〇可愛い部屋
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「いやー、やっぱり陽葵って可愛いな～。 陽葵って、部屋まで可愛いんだな～」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・今日の時雨、つまらないね」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「え、あ、ご、ごめんっ!!」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「こんなつまらない人だと思わなかった。 さようなら」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「陽葵っ！　陽葵っ!!」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「ひまりぃぃぃぃいいいい!!!!」

〇男の子の一人部屋
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「きっと、こんな感じで振られるんだぁぁぁぁああああぁぁぁぁ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「なんなんだよ、その妄想力」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「お前、よくそこまでデート前に失敗を考えることが出来るな」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「これは必ず訪れる未来なんだぁ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「必ずなんて未来はねぇよ」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「もうめんどくせぇからゲームでもしようぜ。俺、新作の「バケモノーハンター」を買ったからよ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「結人ぉ、もう少し協力してくれよぉ・・・」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「結人が協力してくれるって言ったんじゃねぇかよぉ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「言わされたんだよ・・・ 「協力してくれ、じゃねぇと俺は首を吊って地獄へ直帰するぞぉ・・・」 なんて言うからよ」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「それで、何を協力するんだよ。 俺は何も出来ねぇぞ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「いや、その、あれだ。陽葵が喜んでくれるような会話っていうか、どうすれば楽しんでくれるっていうか・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「俺も別に経験あるわけじゃねぇから、何も出来ねぇんだが」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「頼むぅぅぅぅぅ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「あぁもう、わかったよ。協力すればいいんだろ」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「ただ、これが終わったらてめぇを狩るからな。覚えておけよ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「狩られるぅ・・・」

〇可愛い部屋
　　時雨「結人、まず何を話せばいいんだ？」
　　結人「別に、気張る必要もないだろ。いつもみたく他愛も無い話じゃ駄目か？」
　　結人「あとは、部屋のことに少し触れてあげたら？　このクッション可愛いって言ってみるとか」
　　時雨「なるほど、それいいな！」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「いやー、今日のお家デート、ずっと楽しみにしてたんだよなぁ!!」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・へぇ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「いや、そのなんか、こういうの初めてだからちょっと緊張もしてて・・・」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・そうなんだ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「・・・あっ！　この猫のクッション、可愛いなっ!!」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・まぁ、うん」
　　時雨「おい、全く盛り上がってねぇぞ!!」
　　結人「はぁ？　じゃあ、一緒に映画を見るとか・・・」
　　時雨「なるほどなっ!!」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「あ、あぁじゃあ、映画でも見よっか？」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・どの映画？」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「れ、れ、恋愛映画？」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・デートだからって、安直だね」
　　時雨「おい、安直って言われてるぞっ!!」
　　結人「いや、知らねぇよ。じゃあ人気の映画とかにすればいいだろ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「じゃ、じゃあ最近流行っている映画にする？」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・やっぱり、時雨って安直だね」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「そんな安直な人間だと思わなかった。 もう時雨とは付き合えない、さようなら」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「陽葵っ！　陽葵っ!!」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「ひまりぃぃぃぃいいいい!!!!」

〇男の子の一人部屋
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「振られたぁぁぁぁ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「お前の彼女、ゴミみてぇな奴だな」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「あぁっ!? 陽葵はゴミじゃねぇよっ!! 優しくて可愛いんだよっ!!」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「じゃあ、その優しくて可愛い彼女を妄想しろよ・・・」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「このままじゃ、振られるよぉぉぉぉ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「なんで映画を見よって言ったら振られるんだよ、どこに地雷があるんだよ・・・」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「結人ぉ、俺はどうすればいいんだ・・・？」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「まぁでも、映画が安直なのは否めねぇ。 ネット情報を鵜呑みにしたアドバイスだし」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「逆に、一番定番の卒アルを見るとか。 向こうも初彼氏なんだろ？　そんな会話に憧れてるかもしれねぇ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「そ、そうか！　それは確かに、ありだな!!」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「よし、卒アルを見るぞぉぉぉぉおおおお!!!!」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「そんなテンションで見るもんじゃねぇよ」

〇貴族の部屋
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「な、なぁ、卒アル見ても、いい？」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・うん、いいよ」
　　時雨「おい！　ちょっと嬉しそうにしてくれたぞ!!」
　　結人「いや、お前の匙加減だろ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「えっと・・・、陽葵はどこかなぁ」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・さぁ、どこでしょー」
　　時雨「おい、どれが陽葵か聞かれてんだけど！　わかんねぇんだけど!!」
　　結人「いや、なんで俺に聞くんだよ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「あ、ここ！　陽葵、ここにいたっ!!」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・その人、担任の先生なんだけど」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「私と担任の先生を間違えるなんて、時雨の愛もその程度だったんだね。もう付き合えません、さようなら」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「陽葵っ！　陽葵っ!!」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「ひまりぃぃぃぃいいいい!!!!」

〇男の子の一人部屋
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「うぅ、もうやだぁ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「いくらなんでも、彼女と先生を間違えることはねぇだろ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「一つ気になったんだけど、お前の彼女、毎回「さようなら」って言ってるよな？」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「でも、ここ彼女の部屋だろ？ どこに行ってんだよ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「振られるぅぅぅ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「答えてはくれねぇのか・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「なぁ、もうやめねぇか？ これ以上やっても、マイナスのイメージが増えるだけだろ」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「ぐすん、もう一回だけぇ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「お前は、この練習に何を求めてんだよ・・・」

〇古民家の居間
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・ねぇ、なんでさっきから寝巻で私の部屋に来てるの？」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「そんな不衛生の人とは付き合えません。 さようなら」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「陽葵っ！　陽葵っ!!」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「ひまりぃぃぃぃいいいい!!!!」

〇男の子の一人部屋
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「もう、疲れたぁ・・・」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「いや、妄想中でも着替えろよ、刺すぞ」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「もういいだろ、これ以上やっても成果なんて出ねぇ。むしろ逆効果だ」
浦霧　結人（うらぎり　ゆいと）「それより、「バケモノーハンター」やろうぜ！」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「うぅ、うぅ・・・」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「そうだな、そうすっか!! 心も折れたし!!」

〇綺麗なキッチン
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・焼けたの」
朝喜　千華（あさき　ちか）「今度こそ、出来てるといいけど・・・」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・出来たの！」
朝喜　千華（あさき　ちか）「良かったね～、デートに間に合いそうだね～」
朝喜　千華（あさき　ちか）（６回目でやっと、疲れたぁ・・・）
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・お姉ちゃん、一緒に食べよ」
朝喜　千華（あさき　ちか）「また!?　失敗分もずっと食べてるんだよ!?　太るんだけどぉ・・・」
朝喜　陽葵（あさき　ひまり）「・・・私は、夕飯を抜くよ？」
朝喜　千華（あさき　ちか）「え、そこまでしたくないんだけどぉ・・・」
　　エピソード８
　　「何度も振られて心が折れたぁぁぁぁ・・・」
　　～完～

〇一人部屋
月見　時雨（つきみ　しぐれ）（そういや、結人に一番聞きたかったこと、聞けなかったな・・・）
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「・・・・・・」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）「・・・・・・」
月見　時雨（つきみ　しぐれ）（・・・まぁ、これはいいか。そこまで進展しないだろうし）