第六話 博士と、蠢く者と(脚本)
〇魔法陣のある研究室
シン「博士! 博士はいるか!」
「はいはい。少々お待ちを」
博士「おや、シンくんではありませんか」
博士「珍しいですね。 こちらにいらっしゃるなんて」
シン「叔父上の使いだ。受け取れ」
博士「ああ・・・またですか」
シン「魔法薬の新作の話だろう? 進んでいるのか?」
博士「もうできていますよ」
シン「ずいぶん多いな」
博士「1人用ではありませんから。 この瓶で100人分あります」
シン「まさか・・・!? そんなに作る時間があったのか?」
博士「いえいえ、徹夜しましたよ。 私の研究に早く戻りたかったので」
シン「・・・」
シン「一応、聞いておこう」
博士「はい?」
シン「博士。 あなたは何の研究をしている?」
博士「知りたいですか?」
シン「当然だ」
シン「叔父上は気にしてないようだが」
シン「いくら王室直属とはいえ、 研究が秘密などおかしいからな」
博士「まあ、そうですね」
博士「いいでしょう。お教えします」
博士「私の研究。それは──」
博士「──転生者について、です」
シン「転生者・・・?」
〇ヨーロッパの街並み
アンナ「ヤマト!」
ヤマト「ああ、アンナ」
アンナ「今日もダメ?」
ヤマト「まだらしいな」
アンナ「ヤマトが優勝してはや7日。 そろそろなにか連絡が来てもいいのにね」
ヤマト「そうだな・・・」
ヤマト「魔術師のおっさんも最近見ないしな」
ヤマト「ま、気長に待つさ。 修行時間になるしな」
ヤマト「呼ばれたらアンナにも声かけるから、 安心して寮に帰れよ」
アンナ「うん・・・」
アンナ「・・・」
ヤマト「アンナ?」
アンナ「ヤマト、気をつけてね・・・」
アンナ「嫌な予感がするの・・・」
ヤマト「・・・わかった」
〇簡素な部屋
ヤマト「・・・zzz」
〇空
イサノウ王「寝ているか?」
高位魔術師3「おそらくは・・・」
高位魔術師2「しかし、王。本気で?」
高位魔術師2「ヤマト少年には 何の落ち度もないはずでは・・・?」
イサノウ王「奴の戦い方。 かつてのブゲン王国を思い出す」
イサノウ王「危険だ。 今のうちに摘むべきなのだ」
高位魔術師2「・・・わかりました」
高位魔術師3「準備はできております」
イサノウ王「よし。撃て!」
〇簡素な部屋
ヤマト「・・・zzz」
ヤマト「っ!?」
ヤマト「なんだ? この感覚は──」
ヤマト「う、うおおっ!?」
〇荒廃した街
高位魔術師「こ、これは!?」
アンナ「ヤ、ヤマトが泊まってた宿が!?」
高位魔術師「私は周りの被害を確認する。 アンナ殿はヤマト少年を!」
アンナ「う、うん!」
アンナ「ヤマトー!」
シン「アンナ。 この状況はいったい・・・?」
アンナ「シン!? なんでここに?」
アンナ「い、今はいいか。 ヤマトが泊まってた宿が!」
シン「ヤマトくんが・・・?」
アンナ「とにかくシンも探すの手伝って!」
シン「あ、ああ」
シン「・・・」
〇魔法陣のある研究室
シン「転生者・・・とは?」
博士「この世界ではないどこかの世界」
博士「そこで死んだ者の生まれ変わりが この世界に存在する」
博士「・・・君は信じるかい?」
シン「・・・信じるのは難しいが」
シン「それが転生者だと?」
博士「その通り」
博士「私は今、転生者たちを研究している」
シン「たち・・・?」
博士「アンナ」
博士「ヤマト」
シン「っ!?」
博士「そして──」
シン「待て。アンナとヤマトくんが転生者だと?」
博士「ああ。 私の研究が間違いなければ、だが」
シン「・・・」
シン「ヤマトくんとの試合の時だ」
シン「ヤマトくんの姿が一瞬、 別の青年に見えた」
博士「ほう・・・?」
シン「あの姿は──」
博士「君の想像通りだろう」
博士「少年ヤマト。 その以前の姿だ」
シン「・・・」
博士「君も興味が出てきたかな?」
シン「・・・ああ」
博士「なら、私の研究に協力しないかな?」
シン「協力?」
博士「なに。 直にヤマト少年を観察するだけさ」
シン「・・・いいだろう。 その話に乗りましょう。博士」
博士「よろしく」
〇荒廃した街
シン(博士との契約のすぐ後に こんなことになるとは・・・)
シン(叔父上の仕業か・・・? しかし何故・・・)
シン(ヤマトくん。 簡単に消えてくれるなよ・・・)
〇古めかしい和室
ヤマト「・・・っ」
ヤマト「ここは・・・」
ヤマト「ぐっ・・・」
???「目覚めたか。 だが傷はまだ癒えていまい」
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はじめは異世界転生の成り上がりものかと思っていましたが、予想外の展開で良い意味で裏切られました!
転生自体を軽く受け入れていたので、異世界の人たちが天才について知っていて、かつ深いわけがありそうなのがまた🤔転生者にも選ばれた意味がありそう…?
新たな展開でもう一悶着ありそうですが、ヤマトがどうやって解決していくのか楽しみです!