〇謁見の間
シン「いいのですか？」
シン「ヤマトくんとの戦いで あれだけのことをした僕が・・・」
高位魔術師「我々魔術師の総意です」
高位魔術師「イサノウ王の血を引くシン様が これからの王であらせられると」
シン「しかし・・・」
ヤマト「いいじゃねえか。受けたら」
シン「ヤマトくん・・・」
ヤマト「確かにあの時のあんたはやりすぎだった。 それは許しちゃいけないことだ」
ヤマト「でも・・・いやだからこそ、 もう同じ過ちは起こさない。 そうだろ？」
シン「・・・ああ！」
ブゲン「そうならないように ワシも協力しよう」
シン「ブゲン殿・・・」
ヤマト「ったく。おっさんには驚いたぜ」
ヤマト「あの激闘の後の帰りに、 ボロボロで出てきやがるんだから」
ブゲン「ふ。 ワシも死ぬつもりだったのだがな」
ブゲン「イサノウに追い返されたのよ」
ブゲン「『ワシに代わりシンを見守ってくれ』 とな」
シン「父上が・・・」
高位魔術師「そういうわけです」
高位魔術師「王位を継いでいただけますな？」
シン「・・・ああ！」
村のエリート「だ、だからボクも許されたのか？」
シン「キミも僕の手伝いをしただけだからな」
村のエリート「じゃ、じゃあボクをこのまま 魔術師の一角に──」
シン「それはダメだ」
村のエリート「えー!?」
シン「だが・・・ きちんと試験に合格したら」
シン「それなりの地位を用意しよう」
村のエリート「!! あ、ありがとう！」
村のエリート「ボクの実力を見せてあげるさ！」
高位魔術師「・・・いいのですか？」
シン「彼の実力は本物だよ。 ・・・調子に乗らなければ」
ヤマト「あんたがそう言うなら そうなんだろうな」
シン「ヤマトくんはどうするんだ？」
ヤマト「俺？　俺は・・・」

〇謁見の間
アンナ「シン！」
高位魔術師「アンナ殿。 今はシン様の王位継承儀式の準備で・・・」
シン「いや、構わない。 どうした、アンナ？」
アンナ「ヤマト、どこに行ったか知らない!?」
シン「なに・・・？」
シン「ヤマトくんは君に話していないのか？」
アンナ「え、何を？」
シン「ヤマトくんは、修行の旅に出る。 そう言っていたが・・・」
アンナ「!!」
シン「アンナ！　ヤマトくんが出たのは もう数日前だぞ！」
高位魔術師「・・・行ってしまいましたな」
シン「まったく、ヤマトくんも罪な奴だ」

〇ヨーロッパの街並み
アンナ「ヤマト・・・！」
アンナ（バカ！　勝手にいなくなるなんて！）
アンナ「っ!?」
アンナ「・・・」
アンナ「ヤマト・・・」

〇草原の道
ヤマト「いい風だ」
ヤマト（まだまだ俺は この世界のことを知らない）
ヤマト（もっと強いやつがいるかもしれない）
ヤマト（だから俺は・・・もっと強くなる）
ヤマト（もっと強い奴を倒すために）
ヤマト（最強に・・・なるために）
ヤマト「・・・」
ヤマト（アンナには、悪いことしたな・・・）