〇シックなカフェ
　　ここまでのあらすじ
　　アーロゲントを（半分無理矢理に）カフェに招き入れた結葉と修。
　　二人の丁重かつ強引なおもてなしに、
　　アーロゲントは少しずつ自分について話していく・・・
アーロゲント「僕は、とある貴族の一族だった」

〇王妃謁見の間
　　それはもう、本当に凄い貴族の一族でね
　　僕の世界を知る人なら、誰でも知ってるくらいの貴族なんだ
　　僕はその一族の跡取り息子として生まれた
　　天才鬼才と家の者から持て囃され、
　　蝶よ花よと大切にされてきた
　　その代わり、制約も多かったけどね・・・
？？？「アーロゲント。今日は魔法のお稽古よ」
？？？「アーロゲント。帝王学の勉強だぞ」
？？？「友達はいらないわね？」
？？？「娯楽もいらないよな」
「特別な存在だから」

〇シックなカフェ
アーロゲント「”特別だから” それだけの理由で、僕はずっと一人だった」
アーロゲント「疑念を抱いたこともなかった。 特別とは常に孤高の存在だから」
アーロゲント「でもどうして心は空っぽのままなんだろう」
アーロゲント「どうしてこんなに寂しいんだろう」
甘咲 結葉「・・・」
甘咲 結葉「”特別”だから一人にならなきゃいけないんですか？」
甘咲 結葉「友達も作れない、楽しい事も経験できない」
甘咲 結葉「それで本当に幸せなんですか？」
アーロゲント「・・・」
アーロゲント「幸せ・・・に、見えるかい？」
四島 修「見えないです」
アーロゲント「だろうね」
アーロゲント「この寂しさを埋める、その為には僕は全てを統べる王にならなくてはならない」
四島 修「・・・」
甘咲 結葉「・・・そんなこと」
「そんなこと、ないです！」
アーロゲント「!?」
甘咲 結葉「要するにボッチは嫌って事でしょう!?」
四島 修「良き為政者は民との関わりを大切にするんですよ!?」
甘咲 結葉「素直に友達になろうって言えばいい話なんですよ!!」
甘咲 結葉「それが難しいんですけどね!!」
アーロゲント「君達・・・」
アーロゲント「本当に、何なんだい？」
アーロゲント「僕が友達を欲している？ そんなわけ・・・」
アーロゲント「そんなわけ・・・」
アーロゲント「・・・」
甘咲 結葉「・・・素直になれなかったんですね」
四島 修「・・・僕達が初めての友達になりましょうか？」
アーロゲント「・・・知らない。 友達も、仲間というのも・・・」
アーロゲント「そういう言葉は、僕には無縁だと」
アーロゲント「だから、だから・・・」
　　それから、二人はぼろぼろ涙をこぼすアーロゲントの側に寄り添っていた。
　　そのうち日は暮れ、月が顔を出していた。

〇シックなカフェ
アーロゲント「・・・君達。僕の弱みを握れて良かったね」
甘咲 結葉「またまた〜そんなこと言っちゃってぇ」
甘咲 結葉「つんつん」
アーロゲント「ちょっと!?」
四島 修「すみません僕も・・・」
四島 修「つんつん」
アーロゲント「やめてくれるかい!? 擽ったいなぁ、もう・・・!!」
「すみません・・・」
アーロゲント「・・・友達って、こういうことなのかな？」
アーロゲント「くだらないことをして笑い合って、悩みを共有して」
アーロゲント「・・・幸せだね」
甘咲 結葉「これからも、ずっと友達ですよ!!」

〇洋館の廊下
　　一方、その頃・・・
ゾウオ「・・・」
ゾウオ「やはり、コレール様に本当の忠誠を誓っていたのは我のみか・・・」
ゾウオ「・・・寧ろ、好都合だ」
　　続く