やっぱりガラクタじゃねえか!(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
第2話 やっぱりガラクタじゃねえか!
怪しい骨董商「ああ、これさえあれば、お兄さんはきっと騎士団長にだってなれるアル!」
ジョン「そ、そうだよね!」
ジョン「あ、でもさすがにこれはちょっと高すぎるし、勝手に買ったら怒られるかなあ・・・」
怪しい骨董商「アイヤー!お若いの、騎士の出世だって身分が大きく関わるアルよ」
怪しい骨董商「下級貴族のお兄さんでは、伝説の剣で誰もが驚く武勲を立てて、一発逆転を狙うしかないアルよ?」
ジョン「うう、そ、それは・・・」
怪しい骨董商「ここでエクスカリバーを手に入れて一発逆転をするか、普通の剣で普通の騎士として人生を終えるか・・・」
怪しい骨董商「お兄さんがここにいたらどっちを選ぶアル?」
怪しい骨董商「今ここでエクスカリバーを買わなかったら、きっとお兄さんは運に見放されて出世できないアルよ?」
野次馬1「霊感商法かよ・・・ヒソヒソ」
野次馬2「おい、誰か止めてやれって・・・」
野次馬3「ていうかどこの国から来たんだよ、胡散くせえ・・・」
ジョン「本当に、これで兄さんは無敵になれるんだね?」
怪しい骨董商「ワタシが保証するアルねー!」
怪しい骨董商「もし満足いく成果が出なかったら1週間以内なら全額返金できるアルよ!」
怪しい骨董商「し・か・も!今ここで購入すれば、仕事運を高めるこのパワーストーンが特典でついてくるアル!」
ジョン「うう・・・じゃ、じゃあ買うよ!」
野次馬1(貴族なのに搾取されてやがる・・・)
〇洋館の一室
・・・という感じだったらしいことはアンナから聞いた。
リチャード(おそらくは、はるか東方から来たと思われる怪しい商人の、バカみたいな詐欺トークで買わされた剣・・・)
リチャード(本当に大丈夫なのか?この剣は・・・)
アンナ「リチャード様、馬車の準備が出来ました」
トーマス「あっれえ?馬に乗らないの?」
トーマス「伝説の剣を街のみんなにお披露目しながらねり歩いて行けばいいじゃないか!」
ジョン「そうだよ!兄さんを笑うヤツは僕がブッ飛ばしてあげるから!」
リチャード(お前のせいで街中の笑いものなんだが・・・)
トーマス(ほんとナチュラルに地雷を踏み抜いてくるなコイツは・・・)
トーマス「そ、それじゃ王宮でまた会おう!」
ジョンが想定外の煽りを入れてきたので、トーマスは慌てて出発した。
続いて、リチャードの馬車も出発する。
もちろんカーテンなどは閉め切って中は見えない。
リチャード(なんで俺が引きこもらないといけないんだ・・・)
〇貴族の部屋
ジョン「あ、そうだ!特典でもらったパワーストーン、兄さんの部屋に設置しなきゃ!」
ジョンはパワーストーンをベッド横の小さな机に設置した。
〇荷馬車の中
リチャード「・・・!」
リチャード「な、なんだ?今寒気が・・・」
リチャード「嫌な予感しかしない・・・」
〇兵舎
ビッグス「先輩!聞きましたよ!」
ウェッジ「怪しい骨董商が売ってるエクスカリバー買っちゃったって!」
リチャード「・・・トーマスか?」
ビッグス「いえ、弟さんが派手な商談を繰り広げていたもんですから、多分街中が知ってると思います!」
リチャード(馬車に引きこもって正解だった・・・泣)
ウェッジ「で、それが例のエクスカリバーとやらですか!?」
リチャード「ああ、もちろん本物ではないだろう。だが・・・」
リチャードは剣を抜いて見せた。
ビッグス「おお・・・」
リチャード「ご覧の通り、妙に威圧感のある剣だ」
リチャード「口八丁で高額で売りつけるにも、粗悪品では難しいだろうからな」
トーマス「それだけじゃないぞ、諸君!」
リチャード「げ!?」
トーマス「実は・・・」
リチャード「おい、やめ・・・!」
トーマスの口は止められない。
ビッグス「エクスカリパアアア!」
ウェッジ「あーっはっはっは!!」
リチャード(俺はもう騎士も辞めてニートになるしかないのか・・・)
リチャード(俺が・・・俺が何をしたっていうんだ・・・泣)
今日が騎士人生が始まって以来、一番泣きたい日だったであろう。
リチャード(気を取り直して・・・)
リチャード「ビッグス、ウエッジ、今日は実戦に出てもらう!」
リチャードは、騎士団長に実戦に出る許可を取りに行った。
目的は後輩に実戦を経験させること、そしてエクスカリパーの試し切りである。
〇けもの道
ビッグス「せんぱぁ~い、どこに向かってるんですか?」
リチャード「魔物の巣だよ」
リチャード「報告では、もう少し北東にある洞窟が魔物の巣になっている」
ウェッジ「ひいぃ・・・いきなりそんなところに飛び込むんですか?」
リチャード「心配するな、どうせゴブリンに毛が生えた程度の敵しか出て来ない」
リチャード「だからお前たちを連れて来ているのだ」
ビッグス「そ・・・そそそ、そうですよね」
リチャード(ビビり過ぎだ・・・大丈夫か?)
そうこう言っているうちに、ゴブリンが1匹歩いているのが見えた。
リチャード「本来なら早速実戦でやってみてもらうところだが・・・」
リチャード「ちょっと俺にやらせてもらうぞ」
ビッグス「ええ、どうぞ!」
ウェッジ「俺もその剣の切れ味には興味あります!」
リチャードは何だかんだで、奇妙な威圧感のあるこの剣の威力にはワクワクしていた。
リチャードは凄まじいまでの踏み込みの速さで、もうゴブリンの首に刃が振り下ろされている。
しかし・・・!
リチャード「な、なんだとぉー!!」
刃はゴブリンの首で止まっている上に、ゴブリンはビクともしていない。
ゴブリン「ギシャァァァ!」
ゴブリンも気付いて反撃のナイフを突き出してくる。
リチャードはすぐに頭を切り替えて、今度は柄をゴブリンの頭に叩きつけた。
しかし、ゴブリンは無傷でビクともしない。
リチャード(な、何だ!?とんでもなく強いゴブリンなのか!?)
さすがのリチャードも理解が追いつかずに一瞬フリーズする。
そんな隙だらけのリチャードの心臓めがけて、ゴブリンが再度ナイフを突き出す!
リチャードは我に返るが、もうナイフが届く寸前だ。
リチャード「う、うおおおおおお!!!」
リチャードは咄嗟に剣でナイフを弾いた。
そして、なりふり構わずゴブリンの腹にミドルキックを放つと、ゴブリンは吹っ飛んだ。
しかも絶命している。
リチャード「な・・・何だ。やっぱり弱いじゃないか。驚かせやがって」
ビッグス「うお・・・たかがゴブリンとは言え、蹴り一発で即死とは・・・」
ウェッジ「せ、先輩・・・その剣は?」
リチャード「うむ・・・」
いくら斬れないにしても、蹴り一発で吹っ飛んで死んでしまうような相手だ。
ならば斬撃や柄の打撃でも吹っ飛ぶはずだ。
リチャード「ただ斬れないだけじゃない・・・一切のダメージを与えられない剣なんだ・・・!」
リチャード「・・・」
リチャード「やっぱりガラクタじゃねえか!」
リチャード(クソ、カラクリが読めたぞ・・・!)
リチャード(見た目だけは強そうだから、高値で売れる)
リチャード(買ったヤツは、使えない剣だと分かって憤慨してすぐに売る・・・!)
リチャード(そうやって人から人へ渡り歩いてきた、いわくつきの剣なんだ!)
ビッグス「せ、先輩・・・」
リチャード「帰ったら、あの商人をとっ捕まえてやる・・・」
リチャードの瞳に怒りの炎が燃える。
ウェッジ「ひ、引き返しますか?」
リチャード「いや、ゴブリンがたむろしている程度の洞窟、本来ならお前たち2人でもいける」
リチャード「それに、不幸中の幸いだが、この剣は攻撃を受けることは出来るらしい」
リチャード「最悪、危ない攻撃は俺が弾いてやる」
ウェッジ「ですよねー、トホホ」
リチャード(しかし・・・この不可思議な現象は、攻撃できない呪いか何かか?)
リチャード(まあ任務終了までの我慢だ)
〇洞窟の深部
リチャード「オラァ、右に逃げたぞウェッジ!さっさと仕留めんか!」
ウェッジ「ひいぃ!」
洞窟にて初めての実戦で、新人2人は右往左往している。
ふと、リチャードが視界の端に、スリング(投石紐)で新人たちを狙うゴブリンを捉えた。
リチャード「おらぁあ!」
ビッグスの頭部めがけて放たれた石を、リチャードは鞘つきのエクスカリパーをフルスイングして打ち返す。
打ち返した石は、スリングを放ったゴブリンの頭を貫通して即死させた。
その背後でスリングを構えていたゴブリン2匹が、一瞬たじろぐ。
だが、もうリチャードは間合いを潰していた。
リチャード「あばよ!」
リチャードは鞘つきのエクスカリパーで2匹まとめて薙ぎ払う。
2匹とも骨が砕けて虫の息だ。
リチャード(なるほどな)
リチャード(剣を当ててもダメージは与えられないが、鞘を当てればダメージになる・・・か)
リチャード(あくまで剣本体にかけられた呪いということか・・・)
リチャード(まあ任務が終わったら処分するがな!)
リチャード「そんなことより教育だ!」
リチャード「おい、お前ら!視野が狭い!」
リチャード「狙撃手の存在くらい想定せんか!」
ビッグス「す、すみません~!」
リチャード「ま、でもこれで大体片付いたか・・・」
リチャード「あとは最深部を確認して、ミッションコンプリートだな!」
ウェッジ「やっと帰れる~」
リチャード(たかがゴブリンで情けな過ぎるだろ・・・)
〇怪しげな祭祀場
そして最深部に乗り込んだリチャードたちは、怪しげな儀式をする1匹の魔物を発見する。
どうやら群れの長らしきその魔物は魔術師のような恰好をしている。
そして、石像に生贄の家畜を捧げるような儀式をしていた。
リチャード「まあ子分たちが皆殺しになったというのにご苦労なこった」
ビッグス「先輩、ここはお任せを!」
リチャード「お、おう・・・」
リチャード(こういう時だけ強気になるのか・・・)
リチャード(実戦を積めば改善してくれるだろうか・・・)
そうこうしているうちに、ビッグスが最後の1匹を仕留めた。
ウェッジ「さあ先輩、任務終了です!帰りましょう!」
リチャード「バカ、お前ら!後ろぉ!」
ビッグス「へ?」
何と生贄を捧げられた石像が動き出していた・・・!
リチャード「ガーゴイル・・・!」
リチャード「チッ、面倒くさいものを呼び出しやがって・・・!」
リチャードはエクスカリパーでこの窮地を切り抜けられるのか!?
次回「いい日旅立ち」お楽しみに!
ギャグが良いノリですね‼
ノリノリで面白いです。
今回はアクションもあり。次回どうなっていくか楽しみですね‼
今度は、私のところにも遊びに来てくださ~い😋
タップノベル楽しみましょう😀