修練者の異世界転生

七霧孝平

第七話 イサノウとブゲンと(脚本)

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七霧孝平

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〇古めかしい和室
ヤマト「なんで、その名前を・・・」
ブゲン「ワシはブゲンというが、 正確には違う」
ブゲン「『ブゲン・ミヤモト』 これが、ワシの本名だ」
  ──宮本 武源──
  ミヤモト ブゲン
ヤマト「まさか、あんたも・・・」
ブゲン「そう。転生者、というのか? それのことだ」
ブゲン「そして・・・」
ブゲン「イサノウ王国。国王。イサノウ」
ブゲン「『イサノウ・ササキ』」
  ──佐々木 伊査能──
    ササキ イサノウ
ヤマト「なに!?」
ブゲン「そう。 イサノウ王も転生者なのだ」
ブゲン「いや、 正確にはワシ等は『転移者』になる」
ヤマト「転移・・・」

〇森の中
ブゲン「ワシとイサノウは若い頃に この世界に転移した」
ブゲン「見知らぬ土地にいきなり放り出され 二人で悩んだものだ」
ブゲン「一方、ワシ等が転移した頃は 小さな村々はあれど、 大きな国というものはなかった」
ブゲン「そこで二人で計画した。 お互いに国を作ろう、と」
ブゲン「より大きな国を作れるか、 競争しよう、とな」

〇古めかしい和室
ブゲン「そしてワシ等は本当に国を作った」
ブゲン「自らの名前を使い 『ブゲン王国』『イサノウ王国』 と名付け、な」
ブゲン「だがそれでは終わらなかった」
ブゲン「イサノウは常にワシより上を目指していた」
ブゲン「勉強も運動もワシが常に一歩上 だったからな」
ブゲン「だがこの世界に来て1つ イサノウがワシを上回るものがあった」
ブゲン「わかるか?」
ヤマト「・・・イサノウ王国は魔力量を なによりも重んじている」
ヤマト「つまり・・・魔力?」
ブゲン「そうだ」
ブゲン「この世界に来て、何故かはわからんが イサノウは圧倒的魔力を手に入れた」
ブゲン「イサノウはその魔力量と行動力で イサノウ王国を次々と広げていった」
ブゲン「やりすぎなほどにな・・・」
ヤマト「・・・」
ブゲン「イサノウを止めようと ワシは幾度も対話を試みた」
ブゲン「だが奴はまるで聞かず。 それどころか戦を仕掛けてきたのだ」
ヤマト「・・・イサノウ王国では ブゲン王国が攻めてきたことになってるが」
ブゲン「だろうな」
ブゲン「まあ、もしかしたら 兵のいざこざはあったかもしれんが」
ブゲン「決して、ワシから攻めたわけではない」
ヤマト「・・・」
ブゲン「さて、ヤマトくん。 改めてお願いしよう」
ブゲン「ワシの代わりにイサノウを止めてほしい」
ヤマト「それは構わないが・・・」
ヤマト「あんた自身が止めたほうが いいんじゃないのか?」
ブゲン「できればそうしたかったが・・・」
  ブゲンが上半身の服を脱ぐ。
  そこには凄まじい火傷の跡があった。
ヤマト「それは・・・」
ブゲン「先程言ったが、イサノウ王国の魔法で ワシも瀕死の重傷を負ってな」
ブゲン「戦えなくはないが、 昔より衰えてしまった」
ブゲン「このザマでは、 イサノウと対峙したとて瞬殺されるだけよ」
ブゲン「だがヤマトくん。 君は回復が早い」
ブゲン「助けたときは瀕死と思っていたが 傷はかなり治っている」
ブゲン「もう少ししたら王城に向かえるはずだ」
ヤマト「・・・わかった」
ヤマト「助けてもらったし、事情も聞いた」
ヤマト「元々、イサノウの王様には 俺の実力を見せるつもりだったしな」
ブゲン「感謝する」

〇古めかしい和室
ヤマト「ところでおっさんは・・・」
ブゲン「おっさん・・・ いや、まあいいか」
ヤマト「なんで俺が転生者とわかった?」
ブゲン「それか」
ブゲン「ヤマトくん。 ワシをよく見てくれ」
ブゲン「イサノウ風に言うと、 魔力を使いながらワシを見るのだ」
ヤマト「? ああ・・・」
ヤマト「・・・なんか、波のようなのが見える」
ブゲン「それだ」
ブゲン「昔、イサノウと試したが ワシ等にしか、その波紋は出ない」
ブゲン「町に戻ったら試すといい。 現地人には何も見えないはずだ」
ブゲン「君を助けたときに その波紋が見えたのだ」

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コメント

  • 2人はいい師弟関係になりそうで燃えますねー

    大会で優勝したら認めてもらえる、なんて簡単にいきそうにもない展開で、いい意味で裏切られました
    読み初めの頃には全く予想してなかった王国や転移者の秘密が次々と出てくるので、続きが気になります

    とてつもない魔力量のイサノウにステゴロでどう立ち向かうのか楽しみです

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