アリバイ代行屋

ヲズ

エピソード1(脚本)

アリバイ代行屋

ヲズ

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アリバイ代行屋
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〇個別オフィス
  俺はアリバイ代行屋
  俺は生まれながらに特殊な能力を持っていてそれを使い
  何らかの事件などに巻き込まれた依頼人や関係者に化けて都合の良いアリバイを作る・・・
  そんなことをしている
  もちろんそんなところに持ってくる依頼人なんて黒い噂の絶えないものばかりなんだが・・・
  おっと・・・
  どうやら今回の依頼人が来た様だ・・・
依頼人「すみませーん・・・ 依頼をした者なんですが・・・」
代行屋「もちろん存じております。 タムラさん・・・でしたね?」
依頼人「はい・・・ あ、申し遅れまして、 わたしこういう者です」
代行屋「ほぅ・・・ アイドル事務所のマネージャーさん?」
依頼人「はい・・・ 実はウチで売り出してるアイドルのエリカなんですが・・・」
依頼人「実は彼女、数日前から連絡が取れず 行方知らずなんです・・・」
代行屋「それはそれは・・・」
代行屋「警察の方には?」
依頼人「わたしは捜査依頼を出すべきだと思っているのですがウチの社長が・・・」
依頼人「それにエリカも自由奔放なところがあるので、仕事に疲れてどこかでリフレッシュしているんだと思います」
代行屋「なるほど・・・ で、わたしにどうして欲しいと?」
依頼人「実は数日後、大きなイベントにエリカは出演することになっているんです! 事務所的にもこれをキャンセルするわけにも・・・」
代行屋「なるほど・・・ エリカさんに化けてそのイベントに出演してほしい・・・と?」
依頼人「はい・・・ もちろん謝礼の方ははずませますので・・・」
依頼人「それにそのイベントを見たらエリカも連絡をしてくるかもしれないし・・・」
代行屋「なるほど。 確かに自分の出演していないイベントに自分が出ているとなれば驚いて事務所に連絡を入れるかもしれませんね」
依頼人「はい!なのでどうか・・・」
代行屋「わかりました。 その依頼、お引き受けしましょう」
依頼人「ありがとうございます!」

〇個別オフィス
依頼人「代行屋さんには出来れば明日にでもエリカとしてイベントについての打ち合わせや準備をお願いしたいのですが・・・」
代行屋「随分急な話ですね・・・ わたしは構いませんが・・・」
依頼人「よかった・・・ ですがその・・・」
代行屋「?」
依頼人「ここまでこんな話をしていてなんですが、 本当に・・・その・・・」
代行屋「あぁ・・・ 背丈も体格も違う華奢な女性に成りすますなんて出来るのか・・・と?」
依頼人「いや、疑うわけではないんですが・・・」
代行屋「仕方ありません・・・ あまりにも現実離れしていることですから・・・」
代行屋「実際に見てもらった方が早いでしょう・・・」
エリカ?「・・・」
エリカ?「どうですか?マネージャーさん? ちゃんとわたしになれてますか?」
依頼人「本当に!? 本当にエリカ!?」
エリカ?「ふふっ・・・ 落ち着いて下さいマネージャーさん?」
エリカ?「さっきまでのやり取り、 忘れちゃったんですか?」
依頼人「あ・・・あぁ・・・ す・・・すみません・・・ あまりのことに驚いてしまって・・・」
エリカ?「大丈夫ですよ? ふふっ・・・」
代行屋「とまぁ、こんなところです。 これで信じて頂けたと思います」
依頼人「も・・・もちろんです! これならイベントも問題なくこなせます!」
依頼人「では明日の正午、お迎えにあがりますので」
代行屋「はい・・・それでは・・・」

〇おしゃれな玄関
  翌日・・・
エリカ?「どうぞー」
依頼人「いやぁ お待たせしました・・・ 道が混んでまして・・・」
エリカ?「20分の遅刻ですよ?! マネージャーさん?」
依頼人「すみません・・・ しかし、時間に厳しいところとかもエリカそっくりだ・・・」
エリカ?「あら?そうですか?」
依頼人「では、前に車をまわしてますので・・・」
エリカ?「では、今日はよろしくお願いします マネージャーさん?」

〇車内
依頼人「ではこれからあなたには我が社の事務所でイベントの内容の確認と・・・」
エリカ?「マネージャーさん?」
依頼人「は・・・はい?」
エリカ?「普段わたし・・・エリカさんのことを「あなた」 なんて呼びませんよね?」
エリカ?「普段の彼女と同じ様に接してください。 でないと変に疑いを掛けられて今回の依頼の失敗にも繋がってしまいます」
依頼人「は・・・はい・・・ あ、いや・・・ わかったよエリカ」
エリカ?「ふふっ ではお願いしますね? マネージャーさん」
エリカ?「っと・・・ 話の腰を折ってしまいました・・・ ええっと・・・?」
依頼人「あぁ・・・ エリカについて知ってもらおうかと・・・ やはり姿かたちはそっくりでも、普段の彼女を知っていないと・・・」
エリカ?「そういう事ですか・・・ 一応、変身したときに対象の癖やしぐさなんかもコピーは出来るんですが・・・」
依頼人「そうなんですか!? 道理で違和感がないわけだ・・・」
エリカ?「ですが彼女の記憶や考えまではコピー出来ません」
エリカ?「もしコピーしてしまうと彼女の記憶に飲まれてわたし自身の自我まで危うくなってしまいます」
エリカ?「なので、ここしばらくの彼女の仕事がどうだったとか、人物像を大まかでも教えてもらえればと思います」
依頼人「わかりました。 あ、もうそろそろ社に着きますよ」
依頼人「それともう一つ」
エリカ?「?」
依頼人「実はまだ社の方でもエリカが失踪したのを知っているのはわたしと社長だけなんです・・・なので・・・」
エリカ?「わかりました。 では、もしものときはフォローをお願いします」
依頼人「すみません・・・ 今日は社長も不在で社員や他のアイドルなんかも出払っているので大丈夫だと思うんですが・・・」
エリカ?「よっぽど親密な間柄でもなければ騙し切る自信はありますよ?」
依頼人「それならいいんですが・・・」

〇大企業のエントランス
エリカ?「あまり人がいないみたいですね」
「あれ? エリカちゃん?」
ユリ「なんか久しぶりね〜 今日はどうしたの?」
依頼人「あ・・・あれぇ? どうしたのユリちゃん? 今日はオフじゃなかったの?」
ユリ「今日はオフよ? 昨日がお仕事終わるのが遅かったから 事務所に泊まってこれから帰るってとこ」
エリカ?「そうなんだ・・・ ユリちゃんも大変だね~ わたしもこれから打ち合わせなの」
ユリ「あ、そういえば1週間後にあるイベントに出るんだっけ? あなたも大変ね〜 じゃあ時間が空いたら今度食事でも行きましょう?」
エリカ?「うん! またね〜」
依頼人「・・・・・・」
依頼人「はぁーびっくりした・・・」
エリカ?「そんな調子じゃもちませんよ? 行きましょ?マネージャーさん」
依頼人「あ、ちょっとぉ・・・」

〇小さい会議室
  イベントの打ち合わせも無事終わり・・・
依頼人「では今日はこんなところで・・・」
エリカ?「お疲れさまでした。 マネージャーさん」
依頼人「明日からなんですが、 わたしに代わって坂本というわたしの部下に任せていますので・・・」
エリカ?「ええっと・・・ マネージャーさんはどちらへ?」
依頼人「わたしは本物のエリカの今後について社長との話し合いの後、 一度エリカの実家に行ってみようかと・・・」
エリカ?「そうですか・・・ ちなみにその坂本さんという方はエリカさんとは・・・」
依頼人「何度か顔を合わせているだけです」
エリカ?「そうですか・・・」
依頼人「では、遅くなる前に送りますね・・・」

〇おしゃれな玄関
  翌日・・・
エリカ?「どうぞー」
坂本「おはようございます。 今日からイベントまでの間、マネージャーのタムラさんの代わりになりますが、どうぞよろしくお願いします」
エリカ?「こちらこそよろしくお願いしますね? 坂本さん!お久しぶりです」
坂本「うん、久しぶり。 エリカちゃん、元気そうでよかったよ・・・ 前に会ったときはなんか悩んでるような感じだったから・・・」
エリカ?(悩んでる・・・?)
エリカ?「え・・・えぇ・・・ ちょっとお仕事が大変で疲れてただけですよ〜 少しお休みをもらったのでもう大丈夫です!」
坂本「そっか・・・ならよかったよ。 じゃあ今日はこれからイベントの会場に向かいます」
坂本「そこで軽く下見と関係者の人たちへの挨拶周りの後に宿泊先のホテルへ・・・ といった流れになります」
エリカ?「わかりました」
坂本「じゃあ行きましょう! あ、荷物は持ちますので」

〇豪華なベッドルーム
  1日のスケジュールも終わり、いよいよイベント前日になった・・・
エリカ?「しかし、アイドルも大変ね・・・ 常に人から見られているっていうのは・・・」
エリカ?「本物のエリカさんが逃げたくなった理由もわかる気がする・・・」
「坂本です。すこしいいですか?」
エリカ?「あ、ちょっと待ってください 今開けますー」
坂本「あ、もう寝るところだったかな?」
エリカ?「いえ・・・ そんなことないですよ?」
坂本「これ、前にエリカちゃんから預かってた手帳」
坂本「ずっと預かりっぱなしでそれっきりだったから返すタイミングが無くて・・・」
坂本「あ、大丈夫! 中身は見てないから!」
坂本「それじゃあおやすみなさい!」
エリカ?「本物のエリカさんの手帳・・・ 坂本さんにわざわざ預けたのって彼に見てほしかったんじゃ・・・」
エリカ?「さっきの坂本さんが言うには失踪前にエリカさんが渡したってことよね・・・」
エリカ?(もしかするとエリカさんがいなくなった理由が書いてあるかもしれない・・・)
エリカ?「ごめんなさい・・・エリカさん! 少しだけ見させてもらいます!」
エリカ?「これは・・・!?」

〇コンサート会場
エリカ?「みんなー!!! 今日は来てくれてありがとー!!!」
「エリカちゃーん!!」
「サイコー!!!」
エリカ?「じゃあ次はこの曲〜」
エリカ?「あ・・・っ」
エリカ?「うっ・・・ ぐっ・・・あぁっ・・・」
エリカ?「あああああっ・・・」
「何だ!?」
「エリカちゃーん!!」
「誰か救急車を呼べーーーー!!」

〇空港のロビー
  エリカのライブから数日・・・
  エリカがイベントの最中に倒れた騒動で持ち切りだった・・・
依頼人「クックックッ・・・ これで俺は・・・」
「俺は・・・なんですか? タムラさん?」
依頼人「な・・・誰だ!?」
坂本「エリカがあんなことになったのに電話にも出ずに一体何をしていたんですか?」
依頼人「坂本!? お前何でこんなところに!?」
依頼人「それにお前・・・警察に・・・」
坂本「警察に捕まりましたよ。 あなたに渡された飲み物を・・・ 毒が入った飲み物を彼女に渡して飲ませた所為で!!」
依頼人「だったら何で!?」
坂本「彼女が全て教えてくれました」
エリカ?「・・・・・・」
依頼人「お前・・・何で!?」
エリカ?「お久しぶりですね? マネージャーさん・・・」
依頼人「何で・・・!? 確かにお前は倒れて・・・」
エリカ?「イベント前に坂本さんに渡された飲み物から少し変な臭いがしたんです・・・」
エリカ?「なので一度ペットボトルの飲み物を捨てて同じペットボトルに水を入れて飲んだんです・・・」
エリカ?「そうすればもし毒が入っていたとしても毒の効果は薄まって致死量ではなくなるでしょう?」
依頼人「なぜそんなことを!?」
坂本「お前を確実に刑務所にぶち込む為だ!!」
坂本「俺は止めたんだけどな・・・」
坂本「まさか事務所の金を横領してただけでなく、そのことに気付いたエリカを・・・」
エリカ?「だからあなたはわたしを頼った・・・」
エリカ?「エリカさんが大勢の人が見ている前で殺す・・・ そして自分自身はイベント会場から離れたところにいれば無関係を装える・・・」
エリカ?「そんなところでしょう?」
エリカ?「本物のエリカさんが坂本さんに預けていた手帳に全て書かれていました・・・」
エリカ?「あなたが事務所の金を横領していたこと・・・ そのことを告発することも・・・」
依頼人「あの女が・・・ あの女が悪いんだ!!!」
依頼人「あいつが全てを公表するなんていうから!!」
坂本「お前!!! そんなことで彼女を!!!」
依頼人「ぐぅっ・・・」
エリカ?「十分でしょう?坂本さん・・・」
坂本「チッ・・・」
エリカ?「あとは警察に任せましょう・・・」
警官「タムラさんですね? 署の方でお話を・・・」
依頼人「くっ・・・」
警官「あなたも今回はご協力ありがとうございました・・・」
エリカ?「いえ・・・」
坂本「あの警官の人と知り合いなのか?」
エリカ?「はい・・・」
坂本「俺の方からも・・・」
エリカ?「?」
坂本「今回のことはありがとうございました・・・ 天国に行った彼女も安堵していることだろう・・・」
エリカ?「いえ・・・ わたしがいた所為で逆に話がややこしくなってしまったので・・・」
エリカ?「それにエリカさんがあなたに渡した手帳・・・ あれがあれば遅かれ早かれタムラは捕まっていたでしょうし・・・」
坂本「そうかもしれません・・・ でも・・・」
坂本「ありがとう・・・」

〇墓石
  そして・・・
エリカ?「終わったよ・・・ エリカさん・・・」
ユリ「あれ? お花が供えてある・・・」
坂本「あぁ・・・ あの人か・・・」
ユリ「あの人?」
坂本「あぁ・・・」

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