お嬢様のパパは異世界でも過保護すぎる!

まきな

#1 娘を追いかけ異世界へ(脚本)

お嬢様のパパは異世界でも過保護すぎる!

まきな

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〇草原の道
  はじまりの村 近くの平原
保護島 恭二「よし、モンスターの間引き完了だ 来たな・・・隠れよう」
  岩陰に身を潜めると彼女が現れた。
保護島 薫子「あらぁ、平原が広がってますわ~」
保護島 恭二「ふふふ、やはり可愛いな!」
保護島 薫子「あら?誰かいるのかしら?」
保護島 恭二「・・・」
保護島 薫子「気のせいですわね!」
保護島 恭二「あぶないあぶない・・・ 娘の可愛さに思わず声が出てしまった」
ペンネ「あなたバカでしょ」
ペンネ「それにしてもあの子ってレベル1? ひっくいわね・・・」
保護島 恭二「これから上がるんだよ 俺は成長を見守れる喜びをかみしめてるよ」
ペンネ「きも・・・」
  ここは異世界。
  どうして俺と(超かわいい)娘、
  ついでに変な格好の女がここにいるのか。
  ことは1ヵ月前にさかのぼる―――

〇通学路
保護島 恭二「薫子ぉぉぉ!どこいったんだぁ!!!」
  保護島 恭二(ほごしま きょうじ)は
  泣き叫んでいた。
  最愛の娘の失踪、信じられなかった。
  娘が家出なんてするわけがない!
  そう、するわけがないのだ。
  ふと俺は気がついた。
  俺がこの世界で薫子を見失うはずがない。
  そう、みなさんもうおわかりですね?
  論理的に考えて
  この世界ではないところにいるわけです。
  はい、薫子のパパはかしこい。名推理。

〇古民家の蔵
  俺はその足で実家に帰り、蔵を探った。
  昔、親から聞いた話だが、
  先祖はオカルト研究をしていたらしい。
  そして蔵の奥にあった謎の箱。
  その中にあった一冊の本を手に取った時、
  俺の前に―――天使が現れた。
ペンネ「・・・」
ペンネ「ぶぇっくしょん!」
ペンネ「急に呼ばないでよ! この服寒いのよ!風邪ひくじゃない!」
保護島 恭二(口が悪い女だな)
ペンネ「あら、人間じゃない?」
ペンネ「はじめまして、迷える人間よ 私はペンネ、愛の天使ペンネよ」
保護島 恭二「ぺんね? パスタみたいな名前してるな」
ペンネ「な!?」
ペンネ「ふふ、人間にはこの高貴な名前が わからないのね」
保護島 恭二「御託はいい 薫子をどこへやった、パスタ女」
ペンネ「ペンネだっつってんでしょ!」
ペンネ「それにカオルコ?なにそれ? そもそもどうやって私を呼んだの?」
保護島 恭二「蔵にあった本を開いただけだ」
ペンネ「ちょっとそれ貸して!」
ペンネ「げ!誰よこんな陣をつくったやつ!」
保護島 恭二「知らん!どうでもいいから薫子を返せ!」
ペンネ「んー?あ!薫子って人のことかしら? それなら確かに私が異世界に飛ばしたわ」
保護島 恭二「てめぇが犯人かぁぁ!」
ペンネ「ひぃっ!こわ!?情緒不安定!? 男のヒステリックはみっともないわ!」
保護島 恭二「うるせぇ!俺の娘をどこにやった!! 返答によっては・・・」
ペンネ「ひぃ~!異世界!異世界だって!」
保護島 恭二「あぁ?なんで異世界なんかに飛ばした?」
ペンネ「こほん、そうね・・・」
ペンネ「私たち天使の仕事はね 世界のバランスを保つために 人間を異世界に飛ばすことなの」
保護島 恭二「バランス?どういう意味だ」

〇魔法陣2
ペンネ「例えばAの世界がバランスが悪いときに 天使がBの世界から適切な人を探すの」
ペンネ「転移された人はそこで生きてもらって 世界全体のバランスを取っているの」
ペンネ「よく聞く異世界から勇者ってのも バランスをとってるだけなのよ」
保護島 恭二「なんでそんなことしてるんだよ」
ペンネ「バランスが崩れると世界が崩壊するからよ」
ペンネ「それに1つの世界が崩壊すると 連鎖的に他の世界もバランスを崩すのよ」
保護島 恭二「玉突き事故方式かよ・・・」

〇古民家の蔵
ペンネ「ま、私としては世界が崩壊しようが どうでもいいんだけど」
ペンネ「天界の私にはなーんにも損はないし」
保護島 恭二「じゃあなんでそんなことしてんだよ」
ペンネ「うまく世界のバランスをとった天使は 給料がアップするの♪」
ペンネ「功績が認められれば昇進して 大天使にもなれるのよ!」
保護島 恭二「・・・天使って職業だったのか?」
ペンネ「ふふん、そうよ 天界で人気の職業なんだから!」
保護島 恭二「で?どうして薫子を?」
保護島 恭二「あぁ、そうか、勇者だったのか うちの子だったらありえるな、うんうん」
ペンネ「それは~、えっと、覚えてないわ」
保護島 恭二「は?」
ペンネ「いやぁ・・・したたかに酔ってて・・・ 覚えてないの、あっはっは!」

〇古いアパートの部屋
  ペンネ 自宅
ペンネ「最近仕事が在宅ワークになったんだけど そしたら業務中に酒が止まらなくて・・・」
ペンネ「酔った勢いでバーッとやって 上司に転移申請おくっておつかれしたー!」
ペンネ「ってやったところまでは覚えてるわ」
  そういえばこの天使めっちゃ酒臭かった

〇古民家の蔵
保護島 恭二「天使って職業なのかよ! って仕事中に酒を飲むんじゃねーよバカ!」
ペンネ「あんたにバカ呼ばわりされたくないわよ!」
ペンネ「保護島 恭二、 たったいまあんたのこと調べたわ!」
  いつのまにかペンネの手には
  1枚の紙が握られていた。
  紙に目を通してニヤニヤしている。
保護島 恭二「し、調べたってなんだよ!」
ペンネ「あなた離婚してるじゃない 薫子ちゃんの親権は母親持ちでしょ?」
ペンネ「しかも離婚した理由は・・・」
ペンネ「『嫁にプロレス技かけすぎて離婚』 ってなにこれぇ!こんなやついんのー!」
保護島 恭二「ぎゃー!やめろぉぉぉ! 言うなぁぁぁああ!!」
ペンネ「あっひゃっひゃ! なにこれぇ!嫁かわいそー!」
ペンネ「こんなバカにバカって言われたくないわよ バァーカ!!」
保護島 恭二「オラァ!」
  瞬間、恭二のプロレス技
  『片エビ固め』が決まっていた。
ペンネ「あだだだだだ!!美少女になにすんのよ! 離婚固め技を出すな!折れる折れる!!」
保護島 恭二「離婚固め技いうな!」
保護島 恭二「どこの世界に在宅ワーク中に 酒飲む美少女がいるんだよ!」
ペンネ「やめぇ!やめぇ!あだだだだ!! いるわよ、天界に美少女がぁぁー!!!」
保護島 恭二「人間はこの方向に曲がらないけど、 天使はどうなるかみてみようかなぁ♪」
ペンネ「そんなんだから離婚したんだろ! ギブギブギブ!!!! わかった!わかったから!!」
  ペンネの指が空中を撫でると
  そこに突然、黒い穴が現れた。
ペンネ「頭にきた! 勝手に行きなさいよ!バーカ!」
  俺の身体は黒い穴に飲み込まれた。

〇草原の道
  で、この異世界に来て
  薫子を見つけたというわけだ。
保護島 恭二「異世界を旅する薫子も可愛いなぁ」
ペンネ「アンタ元奥さんとそう取り決めで 勝手に子供に会うの禁止でしょ」
保護島 恭二「異世界で法は関係ないだろうけどな まぁ、できる限り守ろう」
保護島 恭二「ところでなんでパスタはついてくるんだよ」
ペンネ「ペ・ン・ネ!」
ペンネ「勢いで異世界にとばしちゃったのよ! もし上司にバレたら、あぁぁあ!」
ペンネ「早くもう一度穴に入って 元の世界に戻りなさいよ!」
保護島 恭二「断る! お、スライムを見つけたみたいだな」
保護島 薫子「スライムですわね 木の棒 で倒せるのかしら・・・」
保護島 薫子「突然、異世界に来て わけのわからないことだらけですわ・・・」
保護島 薫子「まぁたのしそうなので オールオーケーですわ!おほほほほ!」
ペンネ(こいつもなんで簡単に受け入れてるんだ 流石アイツと親子なだけある・・・)
スライム「ぷるぷる」
保護島 薫子「あら、このスライム なんだか元気ないですわ」
保護島 恭二「俺がライフ1まで削って逃がしたからな」
ペンネ「あんた命をなんだと思ってんの?」
保護島 薫子「それでは、いきますわよ!えーい!」
  薫子が木の棒をふるった。
ペンネ「ぎょぇえええ!?なに?ナンデ!?」
  爆発と爆風でスライムは
  跡形もなく消し飛んだ。
ペンネ「なにがおこったのよ!」
保護島 恭二「さっき、あの木の棒に <爆裂魔法 デスメテオ>を こっそり付与しておいた」
ペンネ「Lv86の大技じゃないの!?!? 付与魔法まで使うってどういうことよ!」
保護島 恭二「知らん、最初から使えた」
ペンネ(まさか・・・!)
  ペンネは恭二のステータスを覗き見る。
ペンネ「れ、レベル167ぁぁ!?!?!?」
ペンネ「そ、そそそんな、なにこれぇ」
ペンネ「この世界の魔王軍と 十分渡り合えるレベルじゃないの!」
保護島 恭二「うるさい、黙れ 俺は娘を見守るのに忙しいんだ」
ペンネ「こいつ、娘が好きすぎる・・・ 超がつくほど過保護だ・・・」
保護島 薫子「よくわかりませんが スライム倒しましてよー!」
保護島 恭二「ふふふ、薫子いいぞ・・・ パパが成長を見守ってやるからな・・・」
  ―――これは。
  お嬢様っぽい女の子を
  (元)パパが
  裏で過保護に見守りながら・・・
  ―――異世界をたぶん変える物語である。
  
  たぶん。

〇古いアパートの部屋
  ペンネ自宅 メールボックスより
  ペンネへ
  
  お前が異世界へ飛ばしたバカな人間達が
  各地で悪行を働いているとの報告が入った
  状況が想像以上に悪い・・・
  止めなくては
  馬鹿な転移者たちのせいで
  世界が―――崩壊する
  ・・・
  ・・・なんでこんなクズばっかり送ったの?

コメント

  • 父親のキャラクターが面白くて、ついつい笑ってしまいました。独特な世界観でとても新鮮でした。

  • すごく面白かったです!
    是非続きが読みたいです!
    それにしてもすごく過保護…過保護というか親バカ?
    まぁ自分の子供は一番でしょうけど、それにしてもです!

  • 楽しいですね!異世界転移した娘を力づくて追いかけていく父親って!設定から展開から全て笑ってしまいます。これから父親が何をやらかすのか、そして世界の行方は、とても気になります!

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