化け物クリエイターズ

あとりポロ

エピソード29『そして……』(脚本)

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〇立派な洋館
  【2034年? 導きの園。『柊《ひいらぎ》 真衣《まい》』】
  『ホーム・ホルダー』の無人機を奪い、
  
  ・・・ようやく辿り着いた『導きの園』。
  そこで、
  
  私たちは1つの命を創り出した。
  お姉ちゃんと『緋色さん』の受精卵から創った少女、
  その子に私たちは、
  
  『なゆた』
  
  と名前を付けた。

〇立派な洋館
  お姉ちゃんの病も、すごい早さで進行していた。
  
  それは間違いなく『緋色さん』から受け継いだモノ。
  園のリーダーである『ルーク・バンデットさん』が、お姉ちゃんへ仮面を被せる。
  お姉ちゃんが生き続ける為には、医療用のその黒い仮面が
  
  ・・・・・・どうしても必要だった。
  仮面をめくり、お姉ちゃんがいつもより優しい笑みを私に見せる。
タタミ「・・・『真衣』、 お姉ちゃんの一生のお願い、 どうか聞いてもらえないかな?」
なゆた「あーー、うー、」
タタミ「お姉ちゃんの子を、 ・・・『なゆた』を、 アナタの子として育ててほしいの」
タタミ「もっと幸せな、自由な時代で」
真衣「お姉ちゃんは? お姉ちゃんは一緒に来ないの?」
タタミ「お姉ちゃんは、」
タタミ「お姉ちゃんは、 誰かの為に、どんな時でも、どんな事からも守れる人に、 ・・・なろうと思う」
  お姉ちゃんの微笑みは、
  
  全く似ていないのに、
  『緋色さん』の笑みと、似ているように思えた。
  
  見たものを信じさせる、そんなチカラを秘めていた。

〇通学路
  【新2000年、イバラキ。『柊 真衣』 】
  私と『なゆた』は、『導きの園』の技術
  
  『タイムウォーク』で過去へと渡った。

〇立派な洋館
ルーク・バンデット「大きな桜が生えた家、西暦2000年の《ヒタチナカ》 『桜《さくら》 一心《いっしん》 』 という男を頼るといい」

〇通学路
  『導きの園』の主任『ルーク・バンデットさん』に教えられたお家で
  
  私は『一心《いっしん》 さん』に抱きかかえられた。
桜 一心《サクラ イッシン》「よく来たね、『真衣さん』」
真衣「よ、 これから、どうかよろしくお願いいたします!」
  大きな腕、笑顔のシワがステキなおじさんだった。
  『一心さん』とその息子の『大河《たいが》』、
  大河の奥さんである
  
  『奏楽《そら》 ちゃん』に支えられ、
  私と『なゆた』は、
  
  ・・・より良く育てられた。
  『なゆた』の傍には
  
  『奏楽ちゃん』の息子である『壱貫《いっかん》 』も居る。
  ただただ、幸せな日々が過ぎていった。

〇古本屋
真衣「あ、あの!」
新聞屋の店員「なんだい?」
真衣「ここ、って、 新聞配達のお仕事できますか?」
新聞屋の店員「え? まぁ、ここじゃないけど、あるにはあるよ。 それが?」
真衣「私に、新聞配達のお仕事をいただけませんか?」
新聞屋の店員「ええーー!!」
  『一心さんたち』ばかりを、
  
  ・・・頼ってはいけないと思った。

〇店の事務室
  仕事仲間のお兄さん、お姉ちゃんは、
  
  ・・・私に良くしてくれた。

〇開けた交差点
  自分の半分ほどの大きさがある『なゆた』をお腹に巻いて
  
  私は、『ヒタチナカ』の街を歩く。

〇店の事務室
  『なゆた』は重くなんて無かった。
  
  彼女が居たから頑張れた。
  新聞を持ち胸を張って生きていられる。

〇開けた交差点
  だから私は『ヒタチナカ』の街を
  
  ・・・『なゆた』と2人、歩き続けた。

〇ダイニング
  【新2015年、イバラキ。『柊 真衣』 】
  ────あれから15年が経った。
  『なゆた』は3日後に高校生となる。
  
  新聞配達から帰った私は、上の階に居る彼女に聞いてみた。
  開きかけた一冊の本に栞を挟んで問うたんだ。
柊 真衣「あのね、『なゆちゃん』」
柊 真衣「『なゆちゃんたち』は『化け物』って言葉を聞いて、 ・・・やっぱり怖く思ったりするのかなぁ?」
  『なゆた』が軽快に2階から降りてくる。
柊 なゆた「・・・よっと、」
  制服姿の彼女は、腰に手を当てながら、
  
  ・・・逆に私へ問いかけた。
柊 なゆた「その『化け物さん』は、 すっごく悪い『化け物さん』だったり、するの?」
柊 真衣「ううん。 みんな優しくて、良い『ヒトたち』ばかりだったよ」
柊 なゆた「・・・なら、」
  大きく背伸び。
  
  『なゆた』は、あの人の面影を残す笑みで話してくれた。
柊 なゆた「私はきっと、その『化け物さん』が大好きだよ!」
柊 なゆた「だって、」
柊 なゆた「お母さんが愛した、 『化け物さん』 だったんでしょ?」
柊 なゆた「昨日読ませてもらった『独りの戦士』で、 『ジョーカー様』も言ってたじゃない!」
柊 なゆた「『生は罪で無い。その行動に善と悪が在る』って!」
柊 なゆた「大事なのは、きっとそゆことだよ!」
柊 真衣「・・・そうか」
柊 真衣「・・・・・・ありがとね、『なゆちゃん』」
柊 なゆた「うわ、時間無い!! な、なにか簡単にイケるもの、ないかな!」
柊 真衣「そう言うと思って♪」
柊 真衣「『真衣』特製、目玉マヨハムパン、 ・・・・・・用意しといたよ♪」
柊 なゆた「うにゅー、『真衣たん』大好き! ちょー愛してる!!」
柊 真衣「玄関まで送るよ♪」

〇シックな玄関
柊 なゆた「じゃあ、行ってくるね! お母さん♪」
柊 真衣「うん」

〇白

〇通学路
  『なゆた』が、『桜 壱貫』通称『いっくん』に小突かれながら走っていく。
  光が高く上がっていく。今日も晴れは確定だ。
???「────────お~い! ツクル! ミレイ、ナクル! 置いてくぞ~!」
???「今行くよー!」
???「ま、待ってよーー!」
???「・・・・・・」
柊 真衣「ちょ、キミたち、もしかして!!」
  子供たちは速かった。
  
  あっという間に雑踏に紛れ、その姿を追う事が出来なくなる。
  空では赤い鳥が高々と鳴いている。
  
  数年前、『大河』の家の桜に巣を作っていた子だ。
スバリナ「オーイ、オイテクゾー!」
柊 真衣「ま、待って! あなた、もしかして!」
  赤い鳥が子供たちの声マネをしながら飛んでいく。
  
  何処までも、高く、遠くへ飛んでいった。
柊 真衣「・・・・・・置いてくぞ~、か」
柊 真衣「私も負けていられないよ、ね!」
  私は、『立派に』お弁当を忘れていった『なゆた』を追いかけ走った。

〇空
  今度こそ置いて行かれないように。
  いつの日か、
  
  ・・・みんなの元へ辿りつけるように。
  ・・・ 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽
  ────番外編へ続く。

次のエピソード:エピソード30『番外編・グリーン・パル』

コメント

  • お疲れ様✨
    いやぁ❗凄かった❗なんか余韻が心地いいな(∩˘ω˘∩ )♡
    希望はなゆたちゃんに託されて紡がれていくんだね✨
    番外編も楽しみ❗続編も見てみたいな❗

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