クリスマスのプレゼント

みちみち

エピソード1 ある日の公園で(脚本)

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〇小劇場の舞台
  この世界には
  たくさんの人生があるわけだが
  いったいどれだけの人が
  自分の人生を選択して生きているのか
  そんなこと考えたこともなかった
「あの夜までは」
  クリスマスの前に話は遡る

〇レトロ喫茶
  ガシャーン
客「何してるんだよ!!」
ロイ「す、すみませんお客様」
ロイ「今新しいものを持って来ますので・・・」
客「もういいよ!! まったく」
  バタンッ
店長「ちょっと困るよー」
店長「お客さん怒って帰っちゃったよー」
ロイ「すみません・・・」
店長「はぁもう しっかりしてくれないかな」
店長「ほんとに君はお兄さんとは大違いだね!!」
ロイ「・・・申し訳ないです」

〇銀杏並木道
  トボトボ
ロイ「・・・眠れないな」
ロイ「今日もやらかしてしまった」
ロイ「俺はどうしてこんなに ダメなんだろう」
ロイ「また今回のバイトも続かないかもな」
  お兄さんとは大違いだね
ロイ「兄とは違う そりゃそうさ」
ロイ「はぁ・・・」

〇イルミネーションのある通り
ロイ「あ」
ロイ「イルミネーションの準備がしてある」
ロイ「もうすぐクリスマスか」
  もしもし
ロイ「え?」
商人「もしもし」
ロイ「うわ!?」
ロイ「び、びっくりした!?」
商人「アハ」
ロイ「な、なんだよ・・・」
商人「もうすぐクリスマスですね」
ロイ「え、あぁ そうですね」
商人「お兄さん自分にプレゼントはいかが?」
ロイ「自分に?」
商人「ええ いい商品ありますよ」
ロイ「自分にプレゼントなんか そんな気分じゃない」
商人「どうして? プレゼントはいいものですよ」
ロイ「別に欲しいものもないしな」
商人「いいや あるはずですよ」
商人「誰だって 欲しいもののひとつくらい」
ロイ「別に・・・」
商人「自分で決められないならね」
商人「この中から選ぶといいよ」
商人「選んだ箱の中に」
商人「お兄さんがとびきり喜ぶものが 入っているよ」
ロイ「俺が喜ぶもの?」
商人「一回試してみたらいいと思うよ」
商人「さぁこれ 安くしとくよ」
ロイ「え、あ、いらないよ」
ロイ「まって」
  しーん
ロイ「あれ いない・・・」
ロイ「何だったんだ・・・」
ロイ「急に風が強くなってきたな」
ロイ「何処かで休むか」

〇公園のベンチ
ロイ「俺が欲しいものって 何だよ」
  ガサガサ
ロイ「え」
ネコ「・・・」
ロイ「なんだこれ・・・」
ロイ「俺が欲しいものって」
ロイ「猫のぬいぐるみかよ・・・!?」
ロイ「はぁ・・・ 騙されたな」
ロイ「あれ?」
ロイ「なんか表情が変わったような・・・」
ロイ「・・・気のせいか」
ロイ「しかしどいつもこいつも」
ロイ「馬鹿にしゃがって」
ロイ「そりゃ俺は馬鹿だけど・・・」
ロイ「はぁなんかやたら疲れたな」
ロイ「なんか眠たくなってきた・・・」

〇おしゃれな居間
  笑え

〇おしゃれな居間
  笑いなさい
父親「本当にお前は笑うのが下手だな」
父親「ロイ」
子ども「すみません お父さん」
父親「謝らなくていい 笑いなさい」
子ども「え、えと・・・」
父親「はぁ・・・」
父親「そんな調子でどうやって役者になるつもりだ」
子ども「ごめんなさい もっと頑張りますから」
父親「家の家系に泥を塗るつもりか」
子ども「・・・」
父親「お前にはせいぜいずっと泣いているような 惨めな役しか出来ないだろう」
子ども「・・・」
父親「目を離せばいつもひとりで絵なんぞ描いて」
父親「愛想良く笑えもしない そんな様子だから」
父親「友達もいやしない」
父親「まったく・・・」
父親「お前の兄とは大違いだな」

〇公園のベンチ
ロイ「はっ・・・」
ロイ「嫌な夢だな・・・」
ロイ「ぜんぶ夢だったのか」
ロイ「いやこいつは夢じゃないのかよ・・・」
ロイ「腹立つ顔してんな」
ロイ「さむ・・・」
ロイ「帰るか・・・」
ロイ「ん?」
子ども「・・・」
ロイ「子ども?」
ロイ(こんな時間に?)
ロイ「君」
ロイ「何してるんだ?」
子ども「・・・」
ロイ「ひとりか?」
子ども「・・・」
ロイ(なんかこの子ども 俺の小さい頃に似てるな・・・)
子ども「ねこ」
ロイ「ん?」
子ども「ねこ」
ロイ「あぁこいつか」
ロイ「触っていいぞ」
子ども「えへへ」
ロイ「お、笑った」
ロイ「ココアでも飲むか?」
子ども「いいの?」
ロイ「自販機のやつだけどな」
子ども「ありがとう・・・」
ロイ「おう」
ロイ「今夜は冷えるからな」

次のエピソード:エピソード2 兄の舞台

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