
  (終)

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