月光喫茶店(おふざけVer)

シロニ

月光喫茶店(脚本)

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〇駅のホーム
  とある真夜中の駅のホーム、そこに死んだ魚のような目で線路を見つめる生気のない男が一人。
リーマン「・・・」
  男は七連勤+サービス残業を終え終電を待つ。
  電車がやって来た、死んだ目をした男に遠くからこちらへと走ってくる電車、そしてホームドアは無い
  この組み合わせで起こることと言えば...
リーマン「・・・」
リーマン「──!!」

〇センター街
  ただし何事にも例外は起こりうるものだ、この場合は男がヘタレだった。
リーマン「・・・」
リーマン「はぁ・・・何をやっているんだ俺は」
リーマン「ブラック企業に捕まって、七連勤にサービス残業、おまけにパワハラセクハラ・・・」
リーマン「ハハ・・・なんであの時やめちまったんだ?」
リーマン「・・・」
リーマン「いや・・・落ちて母さん達に損害賠償を払わせるのは嫌だな」
リーマン「・・・はぁ」
  男はなんとなく降りた駅で出て街をフラフラと歩く、目的は無い、ただ家に帰る気も起きないのだ。

〇アーケード商店街
リーマン「・・・」
  男はただ歩く、今の彼にはそれしか出来ない。

〇飲み屋街
リーマン「・・・酒を飲む気も起きん」

〇入り組んだ路地裏
  やがて男はとある路地裏にたどり着き、やはり何も考えずにどんどん進む。
  そして男はふと、とある店の看板がなんとなく目に入る。
リーマン「・・・ん?」
リーマン「何だこのお店・・・「月光喫茶店」?」
リーマン「こんな路地裏に?」
  男が見つめる看板は月光喫茶店というお店の看板で、目の前にある階段を上がった二階で営業中とのこと。
  「月光喫茶店 本日営業中」
リーマン「・・・」
  男は少し間を開けると階段を上る、それが運命だったのか、それか男の好奇心か、それか意味なんて無いのか。
  それは分からない。

〇レトロ喫茶
  男は店のドアを開き店に入る、そこは落ち着いた雰囲気の綺麗な喫茶店だった。
  店内にはBGMとして落ち着いた曲調でジャズアレンジされている「月光」が流れている。
リーマン「・・・」
リーマン「あ・・・つい入ってしまった」
  男は自分がふと喫茶店に入っていることに気づく、そこにカウンターに立つ人物が声をかけてきた。
マスター「やぁいらっしゃい、君は今日初めてのお客さんだね」
マスター「今日は何人で来てくれたんだい?」
リーマン「あ・・・えっと・・・一人です」
マスター「うん、分かったよ」
マスター「じゃあこっちのカウンターへおいで」
リーマン「え・・・あの・・・」
マスター「ほらほら早く、そんなところに居たら身体が冷えてしまうよ」
リーマン「え、あ・・・はい・・・」
  男はマスターにそう言われ男はマスターの目の前のカウンター席へと座った
マスター「・・・はい、これ」
  男が座るとマスターは男に珈琲を一杯と小皿に乗ったチーズケーキを出してきた。
  男はまだ注文していない、もちろん男はそれをマスターへと返そうとする、しかし。
リーマン「あ、あの!?ちょっと待ってください!!俺はまだ何も注文してません!メニュー表だってまだ見てないのに・・・!?」
マスター「ちょっとちょっと・・・話は最後まで聞いて欲しいな」
マスター「安心してくれ、それは私の奢りだよ」
リーマン「・・・え?」
  差し出された珈琲とチーズケーキはマスターからの奢りであった、男は困惑し彼にどういうことかと尋ねる。
リーマン「あ、あの・・・どういうことですか?俺はこの店の常連ではないですし」
リーマン「貴方とは初めてあったはずですよね?俺に珈琲とケーキを奢る理由が無いはずです」
  その言葉にマスターが口を開く、それは驚きのものだった。
マスター「それはね、君が「一目見ただけで死にかけてると分かるから」だよ」
リーマン「え?」
マスター「いや、だって君目の隈とかすごいもの、まともに寝れてるかい?」
リーマン「あ・・・」
  男はマスターの言葉で自身が命を絶とうとしていたことを思い出す
  男はあまりの肉体的、精神的な疲労に自身の顔に出来た酷い目の隈にも気づけていなかったのだ。
リーマン「あ・・・いやその」
リーマン「・・・」
リーマン「はい・・・最近仕事が忙しくて・・・」
リーマン「七連勤かつ毎日三、四時間ぐらいしか寝れてないですね・・・」
マスター「なっ!?」
  男のその言葉にマスターは一瞬手に持っていた珈琲カップを落としそうになる。
リーマン「わぁ!?だ、大丈夫ですか!?」
マスター「あ、あぁ平気だよ・・・」
マスター「その・・・そんなことがしょっちゅうあるとかではないんだよ・・・ね?」
リーマン「・・・二年前からしょっちゅうです」
マスター「に!?」
  今度は落とした。
マスター「あ・・・!!ごめんね、怪我はないかい?」
リーマン「いえ、大丈夫です・・・カウンターが壁になってくれたので・・・」
  マスターは急いで片付けをこなす、その間男はなんだか申し訳なくなりながらチーズケーキを食べ終えた。
マスター「はぁ・・・君の会社あれだろ?娘から聞いたことあるよ、ブラック企業とかいうやつだろ?」
マスター「なんでそんな所に二年も勤めてるんだい?」
リーマン「その・・・」
リーマン「・・・」
  男は少し言い淀むがすぐに口を開く、男の緊張は今は少しほぐれていた。
リーマン「家族の為です」
マスター「家族・・・?」
リーマン「はい、自分はその・・・昔に大学受験に落ちてしまいまして」
リーマン「それで進学は諦めて職を探したんですが・・・なかなか受からず」
リーマン「やっと受かっても、一つの軽いミスで凄く居づらい空気になって、短期間で辞めてしまって・・・」
リーマン「それでも家族はそんな自分を心から支えてくれてるんです、それなのに母は病気を患ってしまって」
リーマン「治療費、入院費に加え兄弟達の療育費、家族の生活費や家の家賃に光熱費にその他」
リーマン「だから早く家族の支えになりたい一心で今の職場を見つけたんですが」
リーマン「必死になり過ぎてたみたいで、そこがブラック企業だとはその時は気づかなかったんです」
リーマン「辞めたとしてもまた受かるかも分からないし、田舎から出てくる時に家族は凄い祝ってくれたし」
リーマン「早く自分も家計の支えにならなきゃで・・・二年経っても辞められないんです」
マスター「・・・でも、だからって死にかけてたら本末転倒じゃないかい?」
リーマン「ははっ・・・そうですね」
  男はマスターに正論を言われると頭を少し掻きながら目線を斜め下に逃がした。
マスター「君が家族を大切に想ってて、支えになりたいのは分かるよ、でも君が自分を犠牲にするのはきっとご家族は良くは思わないよ」
リーマン「・・・」
マスター「悪いことは言わないから他のもっと良い職場を見つけなさい、君を殺す様な職場ではなくね」
リーマン「・・・はい」
  そしてマスターの言葉にあることに気がついた男。
リーマン(ん・・・?良い職場?)
マスター「──」
リーマン「・・・あ」
マスター「・・・?どうしたんだい?」
リーマン「マスター・・・良い職場に一つ候補があります」
マスター「本当かい!?それは良いね、出来るだけ早く転職してしまいなさい!!」
リーマン「えぇ、じゃあ・・・」
マスター「・・・どうしたんだい?急に席を立って?」
  男は席を立つとカウンターの前に立ち、マスターに頭を下げた。
リーマン「マスター!!お願いします!!僕をここで働かせてください!!」
マスター「え!?ごめんそれは無理なんだ!!」
リーマン「ありがとうございます!!」
リーマン「・・・」
リーマン「へ・・・?」
リーマン「えぇ!?なんでですか!!嫌です!!俺はここで働くともう決めたんですー!!」
マスター「いや、その!?ごめんね!?君に働いてもらいたくないとかではないんだ!!」
マスター「その・・・事情、事情があるんだよ!?」
リーマン「なんですかその事情って!!俺はここで働けないと死ぬかもしれないんですよ!!お願いします働かせてください!!」
マスター「ちょ!?お願いだから少し落ち着いて話を聞いてくれー!!」
???「待ちなさい!!貴方達の話は聞かせてもらったわよ!!」
リーマン「え!?誰!?」
マスター「あ、君は!!」
???「ふふ・・・そうね、私の正体は・・・」
???「作者がここで飽きたから明かされないわ!!」
リーマン「えぇ!?なんだよそれぇ!?」
マスター「えぇ!?」
???「まぁこのお話は友達の彼女さんに要望されて作ったものだからね」
リーマン「じゃあ書いた方が良いのでは?」
???「まぁ「死にかけのリーマンにオールバックおじ様が珈琲と軽食を出す」はクリアしてるから大丈夫よ、多分」
リーマン「なんだよそれぇ!?」
???「とりあえずもうめんどいからさっさと終わらせるわよ!!」
マスター「え!?」
???「ここまで見てくれてありがとう!!ちなみに私は作者代理ではないわ!!」
リーマン「ちょっと!?終わらせないでくれ!!まだ俺の話が!!」
???「あ、この喫茶店は毎月の晴れた満月の日にしか営業しないからそれは無理よ」
リーマン「えぇ!?」
???「じゃあばいばーい!!」
リーマン「ちょ!?ちょっと!?」
リーマン「勝手に終わらせるなぁー!!」
  終わり

コメント

  • 感想:
    「月光喫茶店(おふざけVer)」は、とても心温まる作品でした。主人公のサラリーマンの心の葛藤や苦境がリアルに描かれており、共感する部分も多かったです。特に、家族のために頑張る姿勢には感動しました。喫茶店のマスターの温かい言葉と奢りの珈琲とチーズケーキは、主人公にとっての救いとなるものでした。作品の中で描かれる人間の温かさや助け合いの大切さが、心に響きました。ヒューマンな作品として、心を癒される感じがしました。

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