渋谷警察〇〇時!お巡りさん、今何時?

柴太

エピソード1(脚本)

渋谷警察〇〇時!お巡りさん、今何時?

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〇オフィスのフロア
上官「如月巡査を渋谷駅前交番勤務に任命する」
如月「はい!!」
如月(うわ・・・よりによって渋谷駅前か・・・)
上官「ペアは武藤巡査部長だ」
武藤「武藤です・・・よろしく〜」
如月「如月です。よろしくお願いします」
武藤「新任早々いきなり渋谷駅前でついてないって思ってるでしょ」
如月「い、いえ、そんなことは・・・」
武藤「いいよいいよ、俺含めみんな思ってるもん」
如月「はあ・・・」
  そう、渋谷駅前交番と言えば、テレビ番組などでよく交番員への密着取材などが行われていることで有名だ
  毎日毎日酔っ払いや奇人の相手、交通整理などに奔走させられるイメージが警察官の間のみならず、世間一般にまで浸透している
如月「ひ、非常にやりがいのある配属で光栄です」
武藤「そう?まあほどほどに頑張ろうね〜」

〇渋谷のスクランブル交差点
武藤「センター街の入り口で酔っ払いが大声で口論してるって。すぐそこだし如月くん行ってきて〜」
如月「じ、自分一人でですか・・・はい、行ってきます・・・」
  先輩の武藤は見た目通りやる気のない人間で、如月ばかりが通報の対処に走らされていた
酔っ払い「今すぐドーナツ買ってこい!!」
酔っ払い「俺は猫派なんだよ!!」
如月「まあまあ、その辺で・・・」
如月(こんな意味のわからない酔っ払いの喧嘩を仲裁するのが警察官の仕事なのか・・・)
酔っ払い「犬派は引っ込んでろ!!」
酔っ払い「あ、やっぱお巡りさんは犬派なんすかあ?」
如月「え・・・どっちかって言うと猫派かな・・・」
武藤「なに世間話してんの・・・ほら、お兄さんたちそろそろ帰ろうね〜」
如月「武藤さん、応援来ていただいてしまってすみません・・・」
武藤「いいよいいよ、ここ何とかしとくから先戻りな〜」
如月「はい・・・」
如月(もう着任して1週間経つのに俺、ダメダメだなあ・・・)
  交番に戻る途中、無意識に如月の足はいつもの場所へと向かっていた

〇ハチ公前
如月「ハチさん・・・警察官って大変っすね・・・」
如月「一昨日は変態の世話、昨日はカップルの痴話喧嘩、今日は酔っ払いの口論・・・変な仕事ばっかりだよ・・・」
如月「刑事として活躍、とまでは言わないけどもっと平和な交番で普通に感謝される仕事がしたいよ・・・」
  渋谷は嫌いか?
如月「嫌いじゃないけど、変なやつばっかりじゃないですか」
  だから渋谷は面白いんじゃないか
如月「面白い?」
  もっとこの街を楽しめ
如月(楽しむ、ねえ・・・)

〇渋谷のスクランブル交差点
武藤「如月くん、酔っ払いがぶっ倒れてるって。ちょっと見てきて〜」
如月「あ、はい!!」
  現場に到着すると、路上に大の字になった大柄な女性を男が揺さぶっていた
酔っ払い「どぉしてだよぉぉぉ!!」
如月(あ、昨日の猫派)
酔っ払い「ミツコォォ起きてくれエエ!!」
如月(この巨体をタクシーに乗せるのは無理だな・・・)
如月「完全に泥酔しているようですね。念のため救急車呼びましょうか」
酔っ払い「ミツコ!!ミツコすまない!!俺のせいでお前がこんな目に──!!」
  男も酔っているのだろう。女性を抱き抱えて泣き叫んでいた
如月(ミツコに何があったんだよ・・・ただ飲みすぎただけだろ・・・)
  すぐに救急車が到着し、救急隊員たちと悪戦苦闘しながらなんとか彼女を救急車の中に収容した
酔っ払い「お巡りさん!!すみません!!すみません!!本当に申し訳ない!!」
  男はまたも号泣しだした
酔っ払い「ミツコを助けてくれてありがとう・・・本当にありがとう・・・!!」
如月「いえ、大事になる前にちゃんと通報してくださって良かったです」
  相手は酔っ払いとはいえ、初めて感謝の言葉をかけられ、自然と笑みが溢れた

〇ハチ公前
如月「ハチさん、お疲れ──」
  一通りの仕事を終え如月が大先輩に報告に行くと、終電がなくなって大分経つというのに、道端に座り込む若い女性が目についた
如月「お姉さん、凍死しますよ。そんなところで寝ないで」
若い女性「え、寝てた・・・お巡りさん、今何時」
如月「もう1時過ぎてますよ。帰れますか?」
若い女性「いいや、始発で帰る」
如月「ええ、寒いですよ・・・」
若い女性「お巡りさん、暇なら話聞いてよ」
如月「隙あらば自分語り!?」
若い女性「私、4歳の時に借金で父親が失踪してさ。母親もいなかったから孤児院に入ったの」
如月「いきなり重・・・」
若い女性「今日、ってか昨日か。20年ぶりに父親を見かけてさ」
若い女性「そこの百貨店あるじゃん?そこに女と入って行ったのよ。どう思う」
如月「どうって・・・」
若い女性「まあいいんだけどさ。あまりにも適当な格好で歩いてたし、相手結構若い女だったし?ちょっと複雑で」
若い女性「少しはまともになってて欲しかったってだけ」
如月「女性と歩いてるのに適当な格好?それってさ、どこで見たの」
若い女性「え?そこの二階の改札から続いてる通路だけど」
如月「それ、多分従業員入り口に向かってたんじゃないかな。適当な格好だったのもすぐ制服に着替えるからで」
若い女性「え?てことは──」
如月「お父さんそこで働いてるんじゃない?その女の人は同僚とか」
如月「朝とかよくそこの百貨店の従業員の人たち見るんだよ、みんなラフな格好でそこの二階の通路歩いてるよ」
若い女性「お父さん、ちゃんと働いてたんだ・・・」
如月「──そこの百貨店さ、もうすぐバレンタインフェアやるらしいよ」
若い女性「もしかしてお巡りさん、チョコくれって言ってる?」
如月「うん、そこで買ってきて」
若い女性「しょうがないなあ」

〇ハチ公前
  始発が走り始め、彼女は軽い足取りで帰って行った
  ふと目をやると、スーツの男性がネズミを追いかけていた
如月「何してるんです」
サラリーマン「え、夢の国かなと思って」
如月「何言ってるんですか」
サラリーマン「お巡りさん、今何時ですか」
如月「6時ですよ」
サラリーマン「会社行かなきゃ・・・」
如月「いってらっしゃい」
  な?渋谷は結構面白いだろう?
如月「そうですね、ハチさん」

コメント

  • 交番のお巡りさんも大変ですね。警察官って偉そうにしてるなあっていつも思ってたんですけど、こういう人たち相手にするなら少しくらい威厳をもたせないとだめですもんね。これからも頑張ってほしいです。

  • 実際にあるんだろうなぁと思い、ドラマを見ているような気分になりました😌タイトルがちゃんとストーリーの内容とマッチしていてとても面白かったです☺️このお巡りさんにはこれからも是非頑張ってほしいですね✨

  • 普段からお巡りさんって街のことを見てくれて守ってくれてるんですよね。
    運転中パトカーが後ろにいたりすると冷や汗かきますけど、いつもありがとう!って気持ちになりました!

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