誘拐プランナー Catcher in the lie

吉永久

エピソード6(脚本)

誘拐プランナー Catcher in the lie

吉永久

今すぐ読む

誘拐プランナー Catcher in the lie
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇おしゃれなリビング
平川盗愛「さて、どうしたものかしらね」
高木誘作「早いところ逃げたほうがいいんじゃない?」
高木誘作「こんなところ誰かに見られたら言い逃れできないよ?」
平川盗愛「そうね。それには概ね同意だけど」
高木誘作「概ね?」
平川盗愛「せっかく危険を犯してるのに手ブラで帰るなんて癪だわ」
高木誘作「またそんな事言う」
高木誘作「状況わかってる?」
平川盗愛「わかってるわよ」
平川盗愛「これを逃したら、いよいよ手がかりゼロってことでしょ?」
高木誘作「・・・はぁ」
高木誘作「俺も理解した」
高木誘作「さっさと逃げたきゃ協力しろ。そういうことでしょ?」
平川盗愛「それでよろしい」
平川盗愛「それはそうと、誰の仕業かしらね」
高木誘作「樋口郷也?」
高木誘作「・・・なわけないよね」
平川盗愛「まぁ、順当に考えたら蝮田がつるんでたっていう怪しい連中よね」
高木誘作「用済みだから殺された?」
平川盗愛「そういうことでしょうね」
高木誘作「そうまでして、なんで俺たちを付け狙うのかね?」
平川盗愛「これ、じゃないかしら」
高木誘作「横取りしようって腹か」
高木誘作「でも、その拳銃っていったいなんなのさ」
平川盗愛「だから知らないって」
平川盗愛「でも少なくとも死人を出すくらいの価値はあるってことでしょ?」
高木誘作「お相手はなんなのかわかってるってわけだ」
平川盗愛「会って見る価値はありそうね」
高木誘作「正気?」
平川盗愛「どの道、いつまでも逃げ回るわけには行かないわよ」
高木誘作「ご尤も」
高木誘作「でも、どうやって探す?」
平川盗愛「その方法を今から探すのよ」
  捜索中・・・
高木誘作「なにかあった?」
平川盗愛「そっちは?」
高木誘作「DVDが出てきた」
高木誘作「顔に似合わず恋愛映画が趣味みたいだな」
平川盗愛「なにを探してたのよ・・・」
高木誘作「そういうそっちは?」
平川盗愛「これよ」
平川盗愛「スマホが出てきた」
高木誘作「誰の?」
平川盗愛「犯人が落としてくような素人じゃなければ、蝮田のね」
高木誘作「スマホなんて残していくのも、なかなか素人だと思うけど」
高木誘作「使えるの?」
平川盗愛「ちょっと待って」
平川盗愛「使えないわね」
平川盗愛「壊れてるみたい」
高木誘作「おそらく壊したんだろ」
高木誘作「だからあえて持っていく必要もなかった。違う?」
平川盗愛「でもこれ、おそらくメモリーは無事よ」
高木誘作「ええ?」
平川盗愛「なんとか復元できれば記録が見れるかもね」
高木誘作「やっぱ素人じゃん・・・」
平川盗愛「問題はあてがないってことよ」
平川盗愛「今から探すにしても、もう夜更けだし・・・」
高木誘作「うーん・・・」
高木誘作「あっ!」
平川盗愛「なによ急に大声出して」
高木誘作「一人、心当たりがある」

〇高層ビルのエントランス
市原耕三「・・・・・・」
高木誘作「おひさ、イッチ」
高木誘作「元気してたー?」
市原耕三「・・・何しに来た」
高木誘作「つれないなぁ、俺とイッチの仲じゃん」
市原耕三「ここに来るなと言ったはずだが?」
高木誘作「すぐ帰るよ」
高木誘作「お願い聞いてくれたらね」
市原耕三「・・・私はそんなに暇ではない」
高木誘作「一億五千万」
市原耕三「ぐっ・・・」
高木誘作「それにしても、まだいてくれて助かったよ」
高木誘作「さすがは仕事熱心なイッチだね!」
市原耕三「今、取り組まなくてはいけない案件が山積みなんだ」
市原耕三「だから悪いが今日のところは・・・」
高木誘作「一億五千万」
市原耕三「ぐぬぬ」
市原耕三「わかったよ。わかったから早く用件を言ってくれ」
高木誘作「こいつのデータを復元してほしい」
高木誘作「できるよね?」
市原耕三「誰にものを言ってる」
高木誘作「できれば何も聞かずに」
市原耕三「聞くつもりなど毛頭ないわ!」
市原耕三「貸せ!」
平川盗愛「ねぇ」
高木誘作「ん?」
平川盗愛「さっきから言ってる、一億五千万ってなんなの?」
高木誘作「彼が俺にしてる借金」
平川盗愛「随分とふっかけたわね」
高木誘作「彼の方から払うって言ったんだよ」
平川盗愛「・・・嘘くさ」

〇オフィスのフロア
高木誘作「どう? 何かわかった?」
市原耕三「いろいろとな。知りたくはなかったが」
平川盗愛「この後、すぐに忘れてもらって構わないから」
市原耕三「無茶を言わないでくれ・・・」
市原耕三「それで? 何が知りたい?」
高木誘作「連絡の記録が見たい」
高木誘作「具体的にはメールや通話履歴の類だな」
市原耕三「メールは消去されていたよ」
市原耕三「おそらくソフトを使って念入りにな」
高木誘作「じゃあ、復元できないんだ」
市原耕三「ああ」
市原耕三「だが、通話の記録は拾えたよ」
市原耕三「どうやら同じ人物と頻繁に通話していた記録がある」
市原耕三「ここ最近は一日と欠かしていない」
高木誘作「まるで恋人だな」
平川盗愛「名前はわからないの?」
市原耕三「登録されていない」
市原耕三「消した痕跡はないから、アナログな方法で記録したたんだろうな」
平川盗愛「今時、メモ帳?」
高木誘作「いや、人類が古来から採用している方式かもしれないな」
高木誘作「つまり、記憶さ」
平川盗愛「ま、そんなことはどうでもいいわ」
平川盗愛「通話していたということは、電話番号はわかるのよね?」
市原耕三「ああ」
平川盗愛「なら、こっちから掛けてみましょう」
市原耕三「本気で言ってるのか? 彼女は」
高木誘作「そういう女なんだよ」
市原耕三「付き合いきれんな」
高木誘作「俺はもう慣れた」
平川盗愛「ごちゃごちゃうるさいわね」
平川盗愛「電話するんだから黙ってなさい」
高木誘作「ちょい待ち」
平川盗愛「何よ」
高木誘作「俺がやるよ」
平川盗愛「なんでまた」
高木誘作「交渉事は元来、俺の得意分野だ」
高木誘作「安心しろ。悪いようにしない」
平川盗愛「・・・・・・」
平川盗愛「いいわ。譲ってあげる」
高木誘作「いっち、スマホ貸して」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:エピソード7

コメント

  • 相変わらず洒落た会話で痛快に展開しますね!!
    昔の松田優作の『探偵物語』を思い出します。
    昔は洒落たものがテレビドラマでもありましたねww
    そうしたものの復権とも言える、これから先も楽しみです!!😃

成分キーワード

ページTOPへ