卒業する者、される者(脚本)
〇体育館の舞台
僕たちの教室が失踪した。
体育館で行われた卒業式のあと、教室に戻ろうとした僕たちだったが──
〇木造校舎の廊下
誰も目的地に辿り着くことは出来なかった。
今朝までは確かにそこに存在していたはずの教室が、忽然と消えてしまったのだ。
ハル「どうして消えちゃったんだろう・・・・・・」
ナツ「最近、真面目に掃除をしていなかったせいか?」
ハル「こき使われて、嫌気が差したのかな?」
アキ「いや・・・・・・もしかすると、逃げ出したのかもしれないぞ」
その言葉に、皆がハッ――と息を呑んだ。
アキ「ほら、俺たちがここの最後の卒業生だろ?校舎だって、来年には取り壊されるわけだし・・・・・・」
アキ「それを察して、あの教室は逃げたのかもしれない」
などと様々な憶測が飛び交ったが、結局結論は出ないまま、僕たちは悶々としながら下校した。
〇学校の廊下
次の日、奇妙な噂が僕たちの耳に届いた──
隣町の学校で、教室が一つ増えるという怪事件が起こったそうだ。
・・・・・・どうやら、あいつは転校したらしい。