エピソード28 『那由多《なゆた》 』(脚本)
〇荒廃したセンター街
【2034年、モンガル。『飼葉 タタミ』】
ホビロンの大戦を終えたわたしたちは、尽きそうになる先生の体を守り、懸命に運んだ。
先生をわたしたちの故郷
『導きの園』に届け、その命救う為に。
この戦いで満足に生き残れたのは
『わたし』と『楽々』、
『コージ』と『真衣』、
・・・・・・この4人だけだった。
『先生』と『スバリナ』は、かろうじて生を保っている危うい状態だ。
〇荒野
『人魔』は今もあの地に立っている。
彼はあの地で、『立ったまま』果てた。
わたしたちを守って、
────『人魔』は空へ帰っていった。
〇荒地
道中で、わたしは先生の身体から『細胞』を採取した。
ペストに侵されていない『生殖細胞』を、
先生から奪い取る。
そして、
わたしたちは先生から『奈久留さん』を切除した。
『黒い宝』だけを切り出し、その腕を燃やす。
全て、
・・・無駄な足掻きなのは解っていた。
〇岩山
その後、
先生とわたしは、『楽々』たちと別れ小高い丘へ向かった。
より、星空が見える場所へと。
その時が来たのが、
・・・なんとなく分かったから。
月明かりの下、先生がただ1本の腕をわたしへと伸ばす。
緋色「・・・『奈久留』?」
タタミ「なあに? 『緋色』」
我ながらヘタな芝居だと思う。
わたしが『奈久留』さんのマネを出来る訳ない。
・・・けれど、
意識が虚ろな彼に嘘をついてでも、
その、
・・・隣りに居たかった。
緋色「お腹、・・・空いてないか?」
タタミ「何、言ってるかな、」
タタミ「お腹、いっぱいで苦しいよ。・・・先生」
緋色「・・・・・・・・・・・・」
緋色「・・・・・・そうか、 夢、・・・だったんだな」
緋色「・・・夢でよかった。 また、・・・キミを殺さなくて、 ・・・本当に良かった」
緋色「ありがとう・・・」
緋色「ありがとう、・・・タタミ!」
緋色「────ごめん、な」
緋色「最後まで、 その気持ちに応えてあげられなくて、 ほんとうに、────」
タタミ「・・・・・・・・・」
話も途中のまま、
・・・卑怯で、
・・・ずるっ子で、
いつも馬鹿なわたしに心配をさせる先生は、
・・・・・・旅立ってしまった。
先生の声が、今でも鮮明に耳へ残っている。
〇黒背景
タタミ「・・・・・・・・・・・・」
・・・タタミ、
・・・タタミ、星の数、数え終わったのか?
〇岩山
タタミ「・・・先生。わたし、その答えを見つけたよ? 答え、・・・今からでも間に合うかな?」
タタミ「星の数は、きっと『那由多《なゆた》 』。 無限じゃないけど、ものすごく多くて、 両手じゃ、とても数えきれないの」
堪えきれず、ソレは溢れた。
タタミ「先生! 先生ったら!」
その体をゆすった。答えを聞いてくれなきゃ、
わたしは絶対許せない!
タタミ「・・・1人じゃ、 わたし1人じゃ数えきれないよ、先生!」
その後も、彼が応えることは無かった。
────ただ風が、
その黒い髪を、撫でるように揺らすだけだった。
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭
うわーん💦切なすぎて泣いちゃったぁ😭
本当思わず物語に引き込まれちゃうなぁ(T ^ T)✨
ななちゃんも大変なのに続き書いてくれてありがと❗続きが読めて嬉しい🎶