読切(脚本)
〇ファミリーレストランの店内
えた「・・・」
ピロン♪ピロン♪
なる「えーと‥確か」
なる「この【サイゴリア】のファミレスが待ち合わせだったよな」
なる「えたはどこにいるんだろう‥」
なる「あっ!いたいた!」
えた「おっ!? 来てくれたようだな。 こっちだ」
えたはなるに向かって手を軽く振って、合図した。
なる「おまたせっ☆急にこんな時間に連絡来るんだもん、びっくりしちゃったよ~」
えた「それは悪かったな」
えた「お前に折り入って相談したいことがあってさ‥」
なる「なんだよ、そんな改まった声だして‥」
えた「聞いて‥くれるのか?」
なる「水臭いなあ。僕で良かったら力になるよっ!」
えた「そうか‥」
なる「うん!」
えた「・・・」
えた「実は‥俺‥」
なる「うん」
えた「【急性キス魔症候群】なんだっ!!」
なる「【急性キス魔症候群】???」
えた「ああ‥」
えた「見るもの見るものキスしたくて堪らなくなるんだっ‥」
なる「それは‥大変だね‥」
なる「それで‥病院には行ったの?」
えた「ああ‥」
えた「先生いわく、一種の【深層的欲求の暴発】らしい‥」
なる「‥なるほどね‥」
なる「で‥どうすれば治るの? 何かそうなった理由があるんでしょ?」
えた「‥ああ‥」
なる「どう‥したの‥?」
えた「多分‥お前‥」
なる「僕!!!?!?」
えた「前々から思っていたんたが、」
えた「お前のぷるっとした唇にキスしたら」
えた「どんなに気持ちいいんだろうかとな」
なる「っ!!ぼ、ぼぼ、僕は男だよっ!?」
なる「急にそんなこと言われてもっ‥」
えた「聞いてくれ‥」
なる「な、なんだよ‥」
えた「唇の気持ち良さに、男(おとこ)女(おんな)言ってたら人生損しちまうぜっ☆」
なる「いや!おかしいってその考えっ!ていうか、僕どうしたらいいんだ!?」
えた「早くしないと俺、自我を保てなくなってとんでもないことになっちまうよっ!!」
なる「えと‥あ‥う~ん‥」
なる「やっぱり治療法とはいえ男同士でなんて‥無理だよっ!?」
なるは突然立ち上がり、どこかに向かいだした。
えた「ちょ!?待てよ!!」
えた「力になってくれるんじゃなかったのか?」
なる「・・・」
なる「勘違いしないでよ」
えた「えっ?」
なる「ファーストキスなんだから‥」
なる「綺麗にしておきたいじゃん‥」
えた「‥お前‥」