プロジェクトN

ラム25

Approval(脚本)

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〇綺麗なリビング
二階堂「あーあ、テレビもネットもつまんねえ」
二階堂「うわ、こんなクソみたいなツイートが1万もいいねされてる。 馬鹿ばっかだな」
二階堂「俺の方がよっぽど面白いこと考えられるのになあ」
  彼の名は二階堂。
  いわゆるニートだ。
二階堂(働くなんて馬鹿のすることだ。 俺のプロジェクトNを舐めるなよ)
  プロジェクトNは、プロジェクトNEET・・・
  ではなくプロジェクトNikaido の略らしい。
  本人は働く意志が皆無で、最悪生活保護に頼れば良いと考えている。
  要は親のすねをかじれるだけかじり、国に背負って貰うだけ背負って貰う計画。
二階堂(だがそれだと俺の存在が薄れるのは由々しき事態だな)
  二階堂は承認欲求が強く、周囲から賞賛されたいという願望が人一倍あった。
  しかし子供の時から努力が嫌いだった彼にはそのための努力も能力も見受けられなかった。
  そんな彼は、掲示板で周りの人を煽り、雰囲気を悪くしていがみ合わせることが趣味だった。
  まるで人々を自分の手のひらの上で踊らせているかのような錯覚が快感だったのだ。
  そのために彼の掲示板での名前である、肯定ペンギンは非常に恐れられた。
  しかし掲示板で名を轟かせるだけでは彼の承認欲求は満たされなかった。
二階堂「ったく、この世界はくそつまんねえ。俺が面白く塗り替えられたらなぁ・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
母「♪〜」
  翌朝、母が上機嫌で卵を焼いていた。
  母が料理をするなど、二階堂家ではまず見られない光景であった。
  母は多忙のため、また愛想を尽くし、二階堂には冷たかった。
二階堂「どうしたんだ、そんな上機嫌で」
母「あんた、おはよう。 いつもありがとうね」
二階堂「え? 俺何かしたっけ?」
母「産まれてきてくれただけで嬉しいからね」
二階堂「な、なんだよ、気持ちわりい・・・」
二階堂「まあいいや、コンビニ行ってくるから金くれよ」
母「気をつけてね」
  そして母は二階堂に1000円札を手渡す。
二階堂(いつもだったら渋るのに一体どういうことだ・・・?)
二階堂(まあいいや、これでタバコと缶チューハイが買える)

〇ゆるやかな坂道
二階堂(それにしてもお袋、どうしたんだ? ぼけるには早いし)
矢崎「あ、二階堂!」
二階堂「え? お前は・・・矢崎?」
矢崎「そうそう、高校一緒だったよな!」
  二階堂は、確かに矢崎とはクラスメイトだったが、会話したことはなかった。
  二階堂には友人はいなかった。
矢崎「二階堂、お前の友人だと思うと俺も誇らしいよ」
二階堂「はぁ?」
  矢崎が友人を自称する理由も、誇らしいという理由も検討もつかない。
矢崎「そうだ、スマホ持ってるか?」
  矢崎はスマートフォンを取り出し、二階堂からも借りるとシェイクし、連絡先を交換した。
矢崎「じゃあな、何かあったらいつでも連絡してくれ」
  そして矢崎は去ってしまう。
二階堂(・・・一体なんだったんだ?)
おばさん「おや、二階堂さんところの。 相変わらずいい男だねぇ」
二階堂(向かいのおばさん・・・ いつも働かない俺に嫌味言ってたのに)
  この日を境に、二階堂は何故か何もしていないのに賞賛されるようになった。
  二階堂は、高い承認欲求の割に周囲からの評価は低く、本人はそれを不当に思っていた。
  しかし今は承認欲求が満たされつつある。
二階堂(だが何もしてないのにちやほやされるのもなんだかなぁ・・・)
  しかし、このような日々が続くことになる。

〇コンビニのレジ
二階堂「店員さん、いつもの一つ」
一葉「はい」
二階堂(この店員さん、凄い美人なんだよなぁ・・・ こんな彼女がいればなぁ)
一葉「80円のお返しです」
二階堂「どーも・・・?」
  その時、お釣りと一緒に、紙を渡される。
一葉「私の連絡先です。 よろしければ・・・」
二階堂「え、あぁ・・・」
二階堂(マジかよ、こんな美人が俺のこと好きなのか・・・!)
  こうして二階堂には一葉と言う恋人まで出来た。

〇綺麗なリビング
二階堂「みんな俺の価値に気付いたか・・・! そうだよ、俺ならこれくらい評価されて当然なんだよ!」
  自室であえて考えを口にした。
  だが本心は別のところにあった。
二階堂(何故俺なんかがちやほやされるんだ? 俺はなんの価値もないニートなのに・・・怖い、不気味だ、一体なんなんだ・・・)
二階堂「はは、自分の才能が怖いぜ!」
  しかし不安を押し殺すように強気な発言をした。
  そんな時にメールが届く。
  企業からの求人情報だった。
二階堂(あぁ、そう言えば昔嫌々登録したっけ。 どうせ大したことない企業からだろ)
  しかし内容を見て目を疑う。
  名前を知らない人はいない、日本随一の製薬会社からのスカウトだったからだ。
  面接もなにも無しに是非入社してほしいと。
二階堂(そんな馬鹿な・・・何故俺が? でも年収高いし福利厚生も凄い充実してるな・・・)
  そして二階堂は躊躇いつつ、入社した。

〇オフィスのフロア
  二階堂が就職し、それなりの時間が経った。
二階堂(一流企業にまで勤めて俺は勝ち組じゃねえか・・・! 今日も俺の辣腕を振るってやるか)
  しかし二階堂は口だけでろくに仕事が出来なかった。
  上司に厳しく咎められる。
上原「なに? 君、こんなことも出来ないのか?」
二階堂「は、はい、すいません・・・」
上原「すいません、ねぇ・・・もういいや、帰っていいよ」
二階堂「はい、お疲れ様です」
  そして二階堂は言われた通り会社を後にする。
二階堂(くそ、俺がスカウトされた天才だからって妬んで厄介な仕事押しつけやがって・・・)

〇高級マンションの一室
一葉「お疲れさま」
二階堂「ただいま。 一葉、仕事が一段落したら結婚しよう。 収入はあるから」
一葉「嬉しいわ。 でも二階堂くんならもっと出世できる。 私のことより仕事のことを考えて」
  言い方が引っかかった。
  まるで仕事だけをさせたがっているかのよう。
二階堂(いや、考えすぎだ。 はあ、明日はまた嫌みな上司と仕事か・・・)
  翌日、二階堂は重い足取りで出勤する。

〇オフィスのフロア
  しかし先日叱りつけてきた上司は見当たらなかった。
二階堂「あれ、上原さんはどうしたんですか?」
石井「あぁ、気にしなくていいよ。 それより二階堂くん、君にはもっと上のポストを用意してある」
二階堂「本当ですか!」
石井「あぁ。 君には期待しているよ」
二階堂「はい!」

〇高級マンションの一室
二階堂「一葉! 俺、出世したよ!」
一葉「ほんと? さすが二階堂くん! パーティー開きましょうよ!」
二階堂「そんな、大げさな・・・」
  しかし一葉の意志でささやかなパーティーが開かれた。

〇華やかな裏庭
矢崎「流石だな、二階堂! まあお前ならこれくらい当然か」
二階堂「はは、ありがとう」
一葉「二階堂くんは自慢の彼なんだから!」
二階堂「そう言ってくれると頑張れるよ」
二階堂(なにもかも偽りだらけだけど、幸せだからいいんだ・・・)
  二階堂は、幸せを噛み締めようとするも、咀嚼しきれなかった。

〇研究所の中枢
一葉「承認欲求の強い無職者の社会適合実験・・・」
一葉「高いコストをかけましたが、期待以上の成果は現時点では見られません」
  そう語るのは・・・白衣に身を包んだ一葉。
矢崎「我々の傘下の企業に勤めさせ、名前だけのポストを与えましたが想定を下回る結果です」
矢崎「プロジェクトNを徹底出来ずに叱咤した者は謹慎処分にしました」
  同じく白衣に身を包んだ矢崎が語る。
母「承認欲求の著しく高い被験体の欲求を満たせば自己肯定感も高まり、目覚ましい成果をあげる・・・」
母「なかなかそうはいかないようね、引き続きデータを取りましょう」
  その声の主は、二階堂の母だった。
母(実験はもう数年は継続する予定だった。 その作用次第で適用範囲を拡大したけど、実験の成果が芳しくなければ打ち切りましょう)

〇高級マンションの一室
二階堂「一葉、ただいま。出世したしそろそろ結婚も・・・」
一葉「まだ駄目。 二階堂くんはもっともっと登り詰めるんだから」
二階堂(でも十分上のポストにいるのに・・・ なんで一葉は結婚を避けるんだろう?)
二階堂(まあいいや、幸せだから・・・ 幸せ、だよな・・・)
  二階堂は幸せだと信じるしかなかった。
  強烈な違和感に苦しみながら・・・

コメント

  • ラムさんこんばんは!
    すみません、この前お名前から作品検索したのですが調べ方が悪かったのかヒットせず、Tweet見てきました👍

    え!これめっちゃ面白かったです!
    ちょっと皮肉が効いてるショートショート大好きなんですけど、このお話、皮肉とか、教訓、とかとも少し違っていて新鮮な切り口ですね

    プロジェクトN、まさかの自分が被験者、、、
    自分に自信がないと褒められても違和感だったのでしょうか😧

  • ラムさんのアイデアからのお話ほんといつも面白いです!プロジェクトN・・・まさか別のプロジェクトNの実験対象にされているとは!!✨☺️

    お母さんまでいたのにはびっくりしました!!✨

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