クードクラース

イトウアユム

第12話「斬首」(脚本)

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〇川沿いの公園
綾瀬静「揃いも揃ったな・・・家畜達が」
  ノーネームの挑発に乗った形で
  公園に訪れたましろと静。
黛ましろ「ストレイシープは6人全員いるみたいだね」
黛ましろ「・・・ノーネームを含めて」
  アプリでは、ストレイシープだけではなくスケープゴートもひしめき合って表示されている。
  しかし、実際に公園にいる人数と
  アプリの数とが合わない。
綾瀬静(ま、ほとんどの家畜はどっかに隠れて 様子を伺ってんだろうなぁ)
設楽架純「ややっ! あんたが静センセ?」
設楽架純「んでんでっ! あんたが首つりちゃ~ん? あはは、そう警戒すんなって☆」
設楽架純「レンレンがだぁ~い好きなセンセって どんな人か気になっちゃってさぁ~、 思わず声掛けちゃった☆」
綾瀬静「星のカード・・・お前が蓮の契約者か」
設楽架純「早速アプリで確認とか仕事が早いね~」
設楽架純「そそ、俺は架純、 本業はホストなんだけどぉ~」
設楽架純「今のお仕事はぁ~ レンレンのお世話かなぁ、なーんてねっ☆」
設楽架純「首つりちゃんはホストって知ってる~?」
黛ましろ(・・・この人、妙に馴れ馴れしいな・・・ 嘘っぽい喋り方に、嘘っぽい笑顔)
設楽架純「女の子の身も心もを虜にして騙して お金を巻き上げるのが職業なんだぁ。 ま、センセと同じだよ」
黛ましろ「静と同じ?」
設楽架純「そ、死神ちゃんといい、 首吊りちゃんといい」
設楽架純「センセって可愛い女の子をころっと 騙すのお手のものじゃーん?」
海崎蓮「おい架純! なに勝手に先生に話しかけてるんだ?」
海崎蓮「・・・失礼な事をしてないだろうな?」
設楽架純「べっつに~、ね? センセ」
海崎蓮「すみません、静さん。 こいつ常識が無くて・・・」
レイナ「――アンタが海崎蓮ね。 ふーん、思ったよりもひ弱そうな子」
来栖兼光「ちょっと、繊細って言ってあげなさいよ!」
来栖兼光「・・・ごめんなさいね、蓮クン。 うちのレイナは口が悪くて・・・」
  続々とましろの周りに集まる既知の、
  そして『勝者候補』の家畜達。
  だが気軽に言葉を交わし合う様子に
  架純は呆れたようにため息をつく。
設楽架純「はぁ~ちょっと~、なに仲良しサークル みたいな雰囲気になっちゃってんの? 俺たちがここに集まったお目当てはぁ~」
設楽架純「――違うだろ?」
  ここに集った目的。
  架純の発言に周囲の空気が強張る。
  蓮も架純も、
  レイナも兼光も・・・
  そして気配だけ感じる辺りの何処かにいる家畜たちが集まったのは、ただひとつ。
  それは・・・今まで沈黙を保ち続けてきたノーネームの正体を見極めるため。
黛ましろ「・・・?」
  コロコロ──
黛ましろ「・・・ボール?」
  ましろの足元に転がって来た
  球体に一同は視線を注ぐ。
  しかし球体はボールなどではなかった。
綾瀬静「陸男・・・」
  それは・・・
  陸男の頭だった。
  頭の転がってきた暗闇から現れる男。
  その姿に静は目を見開く。
綾瀬静「おまえは・・・!」
篠宮青紫郎「どうだい、すごいサプライズだろ、静?」
  静は黙って男を睨みつける。
篠宮青紫郎「はは、そんなに睨まなくても 良いじゃないか」
篠宮青紫郎「――歓迎してくれよ? 親友との再会と、ゲームの参戦にさ」
  男の名は篠宮青紫郎、
  静の生前の親友だった男だ。

〇病室
小早川愛良「・・・亜里寿、起きて」
小早川亜里寿「・・・ん、・・・お姉ちゃん? どうしたの、こんな夜中に」
  面会時間はとっくに過ぎたのに、
  いつのまにか傍にいた姉の姿に
  亜里寿は驚きながら眠い目をこする。
小早川愛良「あのね、陸男さんが・・・ 殺されちゃったの・・・だから逃げなきゃ」
小早川亜里寿「陸男さんが・・・殺された?」
  かたかたと震えながら小さな声でつぶやく
  愛良の様子に、亜里寿は事態を把握する。
小早川愛良「私も殺されるんだわ・・・ どうしよう・・・怖いよ、亜里寿」
小早川亜里寿「お姉ちゃん・・・」
  亜里寿は震える愛良を抱きしめた。
小早川亜里寿「・・・大丈夫だよ。ボクが陸男お兄ちゃんの分まで、お姉ちゃんを守るよ」
小早川愛良「だめよ、せめて貴方だけは・・・ 汚れないで欲しいのに」
小早川亜里寿「ボクだってスケープゴートだもん。 契約してなくても自分のカードを使えるし ・・・戦うよ」
小早川亜里寿「ましろお姉ちゃんに悔いの無いように 生きろって言われたしね」
小早川愛良「ましろ? なぜ亜里寿は・・・ あの人の事を知ってるの?」
小早川亜里寿「え? お姉ちゃんも知ってるの?」
小早川亜里寿「ましろお姉ちゃんはボクの事を 助けてくれた大好きな・・・」
小早川愛良「だめっ!」
小早川愛良「あの人は人殺しのスケープゴートよ! あんな人の言う事なんて聞いちゃだめっ!」
  愛良の脳裏に過るのは、何度も巻き戻されたましろの家での陸男とましろの戦い。
  そして廃教会で見た・・・家畜との戦い。
小早川愛良(あれは戦いなんかじゃない・・・ 一方的な虐殺よ)
小早川愛良(あの人は人の形をした、殺意だ。 悪意のない、純粋な殺意・・・)
小早川愛良(だから怖い。亜里寿は騙されてるのよ)
小早川亜里寿「ましろお姉ちゃんも・・・ スケープゴートなの?」
小早川愛良「・・・決めた、愚者のカードで 亜里寿の記憶から彼女を消すわ」
小早川亜里寿「え? そんなのいやだよ、なんで? どうして?」
小早川亜里寿「ましろお姉ちゃんは良い人なのに」
小早川愛良「・・・大丈夫、すぐに忘れさせてあげる――愚者解除(キャンセル・フール)」
小早川亜里寿(――お姉ちゃんはなにもわかってくれない ボクだって戦えるのに)
小早川亜里寿(・・・でも、お姉ちゃんも陸男お兄さんも ボクの話を聞こうともしなかった)
小早川亜里寿(子供だからって、自分の思い通りに しようとした。今だってそうだ)
小早川亜里寿(ましろお姉ちゃんの記憶を 消すなんて・・・)
小早川亜里寿(ボクにはましろお姉ちゃんが必要なのに ・・・酷いよ)
小早川亜里寿(ボクの話を聞いてくれない、 お姉ちゃんなんて――いらない)
  亜里寿はゆっくりと口を開く。
小早川亜里寿「――世界召喚(サモン・ワールド)」
  亜里寿の病室は血しぶきで
  赤く染め上げられた。

〇川沿いの公園
綾瀬静「・・・確かにお前は悪魔に一番近いから 選ばれても納得だ」
綾瀬静「ましろ!」
黛ましろ「塔召喚! (サモン・タワー)」
  最初に仕掛けたのはましろだった。
  チェンソーを手に取り、
  青紫郎の前に躍り出る。
  ましろの攻撃に続き、
  蓮もカードを召喚した。
海崎蓮「恋人召喚! (サモン・ラヴァ―ズ)」
篠宮青紫郎「正義召喚(サモン・ジャスティス)」
  青紫郎はチェンソーを剣で受け止めると
  ましろを弾き飛ばす。
  頭上に現れた手枷や足枷も
  次々と払い落とす。
  そして涼しい表情で蓮に微笑んだ。
篠宮青紫郎「――えっと、キミは海崎蓮君だったね。 可哀そうな高校生の」
海崎蓮「・・・可哀そうだと?」
篠宮青紫郎「だってそうだろう?」
篠宮青紫郎「暴力をふるう父親とそれを黙認する 母親に耐え忍んできたのに、彼らに 殺されるなんてさ」
海崎蓮「なんで・・・知ってるんだ?」
  衝撃的な青紫郎の言葉に蓮の手は止まる。
設楽架純「とっ捕まえて白状させちゃおうぜっ☆ 星召喚! (サモン・スター)」
  蓮を庇う様に進み出た架純。
  その手に持つ鞭を
  青紫郎はしげしげと眺めた。
篠宮青紫郎「それが猫鞭かぁ。 なんで鞭が星のカードなんだって 思ってたんだけど」
篠宮青紫郎「なるほど星形の鋲が付いてるからなんだね」
篠宮青紫郎「カードの武器は処刑具をモチーフにした なんてセルベールは言ってたけど、 安易な決め方の武器が多いよね」
篠宮青紫郎「ま、こういうのはましろちゃんが 詳しいだろうねえ」

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