Ⅰ-03.高野蓮①(脚本)
〇古い本
僕の名前は、高野蓮。
8歳。
小学三年生だ。
僕には、両親二人と・・・
大好きな兄と妹がいる。
兄の名前は、高野裕翔(ヒロト)。
16歳。
高校1年生だ。
兄は、すごく優しくて、
両親が仕事で帰りが遅いことが多いから、面倒をよく見てくれるんだ。
そんな兄のことが、僕も杏奈も大好きだった。
僕の妹の高野杏奈(アンナ)。
4歳。
今は、保育園のひまわり組に所属している。
よく、ひまわり組であることを自慢される。
今度、僕もひまわり組にテイサツにいこうと思ってる!!
〇おしゃれなリビングダイニング
僕のお父さんとお母さんは、共働きというやつでいつも帰りが遅い。
ヒロト兄ちゃんも、中学まではバスケットボール部でたくさん活躍していたのに・・・・
高校生になってからは、部活を辞めてアルバイトを始めたみたい。
そして、アルバイトが休みの時は家でよく遊んでくれるようになったんだ!!
ヒロト兄ちゃんと遊べるのは、僕も杏奈もうれしかったけど・・・
バスケットボールをしているヒロト兄ちゃんのことも好きだったから、なんで辞めたか聞いてみたんだ。
すると・・・・
高野 裕翔(ヒロト)「あんな親に蓮も杏奈も任せられない!!!!!!」
この言葉の意味は、僕にはまだ難しくて理解できなかったけど・・・
ヒロト兄ちゃんは、僕たちのことを考えてくれてるってことだけはわかったんだ!!!
〇おしゃれなリビングダイニング
そんなある日・・・・
いつもは・・・
夕方の時間帯に居ることがあまりないお父さんとお母さんが、珍しくいたのだ!
そして・・・
お父さん、お母さん、そしてヒロト兄ちゃんの顔を見るととても真剣な顔をしていたので、僕も気を引き締めたんだ!
重い空気の中・・・
ついに放たれたのは・・・
『お父さんとお母さんは離婚する。』
"離婚"という言葉は知っている。
僕のクラスにも両親が"離婚"した友達もいる!
だけど・・・。
僕の両親が"離婚"することになるとは思わず、困惑してしまった。
高野 杏奈(アンナ)「・・・ パパもママも・・・ どっか行っちゃうの・・・??」
高野 裕翔(ヒロト)「杏奈。 お父さんとお母さんはな。 新しい好きな人が出来たから、俺たちのことはもう必要ないんだってさ!!!!」
高野 杏奈(アンナ)「・・・え?」
ヒロト兄ちゃんの爆弾発言により、
お父さんとお母さん、ヒロト兄ちゃんが言い争い始めた。
ヒロト兄ちゃんは・・・
お父さんとお母さんの"離婚"の理由を知っているんだ。
僕たちの面倒を見るために・・・
部活を辞めて、アルバイトをはじめたんだ・・・
全部、僕たちのことを思ってのことだっだ!!
この時ようやく気付いたんだ!!
〇おしゃれなリビングダイニング
結局・・・
話し合いは、次に繰り越しになり、
お父さんとお母さんは、また帰ってこなくなった。
だが・・・・
すぐにそんなことを考える余裕はなくなった。
肌寒くなってきたある夜・・・
ヒロト兄ちゃんと杏奈と一緒にテレビを見ながら過ごしていた。
急に・・・
緊急ニュースへと切り替わったのだ!!!!
―世界各国で暴動事件が発生―
―死んだ者が突如動き出し生きているものを攻撃―
―引っかかれたりかみつかれたりすると感染してしまう―
―復興の目途は経っていない―
〇おしゃれなリビングダイニング
そのニュースを見た途端!
ヒロト兄ちゃんは、家中を見回り、安全であることを確認したんだ!!
僕たちの家はオートロックの高層マンションであること──。
ベランダから外の様子を見てみたけど、
僕たちの住んでる街に、テレビの話していた現象は起きていなかったことから・・・・
不安な気持ちを抱えたまま・・・
この日は早く休むことにしたんだ!!!!!!
久しぶりに・・・
ヒロト兄ちゃんと、杏奈と僕の三人で眠んで疲れをとることにした。
〇おしゃれなリビングダイニング
その日から、ヒロト兄ちゃんと杏奈と3人で家の中で生活していたが・・・
1週間を過ぎたころ・・・
街は徐々にテレビ通りの世界へと変貌していった。
そしてとくに深刻だったのが、食料問題だった。
お父さんもお母さんも家にも寄り付かないため、全くと言っていいほど食料がなかったのだ!!
ヒロト兄ちゃんは、
僕たち三人の食料を取りに行くため外に出る決断をした。
『食料をさがしてくる。二人はこの家から出ないように』
僕も着いていく!
そういったけど、まだ幼い杏奈を一人残すわけにもいかないし・・・
三人で食料を取りに行くには、
外は危険すぎる!!!
そのため・・・
僕は、杏奈と二人で留守番することに決めた!!
だが・・・
戻るといった日になっても・・・
ヒロト兄ちゃんは、帰って来なかった・・・
一週間が過ぎ・・・・
二週間が過ぎ・・・・
それでも、ヒロト兄ちゃんが帰ってくることはなかった・・・。
電気が止まり・・・
水が止まり・・・
食料が底が尽き・・・
オートロックの高層マンションということで保たれていた僕たちのほんの少しの平穏が・・・
今・・・
破られようとしていた!!!