第9話 露呈(脚本)
〇公園のベンチ
三雲悠生「貴様、浮気してるだろ」
〇大劇場の舞台
数日前
芸人「さぁ、残念なことに本日もお別れの時間がやってきました」
芸人「最後に、しほちゃんと賢雄くんから」
芸人「大切なお知らせがあります!!」
三雲しほ「はい」
三雲しほ「私たちが出演しているドラマが」
三雲しほ「ついにクライマックスです!!」
藤田賢雄「是非、最後まで楽しんでください!!」
芸人「はい、二人ともありがとう!!」
芸人「俺も楽しみだよ!!」
芸人「二人とも仲いいよね!!」
芸人「マジで付き合っちゃえば良いのにね!!」
「アハハハハハハハハハハハハハ」
芸人「ということで、また来週!!」
〇巨大なビル
藤田賢雄「ドラマの宣伝でバラエティに出るって」
藤田賢雄「結構大変だな」
三雲しほ「しょうがないよ!!」
三雲しほ「これもドラマのため!!」
三雲しほ「今日はお疲れさま!!」
藤田賢雄「お疲れさま!!」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄(カスミのとこ、行くか)
足音は二つ・・・・・・
三雲悠生(藤田賢雄)
三雲悠生(君がしほに見合う男なのか)
三雲悠生(この目で見定めさせてもらう)
〇総合病院
藤田賢雄「うん!?」
動画が届いた
送り主は・・・・・・
・・・・・・
神崎太希
藤田賢雄「・・・・・・」
〇ビルの裏
〇総合病院
神崎太希「お前にもしほの動画送っておいてやるよ」
神崎太希「記者と連絡を取った」
神崎太希「あと少しだ・・・・・・」
神崎太希「せいぜい」
神崎太希「残された幸せな時間を楽しくすごすんだな」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲悠生(・・・・・・)
三雲悠生(藤田賢雄)
三雲悠生(病院になんのようだ!?)
〇病院の待合室
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲悠生「あぁ、ちょっとおねえさん」
看護師2「はい!?」
三雲悠生「藤田賢雄くんのお友達がこちらに入院してるんですか!?」
看護師2「え!?」
看護師2「あぁ、友達というか」
看護師2「彼女さんらしいですよ」
三雲悠生「!?」
看護師2「まぁ、噂ですけどね・・・・・・」
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生「そうですか」
三雲悠生「ありがとうございます」
〇大きい病院の廊下
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生(ちと、調べる価値があるみたいだな)
三雲悠生(藤田賢雄)
三雲悠生(貴様の正体を・・・・・・)
三雲悠生(これ以上)
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生(しほを傷つけさせないために・・・・・・)
〇大きい病院の廊下
数分後
藤田賢雄「じゃ、カスミ、またな」
鈴鹿カスミ「うん!!またね!!」
〇病室
三雲悠生「失礼します」
鈴鹿カスミ「どうぞ!!」
三雲悠生「こんにちは!!」
鈴鹿カスミ「どちら様ですか!?」
三雲悠生「藤田くんの知り合いだよ」
鈴鹿カスミ「はい・・・・・・」
三雲悠生「君、もしかして藤田くんの彼女かい!?」
鈴鹿カスミ(本当のことは言えないよね)
鈴鹿カスミ「い、いえ・・・・・・」
三雲悠生(さすがに、俳優と付き合ってたとしても)
三雲悠生(簡単には吐かないだろうな)
三雲悠生(少し、鎌を掛けてみるか)
三雲悠生「正直に答えて欲しいんだ」
三雲悠生「実は、僕の知り合いが藤田くんに惚れちゃっててね」
三雲悠生「個人的には、それを止めたいんだよ」
三雲悠生「君が付き合ってくれていれば、”すごく助かるんだよ”」
三雲悠生「恋敵は少ない方がいいだろ!?」
鈴鹿カスミ(そっか、なら、言うべきかも)
鈴鹿カスミ「は、はい、付き合ってます」
鈴鹿カスミ「私と賢雄は付き合ってます」
三雲悠生「そうか、ありがとう」
三雲悠生「じゃ、失礼するよ」
鈴鹿カスミ「帰っちゃった」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「やっぱり、賢雄ってモテるんだよね」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
〇公園のベンチ
そして、現在へ
藤田賢雄「どうして、そう思うんですか!?」
藤田賢雄「証拠なんて、ないでしょ!?」
三雲悠生「ない、”今は”」
三雲悠生「しほとデートしたときの写真」
三雲悠生「そいつを彼女に見せれば」
三雲悠生「どうなるかな!?」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「彼女!?」
藤田賢雄「それは一体誰のことですか!?」
三雲悠生「とぼけるなよ」
三雲悠生「鈴鹿カスミ」
三雲悠生「だったか!?」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄(しくじったか・・・・・・)
三雲悠生「心臓の病で長くは持たないらしいな」
藤田賢雄(心臓の病か・・・・・・)
藤田賢雄(ということは、恋(レン)病にはたどり着いていないのか!?)
三雲悠生「貴様」
三雲悠生「病で亡くなりそうな恋人の代替として」
三雲悠生「しほに・・・・・・」
三雲悠生「僕の大切な妹に手を出したのか!?」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲悠生「最低だな」
三雲悠生「しほも、二回も恋人に浮気されてたなんて」
三雲悠生「僕が、しっかり見てやらないといけなかったんだな」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲悠生「しほと別れろ」
三雲悠生「今、ここで」
三雲悠生「電話して」
三雲悠生「別れろ」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲悠生「理由はなんでもいい」
三雲悠生「とにかく別れろ」
三雲悠生「そして、しほの前から消えろ」
藤田賢雄「いやだ、と言ったら!?」
三雲悠生「僕の仕事、なにか覚えてるか!?」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲悠生「僕は、”記者”だ」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲悠生「貴様の浮気を公的に暴露する!!」
三雲悠生「それが嫌なら、今すぐ別れろ」
三雲悠生「浮気が暴露されたら」
三雲悠生「貴様の名誉は地に落ちる」
三雲悠生「俳優人生も終わる」
三雲悠生「それは、嫌だろ!?」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲悠生「僕だって実の妹が浮気されてたなんて」
三雲悠生「そんな情報は流したくない」
三雲悠生「別れてくれたら、浮気は口外しない」
三雲悠生「だからさぁ、頼むから、別れてくれ」
藤田賢雄(最悪だ・・・・・・)
藤田賢雄(あと少し、もう少しなのに)
藤田賢雄(今別れたら)
藤田賢雄(しほから血を採取することが困難になる)
藤田賢雄(それに、今からのターゲット変更は)
藤田賢雄(おそらくだが、カスミの命が間に合わない)
藤田賢雄(クソ・・・・・・)
三雲悠生「貴様、そんなにもクズ野郎だったのか!?」
藤田賢雄「クズ野郎・・・・・・か」
藤田賢雄「そうだな」
藤田賢雄「確かに、クズかもしれない」
藤田賢雄「でもな」
〇黒
彼女を、諦められない
彼女を、諦められない
〇公園のベンチ
藤田賢雄「諦められない」
藤田賢雄「俺は・・・・・・」
藤田賢雄は携帯を取り出した
三雲悠生「そうだ」
三雲悠生「そのまま、しほに別れを告げろ」
三雲悠生「それが、皆が幸せになれる方法だ」
三雲悠生「貴様も、おとなしく」
三雲悠生「鈴鹿カスミと仲良くしていけばいいだろ」
三雲悠生「もう、しほを巻き込むなよ」
それではダメだ
カスミが・・・・・・
やっぱり
俺は、諦められない
だから、演じてやる
これまでみたいに
最低最悪のクズ野郎を
藤田賢雄「この動画を、見てください」
三雲悠生「!?」
〇ビルの裏
〇公園のベンチ
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生「なんだよ、これ」
藤田賢雄「見ればわかるでしょ」
藤田賢雄「あなたの妹が」
藤田賢雄「タバコを吸ってる動画だ」
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生「嘘・・・・・・だろ」
藤田賢雄「もし、この情報が報じられれば、三雲しほの女優人生はどうなる!?」
三雲悠生「・・・・・・」
藤田賢雄「俺はただ、拮抗状態を作りたい」
藤田賢雄「取引をしよう」
藤田賢雄「俺はしほとの付き合いを続ける」
藤田賢雄「しほの喫煙も拡散しない」
藤田賢雄「その代わりに」
藤田賢雄「あなたは、俺の浮気を報じない」
藤田賢雄「どうですか!?」
三雲悠生「そんな要求、飲むと思うのか!?」
藤田賢雄「あなた、妹さんの夢を知っていますか!?」
三雲悠生「!?」
藤田賢雄「『恋来い』というドラマに出ることだそうです」
藤田賢雄「彼女は、その資格を手に入れました」
藤田賢雄「そんななか、未成年喫煙が報じられたら」
藤田賢雄「その夢は、どうなりますか!?」
三雲悠生「・・・・・・」
藤田賢雄「何が三雲しほの幸せに繋がるのか」
藤田賢雄「しっかり考えてください」
三雲悠生「貴様アァァァ!!」
三雲悠生「性根まで腐っていたか」
三雲悠生「クズ野郎め」
藤田賢雄「クズ野郎にでもならないと」
藤田賢雄「成り下がらないと」
藤田賢雄「救えない人間だっているんだよ」
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生「なにをほざいてるんだ!?」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「さぁ、答えろ」
藤田賢雄「取引を蹴るのか!?」
藤田賢雄「それとも・・・・・・」
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生「僕の、負けだ」
藤田賢雄「そうですか」
藤田賢雄「あなたは優しいですね」
藤田賢雄「これからも、よろしくお願いします」
藤田賢雄「お義兄さん」
三雲悠生「・・・・・・」
三雲悠生「くそ・・・・・・」
藤田賢雄「はぁ・・・・・・」
藤田賢雄「あの動画は結局、太希が流すだろう」
藤田賢雄「その前にカスミを救わないと」
藤田賢雄「拮抗状態が崩れる・・・・・・」
藤田賢雄「速くしないとな・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
〇黒
神崎太希「お前がこれ以上、しほに手を出したら」
神崎太希「タバコの動画を拡散する」
〇公園のベンチ
藤田賢雄「俺も、あいつと同じことをしちまったというわけか」
藤田賢雄「・・・・・・」
〇病室
数日後
神崎太希「よぉ、カスミちゃん」
鈴鹿カスミ「あ、神崎くん」
鈴鹿カスミ「お見舞い来てくれたんだね!!」
神崎太希「まぁな」
神崎太希(このオンナは、けんゆーに惚れている)
神崎太希(けんゆーに対しての)
神崎太希(せめてもの憂さ晴らしに)
神崎太希(このオンナで遊んでやるか)
神崎太希「なぁ、カスミちゃん」
神崎太希「あまり良くない知らせだ」
鈴鹿カスミ「・・・・・・!?」
神崎太希「けんゆーが三雲しほと付き合っちまった」
鈴鹿カスミ「!?」
鈴鹿カスミ「なに言ってるの!?」
神崎太希「カスミちゃん」
神崎太希「けんゆー取られちまったよ!?」
鈴鹿カスミ「はぁ・・・・・・」
鈴鹿カスミ「それは、ドラマの話でしょ!?」
鈴鹿カスミ「ドラマで恋人役をしている」
鈴鹿カスミ「ただの役だよ!!」
神崎太希「はぁ・・・・・・」
神崎太希「ちげーよ」
神崎太希「ガチだよ」
鈴鹿カスミ「もーー!!」
鈴鹿カスミ「ずっと言ってなかったけど」
鈴鹿カスミ「賢雄はね!!」
鈴鹿カスミ「私と付き合ってるの!!」
鈴鹿カスミ「本当は、私が賢雄の彼女だから!!」
神崎太希「はぁ!?」
医者「き、君!!!!」
神崎太希「あぁ!?」
神崎太希「医者か・・・・・・」
鈴鹿カスミ「先生・・・・・・」
医者「君、少し話がある。いいかい!?」
神崎太希「!?」
〇病院の診察室
医者「きみ、賢雄くんのご友人かい!?」
神崎太希「・・・・・・はい」
医者「賢雄くんの事情は知っているのか!?」
神崎太希「はい!?事情!?なんのことですか!?」
医者「・・・・・・なるほどな」
医者「本当は、賢雄くんにも確認を取りたかったのだが」
医者「やむを得まい」
医者「鈴鹿カスミくんは、」
医者「恋(レン)病に罹患している」
神崎太希「・・・・・・」
神崎太希「・・・・・・」
〇総合病院
神崎太希「恋病ねぇ」
神崎太希「なるほどな・・・・・・」
神崎太希「けんゆー」
神崎太希「おめぇも俺と同じ」
神崎太希「”浮気者”だったというわけか」
神崎太希「・・・・・・」
神崎太希「いいこと思いついた」
神崎太希「日教編集の方ですか!?」
神崎太希「以前、電話させてもらった者です」
神崎太希「えぇ、売れっ子女優の未成年喫煙についてなんですが」
神崎太希「あれ”勘違いでした”」
神崎太希「すみません」
神崎太希「その代わりに」
神崎太希「ある売れっ子俳優の、”浮気疑惑”について」
神崎太希「お話したいのですが」
神崎太希「よろしいですか!?」
神崎太希「えぇ、ありがとうございます」
神崎太希「フフフ」
神崎太希「しほを”汚さず”に取り戻すチャンスがきた」
神崎太希「けんゆー、お前は今度こそ終わりだ」
神崎太希「フフフフフ」
神崎太希「アハハハハハハハハハハハハ」
そっか俳優を演じるのと浮気クズ男を演じるのかけてたんですね。今さら気づきました。けんゆーの演技、自然で上手いんだろうなぁ🤤
突然の主治医のネタバレ、ハラハラしました。まさか彼がダークホースだったなんて🤣悪気が無いので責められませんね。
次も読みに来ます♫