第九話 ヤマト対イサノウ そしてー(脚本)
〇謁見の間
イサノウ王「なに!? ヤマト少年が生きていただと!」
高位魔術師3「はっ・・・。 それだけでなく──」
イサノウ王「ブゲン・・・。 あやつが生きていた・・・」
イサノウ王「ヤマト少年は ここに戻って来るであろうな」
高位魔術師3「はっ、おそらくは」
イサノウ王「・・・博士に連絡を。 あれを持ってくるようにな」
高位魔術師3「・・・わかりました」
イサノウ王「いいだろう、ヤマト。 そしてブゲン」
イサノウ王「ワシは逃げも隠れもせん。 来るがよい」
イサノウ王「我が魔力で返り討ちにしてくれるわ」
〇荒廃した街
ヤマト「おいおい、 戻ってきたはいいけど、これは・・・」
ブゲン「この荒れよう。 大魔力の魔法によるものだ」
ブゲン「君を襲った魔法の影響ではないかな?」
ヤマト「俺を襲うためだけに 町をここまでするのかよ・・・」
???「ヤマト!?」
ヤマト「!」
アンナ「ヤマト! ほんとにヤマトだ!」
ヤマト「アンナ」
アンナ「大丈夫なの!? 宿が魔法で吹き飛んでて」
アンナ「心配・・・したんだから」
ヤマト「ああ、悪いな。 だがこうしてピンピンしてる」
アンナ「ならいいけど・・・」
アンナ「それより、そっちの人は・・・」
ブゲン「ワシか? ワシは──」
???「ヤマトくん」
???「ブゲン王」
「!」
高位魔術師「久しぶりだな。 無事で何よりだ」
ヤマト「魔術師のおっさん、久しぶりだな」
ヤマト「だが・・・」
「・・・」
ブゲン「ここまで大勢の魔術師で囲むのは 何故か、一応、聞いておこう」
高位魔術師「それを貴方が聞きますか、ブゲン王」
高位魔術師「滅んだとはいえ、敵国の王。 警戒するのは当然でしょう」
ブゲン「ふ、そうだな」
高位魔術師「ですが、我々は何もする気はありません」
高位魔術師「王がお二人をお呼びです。 来ていただけますね?」
ブゲン「ほう・・・?」
ヤマト「王様に会うのは、 元々そのつもりだけどな」
高位魔術師「では、こちらへ・・・」
アンナ「わ、わたしも、行っていいですか?」
高位魔術師「・・・いいでしょう」
〇謁見の間
イサノウ王「来たか・・・」
イサノウ王「よく来たな、ヤマトくん。 そして・・・ブゲン」
ヤマト「ああ」
ブゲン「久しぶりだな、イサノウ」
イサノウ王「生きているとは思わなかったぞ。 どちらも・・・な」
ヤマト「それは、俺を襲ったのは 王様自身をだと、認めるんだな?」
アンナ「え!?」
イサノウ王「・・・それは認めよう」
アンナ「なんで王様がそんなことを!」
イサノウ王「ヤマトくんの戦い方が、 そこのブゲンによく似ていたからだ」
イサノウ王「敵は滅ぼす、何か間違っているかね?」
アンナ「ヤマトは敵なんかじゃ──」
ヤマト「いいんだ、アンナ」
ヤマト「敵といえば敵だしな」
ヤマト「イサノウの王様。 あんたに、俺の実力を見せに来た」
ヤマト「魔力が低くても、 修行でなんとかなる、ってことをな」
イサノウ王「・・・」
イサノウ王「やはり君はブゲンによく似ている」
イサノウ王「いいだろう・・・」
イサノウ王「ヤマトくん、君の挑戦を受けよう」
イサノウ王「イサノウ王国、 イサノウの魔力を受けるがいい!」
〇謁見の間
ヤマト「行くぜ!」
イサノウ王「フン!」
ヤマト(魔法が早い! だが今の俺なら!)
イサノウ王「突っ込んでくるだと!? 馬鹿め、焼け焦げるぞ!」
ヤマト「『杏奈流』・・・」
ヤマト「はっ!」
イサノウ王「なにっ!?」
ヤマト「こっちだ!」
イサノウ王「っ!」
ヤマト(防がれた!?)
イサノウ王「ブゲンと幾度も闘ってきたのだ。 後ろを取ったといい気になるな!」
ヤマト「っ!」
イサノウ王(この位置で避けるか!)
ヤマト(杏奈との修行がなければ、 今のはやばかった!)
〇謁見の間
アンナ「す、すごい・・・。 ちょっと近づいたら巻き込まれそう」
ブゲン「うむ。 ここまですごい戦いになるとはな」
アンナ「ヤ、ヤマトは勝てるんですか?」
ブゲン「・・・見える限りだと、 ヤマトくんの方がやや押されている」
アンナ「そんな!」
ブゲン「だが・・・」
ブゲン「イサノウとてワシと同じ歳。 体力ではヤマトくんが勝る」
ブゲン「そこが勝敗の分かれ目だろう」
〇謁見の間
ヤマト「おおおっ!」
イサノウ王「ぬううん!」
イサノウ王「ハア・・・ハア・・・」
イサノウ王(な、何故だ、何故こやつは・・・ 何故こやつは倒れぬ・・・?)
イサノウ王(この世界に来て、ワシは・・・ 全てを圧倒する魔力を手にした・・・)
イサノウ王(なのに・・・何故・・・)
イサノウ王「何故、貴様はぁ!」
ヤマト「魔力だけが全てじゃねえ!」
ヤマト「そりゃ、魔力が多いほうがいいかもな!」
ヤマト「だけどそれだけで最強にはなれねえ!」
ヤマト「魔力のあるなしに関わらず、 己を鍛えてこそ・・・」
ヤマト「真に最強を目指せるんだっ!!」
ヤマト「はあああっ!」
ヤマト「はあああっ!」
イサノウ王「うおおおっ!?」
〇謁見の間
ヤマト「イサノウ王、俺の勝ちだ」
イサノウ王「・・・」
ヤマト「あんたはこの世界に来たことで、 魔力に固執しすぎた・・・」
ヤマト「それがあんたの敗因だ」
イサノウ王「・・・そうか」
イサノウ王「魔力を持ちすぎた故の敗北、か」
イサノウ王「ヤマトくん、君の勝ちだ」
イサノウ王「君の望みはなんだ? 王として何でも聞こう」
ヤマト「望み?」
イサノウ王「なんだ? 何か望みがあるのではないのか?」
ヤマト「いや、俺は・・・」
ヤマト「魔力が少なくても実力が出せることを あんたに証明したかっただけで・・・」
イサノウ王「ふ、そうか・・・」
ヤマト「王様」
壁に寄りかかっているイサノウ王に
ヤマトが手を差し出す。
ヤマト「いい勝負だった。ありがとう」
イサノウ王「・・・!」
イサノウ王「ふ・・・」
イサノウ王「がはっ!?」
ヤマト「王様!?」
ブゲン「イサノウ!!」
ヤマト「誰だ!?」
博士「残念。 王にしか当たりませんでしたか」
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戦いを経てイサノウ王とも和解できるかと思ったら…😥
素性も目的も謎の人物なだけにヤマトたちがどうやって追い詰めるのか🤔
今回は戦闘描写のなかったブゲンの活躍も期待できるかも…?ともかく次回が楽しみです!!