頼りないけれど(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
いつものように撮影をしていたある日、湊さんの携帯に着信が入った。
立花 湊「あ、ゆず君だ」
電話の主を確認し、彼女はそれに出る。
赤月 恭介「・・・なぁ、なんか不穏な会話してないか?」
高城 誠「・・・確かに」
聞こえてくるだけでも不穏な言葉ばかりだ。
高城 誠(何があったんだ・・・?)
有里 奈々「あ、あの、湊さん?」
立花 湊「あぁ、ちょっと待っててね」
奈々さんが声をかけると、笑顔で答える。
・・・絶対、ろくなことじゃない・・・。
立花 湊「今、あのバカに説教してるところだから」
やっぱり。
高城 誠(笑顔なのがなお恐ろしい・・・)
〇住宅街
それから数日後、湊さんと歩いていると焦ったような青年が走ってきた。
須藤 ゆず「なぁ、湊!どういうことだよ!?」
立花 湊「どういうことって・・・そのままでしょ?あそこまでして炎上しないわけないじゃない」
高城 誠(炎上って・・・?)
何か聞き捨てならない言葉が聞こえてきた・・・。
立花 湊「あそこまでよそ様に迷惑かけて、なんで怒られないと思ったの?」
立花 湊「私からしたら本当に恥ずかしかったわ・・・」
須藤 ゆず「で、でも・・・!」
立花 湊「でも、じゃない」
立花 湊「他人に迷惑をかけたら怒られるのは当然なの」
立花 湊「先に言っておくけど、私は協力しないからね」
そこまで言って、彼女は一つため息をつく。
立花 湊「早く帰った方がいいと思うよ」
立花 湊「おじさん、離婚するって言ってたし」
須藤 ゆず「はぁ!?聞いてねぇって!」
立花 湊「だから今言ったじゃない」
立花 湊「だから早く帰って」
そう言って、湊さんは追い返した。
立花 湊「まったく・・・いい大人が何やってるんだか」
高城 誠「湊さんも、あんな言い方するんだね」
俺が声をかけると、「たまには言い返さないと」と彼女は笑う。
立花 湊「早く動画を撮りましょうか」
高城 誠「そうだね」
自分は頼りないって分かっている。
彼女は、一人で何でも解決してしまうから。
・・・でも、もう少しだけこの想いを秘めていてもいいだろう。