小悪魔現る(脚本)
〇教室
先生「というわけで、x=2となるわけです。では次の・・・」
山田(は~、つっまんね~・・・)
ギュルルルル!
山田(はぅわ!は、腹が・・・まずい・・・これはマズいぞ・・・!)
〇近未来の会議室
ストロング山田「ここは今すぐトイレに行かせてもらうべきだ!」
心配性山田「いや、ダメだよ!」
心配性山田「ここでは学校でウ〇コしたヤツをからかう小学生レベルのヤツがわんさかいるんだ!」
心配性山田「最悪、今日から俺のあだ名はウ〇コマンになっちゃうよ!」
ストロング山田「中学生にもなってウ〇コマンと言うヤツがウ〇コマンだ!」
ニーチェ山田「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ・・・」
ストロング山田「こんな緊急時に何の役にも立たない思わせぶりなこと言ってんじゃねえ!」
ストロング山田「俺はトイレに行く!」
心配性山田「明日から俺の学校生活どうなるんだよお!」
諸葛亮山田「まずは保健室に行くというのはどうだろう?」
ストロング山田「な・・・なんだって!?」
諸葛亮山田「まずは保健室に行くために教室を脱出する」
諸葛亮山田「要は怪しまれずに出て行けばよいのだ」
心配性山田「でも、その作戦は・・・!」
ストロング山田「お前はうるさいぞ!この作戦はパーフェクトだ!すぐに実行!」
〇教室
山田「先生!実は熱っぽくて・・・!」
先生「む?山田ずい分苦しそうな顔じゃないか。汗もかいている」
山田(よし、イケる!)
先生「吉本、山田を保健室に連れて行ってあげなさい」
吉本「分かりました」
山田(な、なんだとおー!!)
〇近未来の会議室
心配性山田「だから言ったじゃないかー!」
心配性山田「俺はこの可能性を指摘しようとしたのに、ストロング山田が言葉を遮るからぁ!」
ストロング山田「俺のせいにするな!」
ストロング山田「大体、諸葛亮の作戦が甘かったからだ!お前それでも軍師か!」
諸葛亮山田「私を甘く見てもらっては困る」
諸葛亮山田「こういう時の人選で最も可能性が高いのは、学級委員の吉本さんだ」
諸葛亮山田「吉本さんは人当たりもよく、気遣いも出来る優しい女の子だ」
諸葛亮山田「事情を話せばきっと分かってくれる」
ストロング山田「さすが諸葛亮!」
ストロング山田「分かったか心配性山田!お前がいらんこと心配し過ぎなんだ!」
心配性山田「お前なあ・・・」
〇学校の廊下
山田「吉本さん、実は・・・」
山田は腹をおさえて訴える。
吉本「あれ山田君、熱っぽいんじゃなかったの?」
山田「だってほら、ね?授業中にトイレって言い出すのも、ね?」
吉本「あ、そゆこと?ふう~ん」
吉本さんが悪そうに笑う。
吉本「熱がないなら教室に戻らないとね~?」
山田(な、なんだとおー!!)
〇近未来の会議室
心配性山田「終わった。何もかも・・・」
諸葛亮山田「クッ、これが孔明の罠か・・・」
ストロング山田「お前が孔明だろ!」
ストロング山田「もうこの際強引にトイレに行くべきだ!」
心配性山田「吉本さん、信じてたのに・・・神様はいないのか・・・」
ストロング山田「お、おい、心配性山田!しっかりしろ!心配性山田!」
ニーチェ山田「人間は神の失敗作に過ぎないのか、それとも神こそ人間の失敗作にすぎぬのか・・・」
ストロング山田「お前はマジで何の役にも立たねえなあー!」
心配性山田「あ・・・」
ストロング山田「どうした心配性山田!?」
心配性山田「もう、もれるかもしれない・・・」
ストロング山田「何!?そ、それはマズい!」
ストロング山田「何とか・・・何とかもう少し耐える手段は・・・!?」
???「ウ〇コは腸に留まるぞ、と心の中で唱えるのだ」
???「そして10秒おきに肛門括約筋を締め、ゆっくりすり足で歩くのだ・・・」
「あ、ああ・・・あなたは・・・!!」
「ユング山田!」
ユング山田「心理学者だけでなく、各界の識者が集まって下された結論だ」
ユング山田「これが一番ウ〇コを我慢できる」
ストロング山田「うおおおおお!ユング!さすがユング!」
ストロング山田「どっかのニーチェとはえらい違いだ!」
ニーチェ山田「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」
心配性山田「負け犬の遠吠えって知ってる?」
ストロング山田「お前、言う時は言うんだな・・・」
ストロング山田「ひとまず、ここまで切羽詰まったらユングの助言通りにトイレに行くしかあるまい!」
ストロング山田「最悪なのはもらすことだ!」
心配性山田「そ、そうだね・・・」
心配性山田「もらしてしまうことに比べたら、この際ほかのことは目をつむるべきだ」
ストロング山田「よし、トイレに向かう!」
〇学校の廊下
山田「よ、吉本さん・・・授業中だけどね、俺はちょお~っとトイレに行きたいんだ・・・」
吉本「お腹が痛いの?」
山田「そそ、お腹が・・・」
吉本「この辺かな~?」
ツンツン!
山田「はうわ!」
〇近未来の会議室
心配性山田「吉本さん・・・まさかこんな悪魔だったなんて・・・」
ストロング山田「くっ、マズいぞ!思ったより精神ダメージが大きい・・・!」
マゾヒスト山田「いやこれはご褒美と考えるべきではないだろうか?」
ストロング山田「なるほど・・・その手があっ・・・ねえよ!」
ストロング山田「俺はそんな変態じゃねえ!」
心配性山田「ああ、俺の学校生活、儚かったなあ・・・」
ストロング山田「あきらめるな!」
マゾヒスト山田「そうだ、ここでもらしても吉本さんから軽蔑の視線をもらえるんだぞ!」
ストロング山田「お前ニーチェ山田と同レベルで役に立たねえなー!」
ストロング山田「ユング、助けてくれユング!」
ユング山田「残念ながらウ〇コは腸に留まるぞ、を念仏のように唱えて自己暗示をかけるほかない」
ストロング山田「ちっきしょおおおおお!!」
ストロング山田「全員、あきらめるな!ユングの助言通りに!」
〇学校の廊下
吉本「山田く~ん、ちょっとおふざけが過ぎたのは謝るって!」
吉本「先生には保健室に連れて行ったって言っとくから!」
山田は自己暗示に必死でもはや吉本さんの言葉は聞こえてない。
吉本「あちゃ~、さすがにちょっと悪いことしちゃったな・・・」
トイレに千鳥足で入っていく山田を見送り、吉本さんは教室に戻る。
〇教室
吉本「先生~、山田君は保健室に送ってきました」
放課後・・・
事なきを得た山田は、吉本さんがトイレの件を黙っててくれたことを知る。
そして・・・
吉本「山田君、甘いものは好きだっけ?」
山田「え?別に嫌いじゃないけど・・・」
吉本「じゃあ、これあげる!」
それは家庭科の時間に焼いたクッキーだった。
吉本「今日はちょっと悪ふざけし過ぎちゃったからね」
吉本「ごめんね!じゃあまた明日!」
山田「あ、ありがと・・・」
山田「・・・」
〇近未来の会議室
ストロング山田「普通あのくらいでクッキー渡すなんてあるか?」
ストロング山田「これは絶対俺に気がある!」
心配性山田「それはないよ!恥の上塗りだから変なことはやめろって!」
ニーチェ山田「自己侮蔑という男子の病気には、賢い女に愛されるのがもっとも確実な療法である」
ストロング山田「お前はそろそろ中二病山田に改名しろ」
山田の脳内が騒がしいのはトイレのせいではなく、いつものことなのであった。
マゾヒスト山田という存在と立ち絵のチョイスにクッソ笑いました。なんて……いらない存在……!(笑)
自分の脳内キャラ、ついつい『自分』と同じ立ち絵にしちゃいそうなものですが、脳内キャラがいっそ思い切って全部違う見た目なのが逆にいい感じですね……諸葛亮山田、めっちゃ思い切ってる(笑)。
「山田の脳内会議」は、中学生の山田が授業中に襲ってくる便意と戦うコメディ作品ですね!山田の困難な状況に笑いながらも、どう切り抜けるのかワクワクしながら読み進めました。登場人物たちの個性的なセリフや意見のぶつかり合いも面白く、ストーリーが進むごとに笑いが止まりませんでした。特に、ストロング山田や心配性山田のやり取りは笑いのツボでした!緊張感の中にも笑いがあり、一気に引き込まれました。作品全体を通じて、笑いの連続で楽しませてもらいました。
脳内会議は男子だけで、凄い盛り上がりですねww
結構ニーチェ山田とマゾヒストがツボでした。ポエム山田も欲しいなぁww 役立たず同士の作戦会議をもっと見たいですねww
最終的には、小悪魔吉本が一番悪い・・・けど可愛い。
お腹も頭もフル回転で大変ですね(^^)
すごい面白かったです!!