僕らの交差点は、いつも透明

夜明け とばり

僕らの交差点は、いつも透明。(脚本)

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〇渋谷駅前
  ──ある日の、渋谷駅前交番──
女子学生「──あの・・・すみません・・・」
優しそうな警察官「はい、どうされましたか?」
女子学生「・・・道をたずねたくて・・・」
優しそうな警察官「勿論です。どちらですか?」
女子学生「このお店なんですけど・・・」
優しそうな警察官「──ああ、ここはこの道を行くと、看板が見えてきますよ」
女子学生「渋谷は今まで、あまり来なかったので・・・ ・・・ありがとうございます!」
優しそうな警察官「お役に立てて良かったです。 お気をつけて!」

〇渋谷駅前
  ──夕刻、交番近くで男の子の泣き声が──
  ──ぅわあああああ~~~~ん!!!!
優しそうな警察官「──ど、どうしたんだい?」
優しそうな警察官「──あ、ぼく、膝から血が出てるじゃないか!」
迷子の男の子「・・・うん・・・」
優しそうな警察官「・・・そっかあ・・・」
優しそうな警察官「それは、すごく痛いよね・・・」
迷子の男の子「・・・うん・・・」
「よし、ちょっと待ってね・・・」
優しそうな警察官「──はい。 よかったら、これ使って」
優しそうな警察官「僕が貼ってあげるね・・・」
優しそうな警察官「ここだね・・・ よし!」
迷子の男の子「・・・あ、ありがとう」
優しそうな警察官「・・・・・・ぼく、つよい子だね」
迷子の男の子「・・・え?」
優しそうな警察官「ケガをしたのに、もう泣いていないからね」
優しそうな警察官「つよい子だって、証だね!」
迷子の男の子「・・・そう、かな・・・?」
優しそうな警察官「うん!」
迷子の男の子「・・・・・・」
迷子の男の子「ぼく、もっと、強くなれるかなぁ?」
優しそうな警察官「うん、きみが望めば、きっと!」
迷子の男の子「・・・うん」
迷子の男の子「ありがとう、おまわりさん!」
優しそうな警察官「気を付けてね!」

〇渋谷駅前
  ──少年を見送ったしばらく後、帰宅ラッシュに・・・
  ”110番発生!!”
  ”こちら渋谷署!!現場は渋谷駅構内!!”
優しそうな警察官「こちら了解! 急行します!」

〇駅のホーム
駅係員「──あ!! おまわりさん、こちらです!!」
優しそうな警察官「──どうされました!?」
駅係員「・・・実は、お客様同士のトラブルで・・・」
優しそうな警察官「・・・わかりました。 後はこちらで引き受けます」
駅係員「お願いします」
優しそうな警察官「・・・さて」
通りがかりのサラリーマン「なんだ! やるのか!?!」
優しそうな警察官「・・・少し飲んでますね」
通りがかりのサラリーマン「ンだとぉ~~!?!?」
優しそうな警察官「落ち着いて!」
優しそうな警察官「・・・大きな声出すと、近くの赤ちゃんが起きてしまいますよ」
通りがかりのサラリーマン「・・・む!!!」
通りがかりのサラリーマン「・・・そ、そうだな」
優しそうな警察官「少し、落ち着きましたか」
通りがかりのサラリーマン「・・・あ、ああ。 こちらこそ、騒ぎ立てて、すまなかった・・・」
通りがかりのサラリーマン「駅員さんにも、赤ちゃん連れにも、申し訳ない・・・」
優しそうな警察官「いえ。 ご理解いただけたようで、良かったです」
優しそうな警察官「・・・赤ちゃんのことも気にされるなんて、お優しい方なんですね」
通りがかりのサラリーマン「・・・いや、参りましたね、これは・・・」
優しそうな警察官「──お気をつけてお帰りください」
通りがかりのサラリーマン「ええ。 ご迷惑おかけしました・・・」

〇渋谷駅前
  ──その後、夜は更け──
優しそうな警察官(──ふぅ・・・)
優しそうな警察官(ようやく、落ち着いてきた。 そろそろ仮眠を取るか)
  ──そして、どんな時でも、朝はやって来る──

〇渋谷駅前
  ────朝────
優しそうな警察官(・・・夜中も忙しかったな・・・)
優しそうな警察官(もう少しで交代が来るけど、最後までしっかりしないと)
「・・・すみません・・・」
おばあさん「・・・ちょっとお訊ねします」
優しそうな警察官「──はい! いかがいたしましたか?」
おばあさん「・・・すみません・・・ 緑の窓口って、すぐ近くにありますでしょうか?」
優しそうな警察官「──ええ! 入ってすぐそこですよ」
優しそうな警察官「少し遠くにお出かけされるんですか?」
おばあさん「──ええ。 1日だけですが、ちょっと離れた孫のお家に・・・」
優しそうな警察官「いいですね。 窓口のとこまで、お供いたしますよ」
おばあさん「──まあ、ありがとう」
おばあさん「人が多くて、車いすでは少し怖かったのよ」

〇渋谷駅前
巡査部長「おはよう!」
優しそうな警察官「おはようございます! あとはお願いします」
巡査部長「ああ。 お疲れ様」
優しそうな警察官「失礼します」

〇ハチ公前

〇SHIBUYA109

〇渋谷のスクランブル交差点

〇渋谷ヒカリエ

〇渋谷ヒカリエ

〇渋谷ヒカリエ

〇駅のホーム
  ──朝 渋谷駅のプラットホーム──

〇駅のホーム
おばあさん「・・・ふう」
おばあさん「渋谷に帰ってこれたわ」
  ──そこへ、一人の少年が──
迷子の男の子「・・・あの」
おばあさん「・・・あら? こんにちわ」
迷子の男の子「おばあちゃん、けがしたの?」
おばあさん「そうよ、むかしね」
迷子の男の子「痛かった?」
おばあさん「・・・ええ。 でも、今はもう痛くないわ」
迷子の男の子「じゃあ、おばあちゃんも強いんだね!」
おばあさん「あら? ・・・うふふ、そうだといいわねぇ」
迷子の男の子「僕も、強い子になるよ」
迷子の男の子「おばあちゃんを守れるくらいになってみせるね!」
おばあさん「あら。 ありがとう」
迷子の男の子「ばいばーーーい!」
おばあさん「うふふ、さようなら」
おばあさん「なんだか、朝から元気が出たわ」
おばあさん「元気が出たところで、家まであと少し。 頑張りましょうか」
おばあさん「・・・ええと・・・エレベーターは、どこかしら・・・?」
  ──エレベーターを探し始めた、おばあさんのもとへ・・・
「・・・あの・・・」
おばあさん「・・・あら」
女子学生「・・・エレベーターをお探しでしたら、あちらですよ」
おばあさん「まぁ、そうなの。 ちょうど探していたの」
女子学生「・・・私も最近、渋谷の人に色々教えていただいたんです」
女子学生「人が多いので、お気をつけて」
おばあさん「ありがとう」

〇広い改札
  ────渋谷駅構内────
おばあさん「あともう少し。 駅の出口は・・・と」
おばあさん「やっぱり、渋谷は人が多いわねぇ」
おばあさん「混んでて、車いすで進むのが怖いわねぇ・・・」
「・・・あの」
おばあさん「・・・あら?」
通りがかりのサラリーマン「ここは、人が多くて危険です」
通りがかりのサラリーマン「僕でよければ、改札の外まで、車いすを押しましょうか?」
おばあさん「・・・まあ!」
おばあさん「ありがとうございます。 とても助かります」

〇渋谷駅前
優しそうな警察官(──さて、今日も1日がんばらないと・・・)
優しそうな警察官「──あれ?」
優しそうな警察官「──おかえりなさい!」
おばあさん「──あら。 見つかっちゃいましたね」
優しそうな警察官「あはは!」
優しそうな警察官「どうでしたか、旅は?」
おばあさん「とても良かったわ」
おばあさん「街の皆さんが、助けてくれたおかげでねぇ」
おばあさん「もちろん、あなたからも」
おばあさん「──ほんとうに、ありがとう」
おばあさん「色んな人が助けてくれて・・・やっぱりいい街ね、ここは」
優しそうな警察官「──光栄です」
優しそうな警察官「どうか、お気をつけて!」
おばあさん「ええ。ありがとう」
優しそうな警察官「・・・・・・」
優しそうな警察官「・・・『いい街』か」
優しそうな警察官「──今日も、がんばろう!」

〇空
  ──たくさんの人から、この街を「好きだ
  」と言ってもらえるように──
  ──────fin──────

コメント

  • ひとつひとつは小さな好意かもしれませんが、それが連鎖すると素敵な街になりますね。
    特に渋谷のように見知らぬ人が溢れていると、困っている人に手を差し伸べるのが難しいかもしれませんが、このような好意の好循環が起こってほしいですね。

  • 優しさの連鎖にとても心が温まりました😌
    誰かの優しさが、また誰かの優しさになって、みんなが笑顔になれる世の中って本当に素晴らしいですね☺️

  • お巡りさんの仕事って多岐にわたって大変なんですね。人から頼りにされる仕事はいいな。でも、「優しそうな警察官」と言うネーミングが気になるな。本当は・・・

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