第10話 最終章 前編 生命崩壊(脚本)
〇病室
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
藤田賢雄「カスミ、入るぞ」
鈴鹿カスミ「ちょ、ちょっと待って!!!!」
〇病室
鈴鹿カスミ「どうぞ!!」
三雲しほ「こんにちは!!」
三雲しほ「鈴鹿カスミさん」
鈴鹿カスミ「こんにちは」
三雲しほ「サイン、欲しいんだよね」
鈴鹿カスミ「えぇ、まぁ」
三雲しほ「いつも、ドラマ、見てくれてありがと!!」
三雲しほは、サインを渡した
鈴鹿カスミ「ど、どうも」
鈴鹿カスミ「ありがとうございます」
藤田賢雄(最初はどうなることかと思ったけど)
藤田賢雄(仲が良さそうでよかった)
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「あ!!」
三雲しほ「!?」
鈴鹿カスミ「そのネックレス・・・・・・」
鈴鹿カスミ「きれいですね」
三雲しほ「えぇ、ありがとう」
三雲しほ「遊園地で、カレシに買ってもらったの」
藤田賢雄「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「へぇ・・・・・・」
鈴鹿カスミ「女優なのに、カレシさん、いるんですね」
三雲しほ「えぇ」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲しほ「あなた、今日は生意気な態度は取らないのね!?」
三雲しほ「前は、突っかかってきて性格悪いなと思ったけど」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「私、性格悪くないもん!!」
鈴鹿カスミ「ね!?賢雄!!」
藤田賢雄「あ、あぁ」
鈴鹿カスミ「でも、やっぱり、賢雄の恋人役は私の方がうまいと思います!!」
三雲しほ「はぁ」
三雲しほ「私がどれほど役作りに力を尽くしてきたか」
三雲しほ「知らないクセに、よく言うわね」
三雲しほ「あなた、恋人はいるの!?」
鈴鹿カスミ「います!!」
三雲しほ「どうせあなたに惚れるぐらいだから」
三雲しほ「ロクな男じゃないんでしょうね」
三雲しほ「それに比べて、私のカレシは、超完璧だから!!」
鈴鹿カスミ「はぁ!?」
鈴鹿カスミ「言っておきますけど!!」
鈴鹿カスミ「私の恋人はめっちゃかっこいいんですよ!!」
鈴鹿カスミ「あなたの方こそ、性格悪いですよね!!」
鈴鹿カスミ「そんな性格のあなたを好きになる時点で」
鈴鹿カスミ「しほさんのカレシの方が、よっぽどロクな男じゃないでしょ!?」
三雲しほ「はぁ!?」
三雲しほ「やっぱり、生意気なクソガキ」
三雲しほ「潰すぞ・・・・・・」
鈴鹿カスミ「恐・・・・・・」
藤田賢雄「もう、それぐらいにしないと・・・・・・」
「うるさい!!!!」
藤田賢雄「すみません・・・・・・」
鈴鹿カスミ「あ!!」
鈴鹿カスミ「しほさんにぴったりの役、思いつきました!!」
三雲しほ「!?」
藤田賢雄「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「鬼ババァ!!!!」
鈴鹿カスミ「アハハハハハハハハ」
鈴鹿カスミ「面白いですね!!!!」
三雲しほ「はぁ!?」
三雲しほ「もう、そんなこと言うぐらいなら」
三雲しほ「サイン返してもらおうかしら」
鈴鹿カスミ「もーー!!」
鈴鹿カスミ「嫌です!!!!」
鈴鹿カスミ「返しません!!」
鈴鹿カスミ「これは、ネットで売るんです!!」
鈴鹿カスミ「お金に還元するんです!!」
鈴鹿カスミ「そうやって、大学の学費に回します」
三雲しほ「はぁ!?」
三雲しほ「性格悪すぎ」
三雲しほ「賢雄、こいつダメだわ」
三雲しほ「ここで殺さないと・・・・・・」
藤田賢雄「ちょ、ちょっと・・・・・・」
藤田賢雄「しほ、そろそろ」
三雲しほ「・・・・・・そうね」
三雲しほ「カスミさん、邪魔したわね」
三雲しほ「失礼するわ」
鈴鹿カスミ「はい、サインありがとうございます!!」
鈴鹿カスミ「大切に使わせていただきますね!!!!」
鈴鹿カスミ「売り物として」
三雲しほ「チッ・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「カスミ、あんまりしほさんを怒らせるなよ」
鈴鹿カスミ「分かってるって!!」
藤田賢雄「はぁ、本当に困った奴だな」
藤田賢雄「じゃ、俺も行くわ」
鈴鹿カスミ「うん、またね!!」
藤田賢雄「またな!!」
このときの俺は、あと何回
彼女に別れを告げることができるのか
そんなことをふと、考えてしまっていた
〇大きい病院の廊下
藤田賢雄「待ってくれよ」
三雲しほ「待ってるわよ」
藤田賢雄(しほの血液、取らないとな)
藤田賢雄「しほ」
藤田賢雄「ちょっとだけ、献血していかないか!?」
三雲しほ「献血!?」
藤田賢雄「あぁ」
藤田賢雄「人の為になることだと思うんだ」
三雲しほ「まぁ、別に断る理由もないしね」
三雲しほ「いいよ!!」
藤田賢雄「ありがとう」
〇病院の診察室
藤田賢雄「失礼します」
医者「どうぞ」
藤田賢雄「お願いします」
三雲しほ「お願いします」
医者「ウム」
藤田賢雄(これで、終わる)
藤田賢雄(もう少しで、カスミを救える)
〇病院の診察室
三雲しほと別れて
数時間後
医者「賢雄くん、ご苦労だった」
藤田賢雄「ありがとうございます」
医者「ウム」
医者「三雲しほさんとカスミくんの血液型は相違している」
医者「そのため、採取した血液を錠剤にする」
医者「それを、カスミくんに服用してもらう」
藤田賢雄「はい」
医者「薬が効かない」
医者「つまり、君が三雲しほさんの好意を獲得できていない蓋然性もある」
医者「くれぐれも、三雲しほさんとの関係を切らないようにしておいてくれ」
藤田賢雄「わかりました」
医者「それと、事後報告になってしまうのだが」
医者「神崎太希くん」
医者「彼に恋病の件をバラしてしまった」
藤田賢雄「・・・・・・!?」
〇総合病院
〇病院の診察室
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「つまり」
藤田賢雄「あいつには、俺の浮気がバレているということですか・・・・・・」
医者「すまないね」
藤田賢雄「いえ、大丈夫です」
藤田賢雄「あと、少しなので」
藤田賢雄「きっと、薬は効くと思います」
藤田賢雄「きっと・・・・・・」
医者「ウム」
医者「そして、最後に」
医者「前にも言ったことだが」
医者「恋(レン)病は、恋愛感情から生じる」
医者「恋愛感情には、本人が自覚すれば、より強まるという性質がある」
医者「そのため、恋(レン)病も、恋愛感情と同じように」
医者「”患者本人が自覚すれば悪化する”」
医者「場合によっては、命に関わるものにもなる」
医者「くれぐれも、気をつけてくれ」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「わかりました」
〇病室
看護師「鈴鹿さん、お薬の時間です」
鈴鹿カスミ「はい!!」
鈴鹿カスミ「あれ、いつもと違う!?」
看護師「そうね」
看護師「でもこれで、きっと良くなるわ」
鈴鹿カスミ「ありがとうございます!!」
看護師「飲んだら、とっても眠くなるわ」
看護師「歯磨きはちゃんとした!?」
鈴鹿カスミ「はい!!」
看護師「偉いぞ!!」
看護師「はい、お水」
鈴鹿カスミ「・・・・・・少し、いいですか!?」
看護師「!?」
看護師「これは、一体・・・・・・!?」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
〇病室
数時間後
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「う、うぅ・・・・・・」
看護師「す、鈴鹿さん!!大丈夫ですか!?」
鈴鹿カスミ「いぃぃぃぃたいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!」
〇病室
藤田賢雄「カスミ!!」
藤田賢雄「寝てるのか・・・・・・」
医者「少し、いいかい!?」
藤田賢雄「・・・・・・」
〇病院の診察室
医者「恋(レン)病はまだ完全には治っていない」
藤田賢雄「・・・・・・そうですか」
藤田賢雄「ということは、しほに好かれてなかったということですか!?」
医者「いや、それは違うだろう」
医者「これまでよりも、痛みに苦しんでいる時間が短くなっていた」
医者「薬が効いていることは間違いない」
医者「だが・・・・・・」
医者「完治には、さらに恋愛感情を増幅させた三雲さんの血液が必要だろう」
藤田賢雄「わかりました」
藤田賢雄「もう少し、しほとの関係を深めてみます」
医者「ウム」
〇明るいリビング
三雲しほ「!?」
三雲しほ「太希・・・・・・」
三雲しほ「なんのよう!?」
神崎太希「ちと、病院に来てくれないか!?」
神崎太希「話したいことがある」
三雲しほ「いやよ」
神崎太希「忘れたのか!?」
神崎太希「俺はお前の、不祥事を握ってるんだぜ」
三雲しほ「・・・・・・」
〇病室
三雲しほ「・・・・・・」
神崎太希「俺はなぁ、証拠が欲しいんだよ」
鈴鹿カスミ「証拠!?」
三雲しほ「一体、なんの話!?」
神崎太希「ある男の”浮気の証拠”が欲しい」
三雲しほ「・・・・・・!?」
神崎太希「二人に話したいことがある」
神崎太希「おまえたちのカレシについてだ」
神崎太希「おまえ”たち”の恋人」
神崎太希「藤田賢雄についてだ」
〇男の子の一人部屋
藤田賢雄「??」
藤田賢雄「マネージャー・・・・・・」
〇綺麗な会議室
マネージャー「藤田くん」
マネージャー「君には失望した」
藤田賢雄「え!?」
マネージャー「君、浮気してたんだね」
藤田賢雄「・・・・・・」
マネージャー「証言があがってる」
マネージャー「証拠もある」
マネージャー「近々、報道される」
藤田賢雄「・・・・・・」
マネージャー「本当に失望したよ」
マネージャー「君のこと」
マネージャー「もっと売り出していく気だったのにね」
藤田賢雄「・・・・・・」
マネージャー「間違いなく」
マネージャー「この業界で天下を取ることができたのに」
マネージャー「全て、終わったね」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
〇黒
ニュースキャスター「速報をお伝えします」
ニュースキャスター「俳優の”藤田賢雄”氏が、複数の女性と関係を持っていたことが明らかになりました」
こうして、”俳優”藤田賢雄は
死んだのだ