とある大名家の子息の恋愛物語

ゆき杏宰相

権三郎と千代(脚本)

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〇城
  権三郎は、土倉弥兵衛の助言を得たあとは変に接触することはやめたが、偶に、密かに会いに行って話していた。
  権三郎はとにかく愛を伝え続けて、千代も諦めたのか、文句は言わなくなっていたし、徐々に好きになり始めていた。
  その一方で権三郎の養子入りの準備は順調に進んだ。そして、お付きの人も徐々に決まり始めていた。
  権三郎は、千代と離れることを望んでいなかった為、どうにか婿入り先に侍女として連れて行く方法を考えていたが難しかった
  そして、権三郎の父である藩主は、権三郎に相変わらず女性を近づけようとしていなかった。
  それもあって、権三郎は悩み続けていた。更には出立も、一週間後に迫っていたのだ。

〇屋敷の大広間
  そんなある日、権三郎は、土倉弥兵衛を屋敷に呼び出した。
土倉弥兵衛一秀「若様、お久しぶりにございます。もうすぐで養子入りされるため爺はさびしゅうございます」
池田権三郎政隆「じい、千代のことで相談がある」
土倉弥兵衛一秀「千代とは若様が愛されている女性でございますか」
池田権三郎政隆「左様だ」
池田権三郎政隆「千代を鳥取に連れていきたいのだ。どうにかできないか?我が侍女としてだ」
土倉弥兵衛一秀「侍女にするには、次女長に話す必要がありますが、うーむ、難しいでしょう。殿が知ることになりましょう」
池田権三郎政隆「ではどうするべきか? 私は千代と離れたくない」
土倉弥兵衛一秀「どうにか私が手を回しましょう。しかし必ずできるわけではないことを覚えてください」
池田権三郎政隆「わかっている」
土倉弥兵衛一秀「ただし若様の侍女にするのは、難しいでしょう。まあ掛け合ってみましょう。一人ぐらいは同年代がいたほうが良いと」
土倉弥兵衛一秀「年寄りにばかり囲まれているのはつらいでしょうと伝えましょう。そして、偶には異性に話したいだろうと伝えて推薦します」
土倉弥兵衛一秀「若様の気持ちは伝えないでおきましょう」
池田権三郎政隆「じい、ありがとう。頼んだぞ」
土倉弥兵衛一秀「はっ、できる限り頑張ります。しかし、確実に約束する事はできません。じいにはそこまで力はありませんので」
池田権三郎政隆「じいしか頼れるものはおらぬ。私が下手に恋をしたのが行けぬのだ。わかっているのだ。じいには苦労をかける」
池田権三郎政隆「私も婚約者が嫌いなわけではないのだから。別に婚約者と結婚するのが嫌な訳では無い。ただ千代と一緒にいたいだけだ」
池田権三郎政隆「なぜ父上はそんなにも私と女性を接させたがらない。おかしいとは思っていた。ずっと、周りには若い女中はおらない」
池田権三郎政隆「つねに同性に、囲まれ息苦しかった。それが続くのは嫌だ。じい、頼むぞ」
土倉弥兵衛一秀「はっ」

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