パラダイムシフト

紗卦冬葉(さけとば)

7.Amazing Grace/Dancers④(脚本)

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〇白
  ────ああ、
  『歴史』が、
  
  崩れていく。

〇黒
  『王家の血』が、
  
  途絶えていく────

〇空
  西暦1790年(約75年前)

〇教会
  フランス王国、パリ
  『連盟祭』当日

〇大聖堂
  『フランス王女』マリー・テレーズ(11歳)
  『国王』ルイ16世(35歳)
  『皇太妃』マリー・アントワネット(34歳)
  『王子』ルイ・シャルル(5歳)
ルイ16世「我が娘が歌った『賛美歌』は────」
ルイ16世「王家と国民とを結ぶ ひとつの『調和の証』である」

〇教会
  『自由』を享受し、
  『平等』を保証し、
  『友愛』を謳歌出来る、
  
  『新しいフランス』を────

〇空
ルイ16世「国王の名のもとにッ! 実現していくことを『約束』しようッ!!」
  国王万歳〜ッッ
  新しいフランス万歳〜〜ッッ!!
  『架け橋』になった気がした

〇イルミネーションのある通り
  私の歌が、
  
  王家と国民達を繋ぐ、
  
  大きな『架け橋』に────

〇黒
  なることは、なかった
  1年後
  マリー・テレーズっ
  ルイ・シャルルっ
  起きなさいっ

〇貴族の応接間
マリー・アントワネット「ほらっ 早く着替えなさいっ」
マリー・アントワネット「今日は家族みんなで 遠くへ『ピクニック』しに行くのよっ」
ルイ・シャルル「わぁあい! ピクニックだぁ!!」
マリー・アントワネット「しっ! 声が大きいっ!」

〇林道

〇森の中
ルイ16世「よし、ここで一旦『昼ごはん』としようかっ」
マリー・アントワネット「従者達に 食事の準備をさせなきゃねっ!」
  違和感
  どことなく
  
  何かから
  
  逃げているような
「ややっ! 国王陛下でしょうかっ!?」
フランス国民「わざわざこんな辺鄙な場所まで!! なにかご用事でも?!」
  いやぁ〜、昨年の『連盟祭』の宣誓!
  ワタクシ、とてもシビれましたよォ〜〜
  『ヴァレンヌ事件』
  『フランス革命』の進展により
  王家の権威が失われる事を危惧した国王は

〇牢屋の扉
  国民を捨て『国外逃亡』を図ったが
  あえなく失敗に終わり────

〇洋館の一室
  『反逆罪』で国王一家が
  『幽閉』される事になった事件である
ルイ・シャルル「ママン!パパはどこ行ったの〜ッ!?」
マリー・アントワネット「シャルル⋯大丈夫⋯ 大丈夫だから⋯」
マリー・テレーズ「ほら、大丈夫!」
マリー・テレーズ「『次期女王』の私の『歌』で みんな元気にしてあげる!!」
  地獄だった

〇黒
  2年後
  1793年1月21日、『ルイ16世』
  罪状:『反逆罪』
  ギロチンによる『斬首刑』執行
  同年10月16日『マリー・アントワネット』
  罪状:『反逆罪』
  ギロチンによる『斬首刑』執行

〇洋館の一室
王族の世話係「『女王様』よォ〜〜 歌詞間違えてんじゃね〜〜よっ!」
  市民たちよ、武器を取れ
  
  隊列を組み、進軍するのだ
  
  不純な血で、我らの畑の畝を満たそう
  オラ達の『革命歌(La Marseillaise)』!
  新しく生まれた『フランス国歌』!
  覚える気あンのかよぉ〜〜〜ッ!!

〇洋館の一室
王族の世話係「『泣き虫シャルル』くぅ〜ん」
王族の世話係「大事な大事な 『性教育』のお時間ですよぉ」
ルイ・シャルル「う゛っっぷっ」
  う゛ぉお゛ぇぇえっ
  その娼婦は『梅毒』を患っており────
  病の進行で
  ”顔から鼻が取れて落ちた状態”であった
鼻の落ちた女「ハァっハァっ!! なんて『綺麗な肌』してるのッ!?」
鼻の落ちた女「王家のッ こんな綺麗な子ッ 交われば私のこの身体もたちまち──ッ! ハァハァハァッ!!」
  『梅毒』はかつて
  ”若い人に伝染(うつ)せば治せる”
  という『無根拠な迷信』かあった

〇赤(ダーク)
  やめてええぇええぇえええええええ!!!!
  まだっ!弟はまだ8歳なのよぉ!!
  お願いだから!!お願い!!
  地獄
王族の世話係「あ〜、こういうの観ると な〜んかムラっとクるなぁ」
  !!
  嫌ッ!!嫌嫌!!
  汚らわしいっ!!近づくなッ!!
  地獄
王族の世話係「『最後の王家の血』、 絶やすわけにはいかねェだろ〜〜」
  いやあああああああああああああぁあ!!
  地獄に堕ちた私
  
  
  
  を

〇黒

〇洋館の一室
  ”あらあら”
『聖女』「”『女王陛下』、ご無事でしたか?”」
  救ってくれたのは、
  
  『薔薇を携えた聖女様』

〇墓地
  2年後
『聖女』「『ベルサイユ宮殿』の 『薔薇園』から摘んできました」
マリー・テレーズ「────『聖女様』の言う通りでした、」
  『賢者の石』は治療に転用出来ない
『聖女』「悲しいですが、その通りです」
『聖女』「『賢者の石』が与えるのは 『不老』と『異能』のみ」
マリー・テレーズ「危篤の弟にとっては、 既に『無用の長物』だったのですね⋯」
『聖女』「もちろん『試す価値』が 無かった訳ではございません」
『聖女』「ですので、本当に、」
『聖女』「残念です」
マリー・テレーズ「────せめて」

〇白
  せめて、『天国』で────
  怖くて、汚くて、辛かった記憶を、
  帳消しに出来るくらい────

〇墓地
マリー・テレーズ「『幸せ』に──────」
『聖女』「⋯」
『聖女』「『女王陛下』」
  『シャルル様』の『遺志』を継いで
  私たちで
  
  『理想の世界』を作っていきませんか?

〇湖畔
マリー・テレーズ「⋯─────────────────」
マリー・テレーズ「⋯『素敵ね(ブラボー)』」
マリー・テレーズ「『かみさま』が、あなた達の言葉を 『理解』出来るようにしてなければ───」
  『素敵な歌』が耳に届いても、
  私は永遠に『理解』出来なかったんだろうね

〇黒
  あ〜あ
  やっぱり、歌い足りないや

〇湖畔
ヘレナ「⋯消えた」
アイヤナ「⋯」
  『肉体』を離れた
  
  『魂』は
  
  『大地』へ還元し──
  『自然』と
  
  『調和』し
  
  『生』を再び受けて⋯

〇黒
  またこの世で、
  
  この『歌』を
  
  口ずさむのであろう

〇先住民の村
ヘレナ「⋯また、休ませてくれてありがとう」
アイヤナ「酋長が『一晩だけだぞ』って! 珍しいよホント〜!」
アイヤナ「まぁ、”『白人』と関わるな” ってスタンスは一貫してたんだけどね」
オルコット「『問題』持ち込んだこっちの落ち度よ、 ぐうの音も出ないわ」
ジェーン「朝早くには発つ予定だから⋯」
アイヤナ「⋯うん」
アイヤナ「もう、止める気はないよ」
  あなた達の歩む『道』が
  どうか『無事』でありますように────
アイヤナ「あ、そうだ(唐突)」
アイヤナ「『交流記念』と言っては、なんだけどさぁ?」
  アタシに教えてよ、『白人の大切な歌』
ヘレナ「んん〜〜〜、『歌』、ねぇ」

〇綺麗な教会
  昔住んでた『孤児院』で

〇大聖堂
  よく歌ってた『歌』を
  久しぶりに、
  
  思い出したような、
  
  気がした

〇綺麗な教会

〇豪華な客間
  -Amazing Grace-
  
  (BGM : MMT38 様)

〇黒
  Amazing Grace, How sweet the sound
  
  素晴らしき『神の救い』
  なんと『美しき音色』か
  That saved a wretch like me
  
  私のような
  『哀れなる者』さえ救ってくださる

〇先住民の村
  I once was lost, but now am found
  
  人生を彷徨う私に
  『道』を指し示してくれてた

〇草原の道
  Was blind but now I see
  
  進むべき『未来』が、
  今はっきり見える

〇豪華な客間

〇大聖堂
『伯爵』「『女王』、いなくなっちゃいましたね☆」
『聖女』「⋯彼女の『今際』は」
「どんな顔でしたか?」
『伯爵』「『肩の荷』が降りたような、顔してましたよ」
『聖女』「⋯そうですか」
『聖女』「⋯」
「うふふ」
「うふふふ」

〇大聖堂
『聖女』「⋯『救われた』のですね! 遂に、『女王陛下』はっ!!」
『聖女』「──────────ああ、」
  とっても、
  
  とっても、
  
  『羨ましい』────っ

〇白
王族の世話係「良いんですかぃ? いたいけな子供にそんな事して?」
  ええ、
  贅を貪った『王家』への天罰なのですから
鼻の落ちた女「本当にこんな事して 私の身体は治るんですか?」
  ええ、
  『王家の体』は万病に効くのですから
『聖女』「────”あまねく人々は、生きてる内に”」
『聖女』「”『試練』を与えられる『運命』である” という事を知ってますか?」

〇赤(ダーク)
  ”神は乗り越えられぬ『試練』は与えない”
  どんなに辛くても、何年かかっても、
  それは”絶対に乗り越えられる”のです
  そして、
  
  その先にあるのが────

〇カラフルな宇宙空間
『聖女』「『救済』という名の『幸福』なのです」

〇地図
  『人類皆が幸せに暮らせる世界の実現』
  それは、
  
  我々に課せられた
  
  『試練』
『聖女』「それも『かみさまの異能』があれば!」
『聖女』「”万物の情報を操る事”が出来れば!!」
  世界を
  
  『救済(パラダイム・シフト)』
  
  する事が出来る────!

〇大聖堂
「⋯次は『ミネアポリス』で、 『転機』が起こる予言でしたね?」
『聖女』「”私が、『試練』を与えにいきましょう”」
『伯爵』「アハハ〜 死んじゃうかもしれませんよ?」
『聖女』「”あらあら”」
  私の『生命(イノチ)』の心配なんて、
  
  全く全く必要ありませんよ、『伯爵』?

〇結婚式場前の広場
  ミネアポリス

〇怪しげな酒場
「はい、『最後ォ』」
賞金首「ぐあああっ!!」
「あんさんが襲った『女子供』の数、 実に『6人』────」
ドミニク「『片手の指全部』と『利き手の人差し指』」
ドミニク「丁寧に吹き飛ばしてやったよォ」
賞金首「あがっ⋯チクショウっっ!!」
賞金首「お前、なんでこんな、『酷い事』をぉお!!」
ドミニク「『酷ぇ事』したのはあんさんの方だろぉ?」
ドミニク「”『罪』には『罰』”なのさ それが当然の『摂理』だろぉが」
賞金首「クソがァ!!」
ドミニク「あらら、そういえば『6発』、 俺っちの『銃に装填してた弾』が丁度無ェや」
ドミニク「困ったなァ、 『再装填(リロード)』に手間かかっちまう」

〇結婚式場前の広場
賞金首「どけどけ!! 死にたくねェ奴は避けやがれッ!!」
賞金首「『こんな所で死んで──」

〇結婚式場前の広場
キッド「ぴーぴーぴーぴーうるせーな、オイ」
キッド「大人しく死んどけ、『社会の屑(ゴミ)』」
キッド「おえ〜っ、汚っ」
ドミニク「『罪』を『罰』して得る『金』は 気持ちがいいねぇ、キッドよぉ」
キッド「うるさいよ? 『雇用主(父さん)』の分際で?」
ドミニク「⋯反抗期?」
  懸賞金稼ぎ集団(バウンティハンターズ)
  
  『ドミニオン・ファミリー』
キッド「僕はね、『屑(ゴミ)』を 『粛清(そうじ)』したいだけ」
  『兄貴(ブラザー)』みたいな、
  『屑野郎』は、特にね?

次のエピソード:【番外編②】The Father

コメント

  • これはマッチポンプ!!
    敵の正体も見えてきて、女王ってそういう……😢
    設定も濃くて演出も素敵でまさに映画
    オル姉に関係しそうな人達も出てきて気になるところ

  • 女王の悲しい過去、そして賛美歌の演出で感慨にひたれたのも束の間、聖女の暗黒面(物理的にも)がこんにちはしてきて、ジェットコースターのような1話でした…!
    フランス革命は詳しく知らなかったので、この機会に調べてしまいました。歴史の面白さとおぞましさを知り、高校生の時に地理ではなく世界史を選択していればと、ちょっぴり後悔しました。

  • 冒頭が1790年で始まっていたので、まさかあの顛末を描き切るのかとハラハラしていたら、やっぱり描かれちゃっていましたね…😢 弟君……😭
    より一歩深く、この世界と聖女様のサイコっぷりが見られる今話、ズシリと胸に響きました✨

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