カルキノス

安藤・R・ゲイツ

第21話 『最後の理性』(脚本)

カルキノス

安藤・R・ゲイツ

今すぐ読む

カルキノス
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇高い屋上
「きゃああああぁぁぁーーー!!」
梵嵐「あんたが・・・あんたのせいで、凪は」
「ま、待って、やめて」
  きっかけは、凪の残していた書きかけの遺書だった
「冗談、でしょ・・・? う、嘘だよねぇ?」
  遺書には私や観測会のメンバーへ向けられた感謝と謝罪の他に、とある女子生徒の名前が、何度も、何度も、書いては消されていた
梵嵐「あんたなんか」
「ちょっと落ち着いて! 私関係ないんだよ、ほんとだって!」
  少女の言葉に、周りの生徒たちも頷く。
「ほらぁ、みんなそう言ってるじゃん」
「てか、私と凪ちゃん親友だったんだよ? だからさ、こんなことやめて──」
梵嵐「あんたなんかぁぁぁ!!」

〇黒
  こいつが凪を苦しめていたのだと、すぐにわかった

〇高い屋上
黒い嵐「あいつね、笑ってたんだよ」
梵凪「・・・・・・」
黒い嵐「嵐ちゃんと遊びたいってお願いしただけなのに、ってさ」
梵凪「それは・・・」
黒い嵐「ようは私を学校へ連れて来いってことでしょ。 だからあの時──」

〇女の子の二人部屋
梵凪「ねえ嵐・・・明日から一緒に学校いかない?」
梵嵐「・・・どうしたの急に、学校でなにかあった?」
梵凪「・・・なにもない」
梵嵐「我慢しちゃダメってずっと言ってるよね・・・凪、やっぱり学校なんか行くの止めて──」
梵凪「なにもないって言ってるでしょ!!」
梵嵐「・・・・・・」

〇高い屋上
黒い嵐「あの時、様子が変だったんだね」
梵凪「・・・あいつに、嵐を身代わりに差し出せば、いじめるのやめるって言われたの」
黒い嵐「・・・・・・」
梵凪「私、嵐を差し出す気なんてなかった」
梵凪「そんなことしちゃ駄目だって本当に思ってたの、信じて!」
黒い嵐「うん。わかってる」
梵凪「でも、嵐が一緒に来てくれるって言って、そうしたら、ほっとしちゃったの」
梵凪「ああ、私、助かるんだって──」
梵凪「助かるんだって思っちゃったんだよ、私」
梵凪「自分が助かるなら、嵐が辛い目にあってもいいって思っちゃったんだよ」
黒い嵐「凪は悪くない。悪いのはあいつら」
梵凪「めちゃくちゃだった。全部嫌だった」
梵凪「私を攻撃する人も、私から離れて行っちゃう人も、弱い自分も・・・だから、だから──」
黒い嵐「大丈夫。怖くないよ、なんにも」
梵凪「嵐・・・」
黒い嵐「だって私が殺すから」
梵凪「・・・え?」
黒い嵐「言ったでしょ? 生きてる価値のないゴミ屑を殺すって」
梵凪「殺、す・・・?」

〇高い屋上
鎧坂蕗子「あの子は選択を下すわ」
鎧坂蕗子「こんな殺伐としたイメージ、なにか・・・重大な、それも、確実に悪い選択」

〇高い屋上
梵凪「選択・・・ってもしかして、あの子を殺すかどうかのこと、なの?」
黒い嵐「うん。素敵でしょ?」
梵凪「そんな・・・! だ、ダメだよ」
黒い嵐「凪は優しすぎるの。だから私が代わりにやる。 私はあなたと違って強いから」
梵凪「そう、かもしれないけど・・・」
黒い嵐「その絵に写ってるのはね、今、現実で起こってることなんだよ」
黒い嵐「ほら、よく見て。 もうすぐで落とせる。殺せる!」
梵凪「殺す・・・嵐が、あの子を」
黒い嵐「任せてくれればいい。 私に身を委ねてくれればいいのよ、昔みたいに」
梵凪「私・・・」
黒い嵐「ほら。おいで」
  嵐が手を差し出すが、凪は後ずさる。
黒い嵐「・・・なんで逃げるの?」
梵凪「やっぱり・・・ダメだよ」
黒い嵐「凪。これは私達の為。 私達の怒りと悔しさを晴らす為。わかるよね」
梵凪「嵐にそんなことしてほしくない」
黒い嵐「じゃあ、あいつに誰が痛みを教えるの? 死んで償わせないとわからないよ」
梵凪「わからせなくていい。だから、やめよう」
黒い嵐「本気で言ってるの? あいつは、凪を死ぬほど苦しめたの」
黒い嵐「許せるわけが──」
梵凪「どうだっていいの、そんなこと」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第22話 『こいつを殺しますか?』

成分キーワード

ページTOPへ