誘拐プランナー Catcher in the lie

吉永久

エピソード5(脚本)

誘拐プランナー Catcher in the lie

吉永久

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〇街中の道路
スマホ「お掛けになった番号は現在使われてないか、電波の届かない場所に──」
平川盗愛「ああ、くそ!」
平川盗愛「なんで電話出ないのよ」
高木誘作「逃げられたんじゃないか?」
高木誘作「おそらく売られたんだろ、あんた」
平川盗愛「まぁ、そういうことなんでしょうね」
平川盗愛「そうすれば、私を付け狙う理由も、誘拐屋に嘘を流した理由も説明がつく」
平川盗愛「私が誘拐されていた倉庫にすぐに乗り込めたのも、当初の予定通りGPSを頼りにしたんでしょう」
平川盗愛「要するに、私の作戦丸パクリされたってことね」
高木誘作「なぁ、劇団の奴らの顔は全員わかるのか?」
平川盗愛「基本は非公開よ。どこで恨みを買うかわからない商売だし」
平川盗愛「ただ雇ったら顔合わせくらいはするわ。でないと齟齬が生じることもあるからね」
高木誘作「写真はその時に?」
平川盗愛「そ。本当は撮っちゃいけないんだけどね」
高木誘作「じゃあ、なんで隠し撮りなんか?」
平川盗愛「もしもの時は売り飛ばそうと思って」
高木誘作「五十歩百歩じゃん・・・」
平川盗愛「どの道、雇おうと思えば誰でも会えるんだしあってないようなルールよ」
平川盗愛「で、なんでそんなこと聞いたの?」
高木誘作「見せてほしい」
平川盗愛「生憎、女優はいないわよ」
高木誘作「そういう意味じゃない」
平川盗愛「そう。なら、いいけど」
平川盗愛「はい」
高木誘作「やっぱりいるな」
平川盗愛「誰が?」
高木誘作「俺が平川組与だと思って会った男だよ」
高木誘作「あいつも君の雇った役者の一人だったんだな」
平川盗愛「そうみたいね」
平川盗愛「ますます最悪」
平川盗愛「とにかく、なんとしてでも居所を突き止めないと」

〇ホストクラブ
梅下三流「今日はもうじゃんじゃん頼んじゃってよ!」
キャバ嬢「やぁ~ん、本当?」
梅下三流「ほんとほんと。臨時収入あったからね!」
キャバ嬢「みっちゃん気前いい~」
梅下三流「今夜は寝かさないぜぇ、小猫ちゃんたち」
「いやぁ~ん、エッチぃ」
ボーイ「優ちゃん、ご指名でーす」
キャバ嬢「あ、呼ばれちゃった」
ボーイ「里奈ちゃんもご指名でーす」
キャバ嬢「あ、私も」
梅下三流「ええ?」
キャバ嬢「じゃあ、また来るからねぇ」
キャバ嬢「待っててねぇん」
梅下三流「え? え? 本当に行っちゃうの?」
梅下三流「マジかよ・・・」
平川盗愛「どーも、代打の平川です」
梅下三流「ひ、平川さん!」
高木誘作「同じく代打の高木です」
梅下三流「いや、あんたに至っては誰!」
梅下三流「どこからどう見てもボーイでしよ!」
高木誘作「失礼な。こちとら、あっちの方だって大人なんだからな?」
梅下三流「そんな話してないよ!」
平川盗愛「呑気に豪遊とはいいご身分ね」
梅下三流「どうやって俺の居場所を?」
高木誘作「聞いて回った」
平川盗愛「派手に遊びすぎたわね、梅下三流(うめした みつる)」
梅下三流「本名、晒してないつもりだったけど・・・」
平川盗愛「こっちには顔写真があるから」
梅下三流「なぁっ! 撮ったのか!」
梅下三流「違反だぞ、違反!」
平川盗愛「よく言うわ。こっちはお金払ってるのよ?」
平川盗愛「なのにとんずらこくとは、そっちこそ契約違反なんじゃない?」
梅下三流「い、いやぁ、それは・・・」
高木誘作「いいから、何があったか話しな」
梅下三流「ねぇ、さっきからあんた誰なの?」
平川盗愛「あなたが嵌めることになってた人よ」
高木誘作「正確には君もだけどね」
梅下三流「あ、あー・・・誘拐屋の人?」
高木誘作「誘拐プランナーね」
平川盗愛「そんなことはいいから、早く話しなさい」
梅下三流「いやぁ、でも・・・」
高木誘作「この期に及んで往生際が悪いね」
梅下三流「こ、ここじゃあ話しにくいかなぁ・・・とか?」
平川盗愛「ふぅん、じゃあ話したくなるような場所に移りましょうか」
梅下三流「あ! いや! ここで大丈夫っす!」
平川盗愛「早く言いなさい」
梅下三流「お、俺はただ頼まれただけなんです」
高木誘作「誰に」
梅下三流「蝮田さんっす」
高木誘作「蝮田?」
平川盗愛「蝮田憂(まむしだ ゆう)。あなたが会った父の偽物よ」
梅下三流「小遣いやるからって、それで」
高木誘作「嘘の情報を流すように手配したのか」
梅下三流「そうそう! そうなんっすよ!」
平川盗愛「蝮田は他になんか言ってた?」
梅下三流「いや、何も・・・」
梅下三流「ただ」
高木誘作「ただ?」
梅下三流「最近、蝮田さんよくない連中とつるむようになったって噂があって」
平川盗愛「もしかして、樋口郷也?」
梅下三流「とんでもない! そんな大御所じゃないっすよ!」
高木誘作「じゃあ誰なんだ?」
梅下三流「名前までは流石に・・・」
平川盗愛「最近、連絡は取ってみた?」
梅下三流「いやぁそれが、ここのところ連絡つかなくて」
高木誘作「理由とかわかるか?」
梅下三流「さ、さぁ? でも俺たちは仕事あるまでは基本的に自由だし、」
梅下三流「よほど仲いいわけじゃないなら、頻繁に連絡とったりしないっすよ」
平川盗愛「蝮田と仲のいい劇団員とかいる?」
梅下三流「どうでしょうねぇ? 蝮田さんとはプライベートなことは話さないし」
梅下三流「ただ、一回だけ打ち上げで家には行ったことあるっす!」
平川盗愛「よし、場所を教えなさい」
梅下三流「ええ! もちろんっすよ!」
平川盗愛「ついでに一杯奢ってもらおうかしら」

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