第十話 博士(脚本)
〇けもの道
シン「ヤマトくん、ちょっといいかな。 アンナも」
ヤマト「なんだ? 急いでるんじゃないのか?」
シン「少しだけ質問するだけだ」
シン「君は・・・転生者、というのか?」
ヤマト「なんでそれを・・・」
シン「今、向かっている研究所」
シン「博士は『転生者』の研究を しているらしい」
シン「僕は『転生者』のことは よくわからないが・・・」
シン「博士は君とアンナが 転生者であることを知っていた」
シン「調べられている、ということだ。 気をつけたほうがいい、と思ったんだ」
ヤマト「わかった。用心するさ」
ヤマト「・・・助かる」
〇魔法陣のある研究室
シン「ここが博士の研究所だが・・・」
アンナ「人の気配はないね・・・」
ヤマト「いや、待て。ここを」
シン「む。 隙間があるな」
ヤマト「開きそうだ。よっ!」
アンナ「地下室・・・かな?」
ヤマト「行くぞ」
シン「油断するな」
〇仮想空間
シン「なんだここは・・・」
ヤマト「モニターがたくさんあるな・・・」
アンナ「見て、あそこ! わたしやヤマトが映ってる!」
ヤマト「ブゲンのおっさんも・・・」
シン「父上もだ・・・」
ヤマト「知らない奴も何人か映ってるな」
???「それらは過去に存在した 転生、あるいは転移者たちです」
「!」
博士「ようこそ。ヤマトくん、アンナさん。 シンくんも」
シン「博士・・・」
博士「ここは私の研究の全て」
博士「私が誕生してからの全ての 転生者、転移者の情報が詰まっています」
ヤマト「転生者、転移者の情報全て・・・だと?」
アンナ「で、でも、こんな数の人たちを、 あなた一人がずっと研究してきたの?」
博士「そうですよ。 ブゲン王やイサノウ王。 そのもっと昔も」
シン「もっと昔だと・・・」
ヤマト「モニターを見る限り、 ブゲンのおっさんやイサノウ王の 若い頃まで映っている・・・」
シン「それより昔・・・。 博士、貴方はいったい何歳なんだ」
博士「何歳? さて、もう忘れてしまいました」
博士「貴方たちの寿命よりは 長く生きているでしょうね」
「・・・」
ヤマト「それより本題だ」
シン「ああ。博士。 何故、父上を撃った?」
博士「知りたいですか? いいでしょう」
博士「先ほどの話に繋がりますが・・・」
博士「何故、私がここまで長生きできていると 思いますか?」
シン「なに・・・?」
博士「簡単です」
博士「私は転生者、転移者の 命を吸っているのですよ」
シン「命を・・・」
アンナ「吸っている・・・?」
ヤマト「まさか、俺とイサノウの王様を 撃ったのは・・・」
博士「そう。 君とイサノウ王の命を吸うためです」
シン「貴様! そんな理由で父上を!」
ヤマト「待て」
シン「ヤマトくん!?」
ヤマト「・・・」
ヤマト「博士。 あんたも転生者、あるいは転移者だな」
アンナ「え!?」
シン「なにっ!?」
博士「ああ、『あれ』が見えましたか」
博士「ブゲン王に教わったのですかね?」
博士「そうです。 まあ、それを知ったところで 意味はありません」
博士「シンくんには恨みはありませんが」
博士「ヤマトくん、アンナさん。 君たちも私の糧になってもらいますよ!」
アンナ「な、なに!?」
ヤマト「あれは・・・!」
シン「博士!?」
博士「さあ、イサノウ王の仇を討ちたいなら かかってきなさい」
「言われなくても!」
シン「はあっ!」
ヤマト「おらあっ!」
博士「それだけですか?」
シン「なにっ!?」
ヤマト「あの鎧、びくともしねえ!」
ヤマト(俺の拳の方が痛え!)
博士「ではこちらも」
シン「くっ!」
ヤマト「アンナ!」
アンナ「大丈夫!」
博士「ほらほら、どうしました!」
アンナ「わわわ!」
ヤマト「ちいっ!」
ヤマト(奴の攻撃は避けれるが・・・)
シン(こちらの攻撃も通じない!)
ヤマト(どうする・・・?)
ヤマト「!」
ブゲン「ヤマトくん!」
ヤマト「おっさん!?」
博士「ブゲン王!? いつの間に・・・!」
博士「くっ! 離れなさい!」
ブゲン「我が友、イサノウの仇討ち、 ワシが参加せずしてどうする!」
ヤマト「だが、そいつの硬さは!」
ブゲン「策はある!」
ヤマト「爆弾!?」
博士「爆弾などで、この鎧が砕けるとでも──」
ブゲン「砕けるさ」
ブゲン「ヤマトくん、 少しの間、離れていろ!」
ヤマト「おっさんは!?」
ブゲン「構うな、離れろ!」
ヤマト「っ!」
博士「ええい、離れなさい! 離れろ!」
ブゲン「イサノウ・・・。 今、ワシもそっちへ行く」
博士「こ、これは!? やめろぉっ!!」
〇仮想空間
ヤマト「な、なんだ!? あの見たこともない爆発は」
シン「魔法? だが魔法の爆発でもない・・・」
アンナ「ヤマト! とにかく、ブゲンさんを!」
ヤマト「あ、ああ」
〇仮想空間
ヤマト「おっさん! ブゲンのおっさん! 無事か!? どこにいる!」
アンナ「これは・・・」
シン「博士の鎧の破片は落ちているが・・・」
ヤマト「くそっ! おっさんの策、自爆かよ!」
シン「あの爆発・・・。 博士の鎧のこの砕け方・・・」
シン「おそらく、ブゲン殿はもう・・・」
ヤマト「・・・」
???「ハア・・・ハア・・・」
ヤマト「おっさん!?」
シン「いや、違う!」
博士「ハア・・・ハア・・・」
ヤマト「その白衣・・・」
シン「博士・・・か?」
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