太陽と魔獣の子——マーニ——

鶴見能真

月の名を継ぐ者 +1(脚本)

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鶴見能真

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〇雪山
マーニ「来やがったか?」
  場面は変わりソルとハティ
ハティ「やあソル。これから敵が来るぜ、奥に隠れてな」
ソル「あ、ハティ。マーニ見なかった? わたし心配だよー」
ハティ「あいつはもう立派な大人だ。放っておいても平気だろ? ってか話聞けよ」
ソル「やーだー。わたしのマーニ連れて来てー!」
ハティ「はっはっは! ・・・(マーニがソルを鬱陶しく思う理由がよくわかるぜ)」
ソル「マーニどこー!?」
ハティ「同じ空の下さ」
ソル「そっか! そうだよね! わたしは太陽だからいつでもマーニを見れたんだ!」
ハティ「はっはっはー! 過保護に干渉しすぎるといつか息子に”喰われる”ぞ?」
ソル「マーニはいい子だからそんな事しないよー」
ハティ「なるほどなー、これが”人間の言葉”で言う”毒親”かー。あいつの事だからいつか本当に喰いコロしちまいそうだな」
ソル「やだー! うふふ、それじゃあスコルみたーい。やっぱりわたしとスコルの子ねー」
ハティ「アニキに喰われずに済んでる事も不思議だけどな」
ソル「ハティはわたし食べないよねー?」
ハティ「・・・久しく食ってねえからなー。この世界だとお前ら”アース神族”なんて他にいねえから。ジュルッ」
ソル「あ、でもハティは男の子しか食べないんだよね」
ハティ「おいおい人をゲイみたいに言うんじゃねえよ、エサに雄や雌を選り好む程の美食家じゃ無え」
ハティ「──って、そうじゃなくて親父がおれ達を見つけて始末しに来るって言ってんだよ!?」
ソル「あ、それは大変! どうしよう?」
ハティ「とりあえず、お前はここに隠れてろ。後の事はどうにかする!」
ソル「わかった! マーニはどこ!?」
ハティ「だからあいつは平気だって、おれや兄上はおろか父上でも相手するには”役不足”だよ」

〇雪山
「グルルルルル! ガルルルルル!」
  かつてある世界を蹂躙せし魔獣の群れが人狼の里を襲撃する
シル「ぐっ・・・!!」
  疲弊しているシルは負傷した腕を抑え片膝をつく
  人狼の長の娘シルの周りには無数の同胞の戦士達の亡骸、その倍の数の魔獣の亡骸が転がる。
  されど魔獣の群れは尽きる事を知らず
シル「わたしもここまでかしら。すみません母上。・・・マーニ、さよなら」
「ギィーーーーーーー!?」
  少女を襲う魔獣は悲鳴と共に刈り取られる。
シル「マーニ?」
マーニ「・・・」
  マーニは何も言わず人狼族の戦士達と対峙する魔獣の群れに向かい無差別に襲いかかる
シル「──みんな逃げてー! マーニが暴れて巻き込まれるよー!!」
「うわー! 走れみんなー! 死にたくなーい!」
「ギィーー!」
「ギョーーー!」
天喰らう魔狼(マーナガルム)「ギョェーーーー!」
  数分もしない内に全滅した魔獣の群れの亡骸と巻き込まれた数人の負傷した戦士達が雪原に転がる
マーニ「ったく手答えの無え奴らだ。眠気覚ましにも食後の運動にもなりやしねえ」
シル「マーニ!」
  シルはマーニに抱きつく
シル「ありがとう、助けてくれて」
マーニ「・・・喋りかけて来やがって、鬱陶しい。俺は自分の家畜(エサ)を害獣から守っただけだ」
シル「もー、照れちゃってー。わたしは食べ物じゃないって言ってるじゃないー。本当に優しいんだからー」
マーニ「くせー雌犬だ、後で洗わねーといけねえじゃねえか。それよりも・・・」
  青年は遠くの空を見つめる
マーニ「あっちは少しは喰い応えありそうか?」

〇雪山
ヨルムンガンド「グルルルルル・・・」
  空を覆う程の巨大な蛇は顔を出してハティに唸る
ハティ「勘弁してくださいよー”叔父上”ー」
ヨルムンガンド「ガルルルル」
天喰らう魔狼(マーナガルム)「・・・ギィ」
  ハティの周りには人狼の里を襲った者と同じ魔物の亡骸が多数転がっている
ハティ「おれさまは女神を匿っちゃいないし、この犬コロ共を始末したのも正当防衛ですよー」
ヨルムンガンド「ガルルルルルァ!」

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